愛する人に嘘をつかれていたことを知らない悲しみ。2
その夜、旦那さんに言おう。聞こうと思いながらも、内心は怖くて聞けなかった。
真実を知ることが怖くて。
もう、目の前は黒。確実に黒なのだ。
私は、旦那さんの過去の戸籍を調べることにした。
生後間もない子供を連れて、2時間程度電車で移動して本籍地へ出向いた。
戸籍の附票はほんの僅かな時間で発行された。
そこには、知らない前の奥さんの名前があった。しかも、海外の方だった。
嘘だった。
初婚は嘘だったと証明された。
手帳からすべてが繋がった。
しばらく動けなかった。
波打つ鼓動と目眩と動悸で、世の中のすべての時間がピッタリと止まったような、非現実にいるような時間だった。
あぁ、私は騙されているんだ。
嘘をつかれていたんだ。
少し心を落ち着かせようとスタバに入った。
ボロボロと涙が溢れて、人目なんか気にしてる暇もなく涙が止まらなかった。
このままこの子と電車に飛び込んで死んでしまおう。そう思っていた。
何本電車を見過ごしただろうか。
突然、娘が死のうと考えていることが伝わったのか母親から連絡が来た。
「どうだった?平気?」
事情を話すと母親は、私の気持ちを察したのか「とにかく、必ず2人で帰ってきなさい。」と言われた。
その夜、旦那さんが帰ってきてから、さらに地獄のような日々だった。
何も知らないような顔をして、帰宅してくる。顔を見るだけで涙が止まらなかった。
何も信じられない。
言葉も、行動も何もかも。
旦那さんは、「なんで泣いてるの?何かあったの?」と優しくティッシュを差し出してくれた。
戸籍の附票を見たことを伝えると、ただただ無言を貫いた。
つづく