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ちょっと寄り道・・・「いちばんやさしいDXの教本」

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、高いパフォーマンスを実現するための「証明された」リーダーシップと経営の実践的な方法(プラクティス)を示したものです。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは2年ごとにその時代の最先端の実践を取り入れて改訂されています。最新の2021-2022年版で特に着目した点に「デジタル化と第4次産業革命」があります。

 丁度、デジタルトランスフォーメーション(DX)について話す機会を頂きましたので、その準備のため、関連する情報を集めています。以下はその覚書です。

「いちばんやさしいDXの教本」(亀田重幸・新藤圭、2020、インプレス)

 本書は、経済産業省が2018年12月に発表した「DX推進ガイドライン」にある、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」という定義をベースにして、「ITを使って変化を起こし、売上や利益を伸ばす仕組みをつくること」であると概観しています。

 そして、次の3つのフェーズを順に取り組むことで、どんな企業でもDXを進めることができるとしています。 

DXのフェーズ(3段階)
アナログデータのデジタル化(デジタイゼーション)

ビジネスプロセスのデジタル化(デジタライゼーション)

新しい価値の創造(デジタルトランスフォーメーション)

 そのステップは、一般的な開発プロジェクトと同じく、つぎの3つ。

課題の発見(ビジネスプロセスを見える化し課題を見つける)

解決策の立案(課題をどう解決するかを決める)

実行(デジタイゼーション、デジタライゼーション)

 それを、小さなデジタイゼーション(例えば、紙の運用をデジタルに変える)から始めて、リーンスタートアップの考え方で、検証を繰り返しながら高速でPDCAを回しながら進めていくことを推奨しています。

 DXの実現に不可欠なのは「デジタルファーストな企業体質」を作ること。そのためには業務のペーパーレス化に取り組むことから始めて、IT部門だけでなく全社的にテクノロジーへのリテラシーを高めていくことです。クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータ解析の4つのデジタルトレンドを押さえておくことも必要です。

 DXの目的やゴールを明確にしていくことも重要であり、DXと従来の業務改革(BPR)との違いを次のように示しています。

        DXと業務変革のゴールの違い
       業務変革     DX
目的     生産性向上    新たなビジネス創出
データ活用  必須でない    データ活用が必須
売上に関与  作業工数の削減  既存事業の売上増
影響範囲   大規模      小規模から段階的にスタート

 デジタライゼーションは、業務プロセスをデジタル化していくことですが、現在ある業務をそのままデジタル化するのでなく、その前に対象業務をなくす、減らすことは大切で、そこにはBPRの考え方も活かします。

 本書では、さらに、DX時代の開発手法、データ分析・活用の進め方などを簡潔に紹介していますが、技術的なテーマになるので、ここでは省略します。

 事例も挙げられていますが、日経BPムックにあったような大企業ばかりでなく、範囲をデジタイゼーション、デジタライゼーションにまで広げて、いくつかの日本企業の事例から成功するDXのポイントを紹介しています。


 


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