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DXの成功パターン
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク、最新の2021-2022年版で特に着目した点に「デジタル化と第4次産業革命」がありますが、丁度、デジタルトランスフォーメーション(DX)について話す機会を頂きましたので、その準備のため、関連する情報を集めています。
経済産業省からは、デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会中間とりまとめ「D X(デジタルトランスフォーメーション)レポート2」が2020年12月28日に出されました。
コロナによって多くの企業が事業変革を迫られている状況で、高まったDXの緊急性に対応するための指針をまとめています。
DX 成功パターンには、DX に向けた戦略の立案・展開にあたって前提となる「組織戦略」と「事業戦略」、「推進戦略」が含まれる。
(1) 組織戦略:DX の成功事例のうち、組織の観点で特徴があるものに、経営者・IT 部門・業務部門が協調して推進する、というパターンがある。企業の方針を決めるにあたっては、このような三位一体の対話によって共通認識を形成すべきである。
(2) 事業戦略:「顧客や社会の問題の発見と解決による新たな価値の創出」と、「組織内の業務生産性向上や働き方の変革」という二つのアプローチを同時並行に進めることが重要である。いわゆる「両利きの経営」と言われるように、既存事業の効率化と新事業の創出は両輪で検討すべきである。既存事業の見直しにより産まれた投資余力を新事業の創出にあてることで、企業の競争力と経営体力を高めることが出来る。
(3) 推進戦略:重点部門を見極め、小さく始めて、段階的に全社的な取組みに広げることを検討すべきである。これによって、まず重点部門で成功事例を作り出してから組織全体へ展開し、あわせて、DX を推進する上での課題を早期に明らかにしつつ対応する、というアジャイル的な DX の推進が成功への鍵となる。
(「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート2(中間取りまとめ)」本文、33-34ページより引用)
組織戦略では、経営者・IT 部門・業務部門の協調、事業戦略では、「両利きの経営」、推進戦略では、アジャイル的な推進がポイントとしています。
アジャイル(agile)はボルドリッジでも重視している「俊敏性」です。「両利きの経営」については、別のレポートで次のように紹介しています。
企業活動における両利きとは、主に「探索」(自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうという活動)と「深化」(探索を通じて試したことの中から成功しそうなものを見極めて、磨き込んでいく活動)という活動が、バランスよく高い次元で行われていることを指すとされており、不確実性の高い探索を行いながらも、深化によって安定した収益を確保しつつ、そのバランスを取って二兎を追いながら両者を高いレベルで行う必要があるとされている。
(「事業再編実務指針 エグゼクティブ・サマリー」経産省、2020年7月)
既存事業の「深化」と新たに挑戦する事業の「探索」の二兎を追う経営です。
折よく、2021年2月の経済産業ビジネススクール”時代セミナー”「二水会」第6講座では、高梨智弘講師が「新旧混在の組織の進化を受け止められるか?」というテーマで話をされます。
興味のある方は、Facebook/経済産業ビジネススクールをご覧ください。