プロセスの審査項目に回答する
ボルドリッジ（ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク）は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。ボルドリッジはまた、米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞（MB賞）の「審査基準」であり、それをもとに自己診断（セルフアセスメント）・審査を行い、組織の改善点を見つけ、改善します。
実際には、ボルドリッジ審査基準の質問に回答して、それを評価します。 審査項目に回答していくときの進め方について、その最初のステップを紹介しました。
次のステップとして、プロセスに関する審査項目に回答します。
プロセス項目に回答する
審査基準は主要な組織のパフォーマンス結果に焦点を合わせるけれど、これらの結果はそれ自身ほとんど診断的価値を提供しません。たとえば、ある結果が貧弱であるとか、改善度合いが競合先や他の比較対象組織より緩慢であるならば、その理由を理解し、改善を速めるには何をすべきかを理解することが重要です。
プロセス項目の目的は、組織の最も重要なプロセス－組織のパフォーマンス改善に最も貢献するプロセスと主要な総合的成果またはパフォーマンス結果に貢献するプロセス－の診断を可能にします。診断とフィードバックは、審査項目への回答の内容と完全さに大いに依存します。この理由のために、組織の主要なプロセス情報を提供することでこれらの審査項目に回答することが大事です。そのような情報を体系付け、確認するためのガイドラインは、以下の通りです。
１．「どのように（how）」の意味を理解してください。
プロセス項目は、用語「どのように（how）」から始まる質問を含んでいます。回答は、アプローチ、展開、学習、統合に対応する主要なプロセス情報を概説するものでなければなりません。そのような情報が不足しているか、単に例を提供しているだけの回答は、評点ガイドラインで「逸話的な情報」とみなされます。
アプローチが体系的であることを示してください。
体系的アプローチは、再現可能で、学習を可能にするためにデータと情報を使います。つまり、評価、改善、イノベーション、知識共有の機会を組み込むならば、成熟度の向上を可能にし、アプローチは体系的です。
展開を示してください。
展開情報は、アプローチが組織の異なる部分でどのように実施されているかを要約しなければなりません。展開は、表を用いて簡潔に示すこともできます。
学習の証拠を示してください。
プロセスは、評価・改善サイクルと画期的なイノベーションの可能性を含まなければなりません。プロセスの改善は、組織学習を可能にするために組織の他の適切な単位と共有されなければなりません。
統合を示してください。
統合は、プロセス、計画、尺度、行動、そして組織の有効性と効率が生み出す結果の間の整合性と調和を示します。
プロセス項目に一貫性を示し、結果項目に対応する測定値を追跡すると、組織のパフォーマンスが向上するはずです。回答では、次の4つの領域での一貫性を示してください。
・組織プロフィールでは、何が組織にとって重要かについて明らかにします。
・戦略目標、実行計画、コアコンピタンスを含む、戦略（カテゴリー2）では、最も焦点を当てている領域を強調し、展開をどのように達成しているかについて記述します。
・組織レベルでの分析とレビューの記述（項目4.1）では、組織が優先事項を設定するためにパフォーマンス情報を分析しレビューする方法を示します。
・戦略（カテゴリー２）とオペレーション（カテゴリー6）では、組織のパフォーマンス全般にとって重要な業務システムと業務プロセスを強調します。
２．「何ですか（what）」の意味を理解してください
「何ですか」を問う質問は、パフォーマンス管理システムにおける一貫性と統合の背景を示すために設定されています。たとえば、主要な戦略目標を確認するときは、行動計画、パフォーマンス尺度の一部、カテゴリー7で報告される若干の結果はその戦略的目標に関連があると想定されます。
プロセス項目での2種類の質問が、用語「何ですか（what）」と尋ねます。質問の第１のタイプは、主要なプロセスに関する基本的情報とどのように機能しているかの方法を求めています。質問の第2のタイプは、主要な知見、計画、目的、到達目標、あるいは、評価尺度を報告することを求めています。
プロセスの次は、結果の回答に進みます。
※ページは、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク（2021-2022版冊子）のページです。この記事は、同書35-36ページ「審査基準への回答の方法（How to Respond to the Criteria）」を参考にしています。
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筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。