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良い質問がイノベーションを生む
DXについてのセミナーの準備のため、イノベーションについてもいくつかの書籍を読み直しています。
ひとつは、ボルドリッジのブログにも紹介のあった「イノベーションのDNA」(クリステンセン、ダイアー、グレガーセン、2012年(原書は2011年))です。本書では、イノベーターDNAとして、「発見力」を形作る5つのスキルを挙げています。
5つのスキルのうちのひとつ「質問力」は、例えば、スティーブ・ジョブズが、「コンピュータになぜ(冷却用の)ファンが必要か?」というそれまでの常識を疑う質問を投げかけたことで、当時史上最も静かで小型のパーソナル・コンピュータ、アップルⅡを生み出した例を挙げて、良い質問がイノベーションを生むとしてます。
「イノベーションのDNA」は、イノベータの能力は後天的な要素が大きく、開発できるという立場で、「質問力」についてもそのスキルを伸ばすためのヒントをいくつか挙げています。
その一つが「質問ストーミング」と呼ぶ手法。ブレインストーミングはテーマに沿ってアイデアを出し合う手法ですが、アイデアの代わりに質問を出し合うというもので、著者らが発見したツールとして紹介されています。
同様のアイデアは他の研究者も発見していて、「クエストーム」「Qーストーミング」などの呼び名がついた(商標登録)ものも、ウェブ検索では出てきます。
彼らのやり方は、まず、個人やチーム、組織の抱える問題や課題を選び、選んだ問題について、質問を一つずつ出し、それを書き出して、それを見ながらさらに質問を出していく、それを50以上質問が出るまで続ける。
質問を一つひとつ検討しながら、次の質問を考えることで、さらに良い質問が思いつける。
質問を書き出したら、よりよい解決策を見つけるのに最も役に立ちそうな質問や興味をそそる質問を選び、優先順位をつける。
この方法を通じて、チームが新しい視点を求めて、問題の根本原因や機会の様々な側面を深く掘り下げるようになる。
質問力のスキルを磨くには、質問ストーミングを個人で行う。
ほかに質問力を伸ばすヒントとして、
・質問思考を養う
・自分のQ/Aレシオを調べる
・質問ノートをつける
の3つ(全部で4つ)が紹介されていますが、この質問ストーミングが一番響いたので、覚書とさせていただきました。