
万全でなく最善をめざす
このコロナ禍の中、ホールでのコンサートも観客の数を絞ったりして開かれるようになってきましたが、いまだ復活の兆しが見えないのは「合唱」です。今年はベートーヴェン生誕250年の記念すべき年であるのに、年末恒例の第九(ベートヴェンの交響曲第九版「合唱つき」)も多くは中止が決まっています。普段なら、第九の合唱練習は遅くとも夏には始まってこれからが佳境となるところです。
コロナ禍では、人が集まるところにリスクがあります。さらに話声などが飛沫拡散の原因になります。こうしたことから、私が属している合唱団でも普段練習に使っている会場は、いまも合唱は禁止です。
けれど、ほんの一部ですが、何とか練習を始めている合唱団もあるようです。もちろんマスクははずせません。会場も人数の倍以上が入れる場所に変更して、例えばホールなどではステージでなく客席にバラバラに分かれて立って、歌うなど工夫しているようです。入り口には手指消毒用のアルコールを置く、ピアノも除菌用の用具を置いて都度除菌して使う、終わったら除菌してしまう、入り口ドアには人を配置して出入りする人がドアノブに触らないで済むようにする、など対策も徹底しています。
コロナについては、感染の仕組みもまだ研究途上であり、万全という対策はとれません。その中で最善の対策を工夫しています。
こうした対策をとっていても、感染者が出たりすることもあるでしょう。でも最善の対策を取っていたのであれば、感染の原因確認から始めて更なる対策の必要性に気づいて、次の機会には、それを含めた最善の対策で臨むことができます。
全く異質の世界ではあるけれど、万全はない、最善で臨む、という点は経営も同じと感じました。
経営にも「万全」、こうやれば成果が保証される、という絶対確実な方策はありません。そうした中で、「最善」の方策をとってそれを実施し、結果を踏まえて改善し、なんとか成果に結びつけるように導いていきます。
ボルドリッジは、継続した改善(向上)により、最善の経営の仕組みを組織に組み込むプログラムです。ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの評点システムは1000点満点ですが、どのような組織も1000点満点を取ることはできません。「万全」はない、というのと同義ですね。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府機関NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。