業界が違っても基本は同じ
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、一般企業のみならず、行政機関や非営利組織、病院や学校など、すべての組織を対象にしています。ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは業界によって3つの冊子に分かれています。
ちょっと不思議な分け方ですが、次の3つです。
・一般企業/非営利組織編(Business/Nonprofit)
・教育機関編(Education)
・医療機関編(Health Care)
一般企業/非営利組織編は、製造業やサービス業、中小企業などの一般企業と、NPOなどの非営利組織、および政府や自治体の機関が対象となっています。
しかし、フレームワークの基盤となっている「核となる価値観と概念」は、それぞれの説明の中身に若干の違いはありますが、同じ11の価値観から成っています。
また、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版である、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは共通(一冊)ですが、中に次のような注意書きがあり、その他は共通で使用するようになっています。
組織プロフィールP.1脚注
・医療機関にとって、「製品・サービス」は医療サービスです。
・教育機関にとって、「製品・サービス」は教育プログラムとサービスです。
組織プロフィールP.2脚注
・医療機関の場合、「顧客」とは、医療サービスのユーザー(患者、家族、保険会社、その他の第三者支払人など)です。
・教育機関の場合、「顧客」とは、教育プログラムとサービスのユーザー(学生や保護者など)です。
(ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】より)
違うのは、提供する「製品・サービス」とそれを利用する「顧客」であり、それを踏まえておけば、あとは同じ規範が適用できるということです。
日本では、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、2011-2012年版まで対訳版が発行されていましたが、この年は、一般企業/非営利組織編に加えて、教育編、ヘルスケア編もそれぞれに翻訳版を作成しました。(現在は入手できませんが、国会図書館で見ることができます。)
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筆者は別のところで、内部統制評価基準の作成に関わっており、現在、今春改訂した基準書(一般企業向け)を、医療機関でも使えるように手直ししているところです。
ここでも、基本は同じ。ほとんどの基準項目が、「製品・サービス」と「顧客」の捉え方を変えることで、そのまま適用できることを確認しています。
医療機関の顧客は、患者だけでなく、その家族も含めること(上述の脚注にある「保険会社、その他の第三者支払人」は、日本とは保険制度の違う米国特有のものと理解しています)、教育機関では、顧客は学生だけでなくその保護者も、場合によっては卒業した学生を受け入れる企業や組織も含めることなどは、ボルドリッジからの学びです。
注記:タイトルの画像は、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークのウェブサイトから引用。
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