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顧客にフォーカスするとは

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを向上するための最も重要な質問集です。質問に答えることで自ら気づき、改善を繰り返していくことで、現在と未来の成功を確実なものにしていきます。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、7つのカテゴリーに分かれていますが、その3番目、カテゴリー3.顧客(Customers)では、顧客の声に耳を傾け、顧客の期待に応え、それを超え、顧客関係を構築する方法など、長期的な市場での成功のために顧客との関わり合いをどのように深めるかを尋ねます。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの各カテゴリーは、ボルドリッジの核となる価値観と概念を組織に埋め込むためのフレームです。

 顧客のカテゴリーの中核となるのは「顧客に焦点を当てた卓越性」という価値観です。質問との関連を理解するために改めて「顧客に焦点を当てた卓越性」を振り返ります。

 顧客は、組織のパフォーマンスおよび製品とサービスの品質の究極の判断者です。したがって、組織は、顧客に価値をもたらす、すべての製品およびサービスの機能と特性、あらゆる形態の顧客接点やサポート、および、組織としての全ての価値観とふるまいを考慮に入れる必要があります。そうしたことが、顧客の獲得、満足、選好、信頼、およびロイヤルティ、好意的な紹介、そして最終的に、ビジネスの継続的な成功につながります。

 顧客に焦点を当てた卓越性には、現在と将来の両方の要素があります。
 現在の顧客の欲求を理解し、将来の顧客の欲求と市場の可能性を予測します。
 顧客の組織との経験を重ねるなかで、多くの要因が、価値と満足に影響を与える可能性があります。これらの要因には、顧客関係管理(CRM)が含まれます。それは、信用、信頼、ロイヤルティの構築に役立つものです。

 顧客に焦点を当てた卓越性は、欠陥やエラーを削減すること、単に仕様を満たすこと、または苦情を減らすことを遥かに越えるものです。とはいえ、これらの要素は組織に対する顧客の見方に影響を与え、それゆえ、顧客に焦点を当てた卓越性の重要な部分でもあります。加えて、不良、サービスの欠損、ミスからの回復、公平性と一体性の育成、混乱への適応、および、顧客情報の保護に成功することは、顧客を維持し、顧客と長期に亙る関係を築くために極めて重要です。

 顧客に焦点を当てた組織は、製品やサービスの特性を顧客の基本的要求に合わせるだけでなく、競合組織から自社の製品やサービスを差別化するための独自の特性や特徴を出すことにも取り組みます。
 この差別化は、加速された製品開発、革新的あるいはカスタマイズされた商品・サービスや顧客体験、商品とサービスの組み合わせ、価格、社会貢献、あるいは、特別な関係などに基づいています。特別な関係には、効率性、有効性、およびイノベーションを促進する、組織間の提携や協調的な複数組織のネットワーク(エコシステム)への参加などがあります。

 このように、顧客に焦点を当てた卓越性は戦略的な概念です。
 それは、顧客の獲得、維持とロイヤルティ、ブランド認知の強化、市場シェアの増大、および成長につながります。顧客や市場におけるニーズの変化や新たなニーズの発生、および顧客エンゲージメントを促進する要因に対して常に気を配っている必要があります。顧客の声に細心の注意を払う必要があります。市場の変化を予測する必要があります。したがって、顧客に焦点を当てた卓越性には、顧客重視の文化と組織の俊敏性が必要です。

(Baldrige Excellence Framework 2021-2022より引用。翻訳筆者)

★★

 ボルドリッジの11個の核となる価値観と概念は、たびたび取り上げていますが、顧客に焦点を当てた卓越性(Customer-focused Excellence)は、取り上げる機会が少なかったので、改めて紹介しました。

  ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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