2021-2022年版で「組織学習」の要点を改めて確認する
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、高いパフォーマンスを実現するための「証明された」リーダーシップと経営の実践的な方法(プラクティス)を示したものです。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは2年ごとにその時代の最先端の実践を取り入れて改訂されています。
最新の2021-2022年版では、「核となる価値観と概念」に「回復力」の概念が入ったことで、項目としては、2019-2020年版の「組織の学習と俊敏性」が、「俊敏性と回復力」と「組織の学習」の2つに分かれました。
このことで、「組織の学習」の概念が整理されわかりやすくなったので、改めて中身を見てみます。
組織の学習(Organizational Learning)
組織の学習には、既存のアプローチ(方法)の継続的な改善と大幅な変更やイノベーションの両方が含まれ、新しい目標、新しいアプローチ、新しい製品・サービス、新しい市場につながります。
Baldrige Core Values and Concepts より。翻訳筆者
組織として最高レベルのパフォーマンスを達成するには、体系的なプロセスを介して知識を共有することを含む、十分に実績のある方法で組織の学習を進めることが必要です。
今日のような厳しい環境においては、複数の業務の教育を受け権限を与えられた働き手と最新の組織的知識に基づく効果的なマネジメントは、非常に重要な資産です。
組織の学習には、既存のアプローチの継続的な改善、ベストプラクティスや新しいやり方の採用、大幅な非連続的な変更、すなわちイノベーションが含まれ、新しい到達目標、新しいアプローチ、新しい製品・サービス、新しい市場につながります。
学習は、組織の運営方法に組み込まれていることが必要です。これは、学習が、
(1)日常の業務そのものの一部であり、
(2)問題をその原因(根本原因)で解決し、
(3)組織全体での知識の構築や共有に重点を置き、
(4)重要な意味のある変化がもたらされ、革新する機会をとらえて推進されていること
を意味します。
学習の出発点には、
・働き手やボランティアのアイデア、
・研究開発、
・顧客の意見、
・ベストプラクティスの共有、
・競合組織のパフォーマンス、
・ベンチマーキング
などがあります。
・組織が属するエコシステム
も、学習の出発点の一つです。
組織の学習を通して得られる結果には、
(1)新規および改善された製品や顧客サービスを通じた顧客への価値の向上、
(2)新しいビジネス機会の開発、
(3)新しく改善されたプロセスやビジネスモデルの開発、
(4)エラー、不良、ムダ、および関連コストの削減、
(5)経営資源すべての利用における生産性と有効性の向上、
(6)社会貢献を行う際のパフォーマンスの向上、
(7)変化や混乱への取り組みにおける俊敏性の向上、
があります。
学習の出発点(sources)に、自身が属するエコシステムが加えられたのは、2021-2022年版からです。ビジネスエコシステムの概念がボルドリッジにおいてより明確になってきました。
また結果として、「変化」に加えて「混乱(disruption)」が入って来たのも、2021-2022年版の改訂からです。
まさに時代を反映したものとなっています。
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ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは有償ですが、筆者らが翻訳した要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府のウェブサイトから無償でダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。