ビジョナリー・リーダーシップ
多くの日本企業で重視する「企業理念」とボルドリッジのいう(米国流の)「ミッション、ビジョン、価値観」について、その異同を理解したいと、色々調べています。
「企業理念」と「ミッション」+「価値観」は似ているように見えます。
「ビジョン」について、ボルドリッジの「核となる価値観と概念」のひとつ「ビジョナリー・リーダーシップ」から、その意味を確認していきます。
(「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」では「先見の明のあるリーダーシップ」としました。)
ビジョンとは、組織が望む将来の状態。組織がどの方向に行こうとしているのか、どんな姿になろうとしているのか、あるいは、将来においてどのような組織であると認められたいのかを表すものです。
ボルドリッジが目指しているのは、継続的な改善とイノベーションによって起こる、ワクワクする未来です。
ボルドリッジの「核となる価値観と概念」のひとつ「先見の明のあるリーダーシップ」は、組織のビジョンを示すことから始まる、ボルドリッジが目指す組織のリーダーの役割を示しています。
先見の明のあるリーダーシップ(Visionary Leadership)
組織の経営幹部は、組織のビジョンを設定し、顧客に焦点を当て、明確ではっきりした組織の価値観と倫理観を示し、働き手に高い期待を設定することが必要です。
リーダーに求められるのは
(1)組織のビジョンを設定する
(2)顧客に焦点を当てる
(3)組織の価値観と倫理観を行動で示す
(4)働き手に高い期待を設定する
ここで重要なのは、「ビジョン」「価値観」「期待」は、リーダーの意志・想いだけで決まるのでなく、働き手(従業員)やパートナー、お客様、株主、地域社会などすべてのステークホルダーのニーズとバランスされていることです。
その上で、組織・働き手の知識や能力を育成・開発し、イノベーションを促し、リスクを管理し、卓越した業績をあげ、組織の持続的な成功を確実なものとするために、
(5)戦略、仕組み、方法を創出する
これら「価値観」および「戦略」が、組織のすべての活動、意思決定の規範となります。
ボルドリッジでは、こうしたあるべき姿を示し、それに対して、現在どういう状態であるかを自身で評価して、改善点を見つけ、改善をすすめていくことによって、その姿に近づいていきます。
「先見の明のあるリーダーシップ」が示すこれら(1)~(5)の5つのリーダーの役割について、詳しくみて見ます。
ボルドリッジの「先見の明のあるリーダーシップ」に示された、リーダーの役割は次の5つです。
(1)ビジョンを設定する
(2)顧客に焦点を当てる
(3)組織の価値観と倫理観を行動で示す
(4)働き手に高い期待を設定する
(5)戦略、仕組み、方法を創出する
(1)ビジョンを設定する リーダーは、組織が望む将来の状態、すなわち、組織がどの方向に行こうとしているのか、どんな姿になろうとしているのか、あるいは、将来においてどのような組織であると認められたいのかを明確にし、従業員をはじめ、関係する人々に伝えます。
(2)顧客に焦点を当てる リーダーは、顧客エンゲージメントを育む組織文化を醸成します。顧客は、組織のパフォーマンスおよび製品とサービスの品質の究極の判断者です。したがって、組織は、すべての製品およびサービスの機能と特性、および顧客に価値をもたらすあらゆる形態の顧客接点やサポートを考慮に入れる必要があります。このように、顧客の声に耳を傾け、顧客の期待に応え、それを超え、顧客関係を構築することを組織の重要な取り組みとし、それを伝えます。
(3)組織の価値観と倫理観を行動で示す リーダーは、組織の価値観と倫理観を明確にし、従業員や関係する人々に伝え、従業員や関係する人々がそれに基づいて判断し行動できるような組織の環境づくりを行います。リーダー自らは模範として、組織の価値観と倫理観を行動で示します。
(4)働き手に高い期待を設定する リーダーは、高いパフォーマンスを達成することや、顧客およびビジネスに焦点を当てることに向けて、従業員や関係する人々を動機づけすることに積極的に取り組みます。それは例えば、報酬や褒賞プログラムなどにおいて積極的な役割を果たすことです。
(5)戦略、仕組み、方法を創出する リーダーは、卓越した業績をあげ、組織の持続的な成功を確実なものとするために、戦略を立てます。その中で、組織と働き手の知識や能力を育成・開発し、イノベーションを促し、リスクを明確にしインテリジェントリスクに取り組みます。このための組織づくりと仕組み、方法を創出します。
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筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。
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