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米国政府のサイトに載ったわけ
この2020年の冬から春、ステイホームで閉じこもっていた間に、以前取り組んでいたボルドリッジのウェブサイトで Baldrige Excellence Builder に出会いました。以前からボルドリッジに興味を持っておられた(株)脳力開発センターの田中典生氏から教えていただきました。氏はすでに、ウェブ翻訳で日本語版にして、近隣の銀行の営業の方々にレクチャーを始めていました。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、グローバル・クオリティ・フォーラム(GQF)という有志グループで、2011-2012年版までその翻訳活動に参加していました(当時は、パフォーマンスエクセレンスに向けた審査基準書)。その後、訳あって翻訳活動は止まっていて、2015-2016年版からその要約版として Baldrige Excellence Builder が出ていたことも知りませんでした。
ウェブ翻訳では、まだ正しく翻訳できていないところも散見されたので、自身の理解のために早速翻訳に取り掛り、ほぼ1カ月ほどで完成しました。以前翻訳した資産とウェブ翻訳との合作です。田中氏にも知恵をお借りしました。
早速出来上がったに日本語版を田中氏にも使ってもらおうと思いましたが、勝手に日本語版を配布しては著作権に触れる。裁判になったら米国に出向かなければならない。何か回避する手はないか、と考えていたところ、Baldrige Excellence Builder のウェブサイトに、有志と思われる個人が翻訳したスペイン語版が掲載されているのを発見しました。この手があった。日本語版を並べて掲載してもらい、そこからダウンロードしてもらうようにすれば、著作権の問題も解決すると考えたわけです。
しかし、誰に頼んだらよいのか、ボルドリッジにはもちろん伝手はありません。
ただ、GQFの仲間は、米国で毎年春に開かれているボルドリッジのコンファレンス、クエスト会議には度々参加していて、当時のボルドリッジ・プログラムのディレクターであったハリー・ハーツさんには、挨拶もし、出来上がった日本語版を手渡ししてきた、という話を聞いていました。ただ、名刺交換はされてなかったようで、連絡先はわかりませんでした。
そこで、ネットでハリー・ハーツ氏を探したところ、LinkedInに参加されていることがわかりました。当方も、LinkedInにはまだ日本語対応がされる前から参加していて、このため英文で自身の履歴を載せていました。それをすこし手直しし、履歴の中にGQFでの活動も加えたうえで、ハリー・ハーツ氏にコネクト申請を出しました。申請時のメッセージには、GQFでボルドリッジの翻訳活動に携わっていたこと、ハーツさんに日本語対訳版を手渡ししたのは同じGQFの仲間であることなどを入れました。それが3月24日です。
翌日すぐにコネクト申請は受け入れられて、ハーツさんとつながりました。これが3月25日。
それからは、早速LinkedInのメッセージ機能で、Builderの日本語版を作成したこと、それを日本でも広めるために、Builderのウェブサイトに掲載いただきたいことを伝えました。
その際には、メッセージに、作成した日本語版のPDFはもちろん、その表紙に書いた日本語の名前(漢字)と同じ名前が、以前に仲間が手渡しした審査基準書の対訳版のあとがきに書かれているものと同じであることを知ってもらうために、対訳版の翻訳者の名前が載っているページを写した写真にマークを入れたものを一緒に添付したりしました。
その甲斐あって、ハーツさんは、それらをまるごと、現在のディレクターであるボブさんに転送してくれました。それが3月30日です。
相手がボブさんに替わったのですが、直接つながっているわけではありませんでした。その後は、ずっと長い待ちの時間になりました。
催促するほどの英語力もないこともあり、のんびりと待っていましたが、一度様子伺いを兼ねて、仲間から預かっていたクエスト会議訪問時の写真から、ハーツさん、ボブさんが映っているものを探して、それをハーツさんに送りました。それが4月15日。ただこの時は、ありがとう、ボブさんにもシェアしますという返事だけ。
5月半ばを過ぎても何ら連絡がなく、そこでハーツさんに、返事を待っていますと連絡をしたところ、ウェブサイトに掲載した旨、ボブさんから連絡しているはずとの回答がハーツさんからありました。
ボブさんから発信したメールが、こちらに届いていなかったことがわかり、早速ボブさんがメールを再送してくれました。
そしてボルドリッジのウェブサイトに、Non-English Versions として、スペイン語版と並んで掲載されていることを確認しました。それが5月25日でした。実際には、それ以前から掲載されていたものと思われますが、それがいつからだったのかは知りません。ただ、時々、Builderのウェブサイトはチェックしていたので、そんなに日時に差はないと考えています。
掲載するに当たっては、この翻訳版についての問合せ先も併せて掲載されていて、それはこちらになっています。それでもやはり、翻訳が適切かどうか時間をかけてチェックされていたのだと思います。感謝です。
米国のオープンな姿勢には感銘を受けます。このおかげで、日本の誰もが(世界の誰もが)日本語版をダウンロードして活用することができるようになりました。
これはきっと、低迷する日本と日本企業への、米国からの贈り物と思っています。
それならば、これを広めることを使命として取り組まないといけない。そう思って、このブログを始めました。
昨日で100日、これが101通目。1000字余の短い記事ですが、毎日一つのトピックスに絞って続けてきました。それを記念に、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】が米国政府機関NISTのウェブサイトに掲載されるまでをまとめてみました。
世界の誰ともつながることのできるSNSの威力を身に染みています。
また、辞書を片手に翻訳はするのですが、英語が得意なわけではなく、ハーツさんとのやりとりもウェブ翻訳に助けられました。翻訳の精度が日々進化していると感じます。この日本語版を原本と一緒にAIに取り込んでもらえれば、より一層進化するでしょう。
ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】は、Baldrige Excellence Builder / NISTのページ下方に、Non-English Versionsとして、Spanishと並んで掲載されています。