ライフイベントをキャリアの転換点に!
グロービス・ワーキングペアレンツ・クラブ(GPC)幹事のりえぽん(2020期仙台校)です。「ライフイベントをキャリアの転換点に!」と題し、グロービス卒業生の株式会社NOKIOO取締役_小田木さんご登壇イベントについてお伝えします。
1. 小田木さんの持つ課題感(ご自身のキャリア変遷から)
・現在、HR企業_株式会社NOKIOO取締役として人材育成・組織開発支援などを事業展開
・仕事・キャリア・両立についての情報発信をVoicyにて (https://voicy.jp/channel/1240)
・お子さまの子育て中:まだまだ両立ステージだととらえている。
子どもが小さいころ、この時期が抜ければと思っていたときもあるが、今は、育児・両立の課題は、形を変えて脈々と続いていくものだと思っている。
・「出産期」がご自身のキャリアの転機となった。
出産前の仕事における価値観・文化は、「気合・根性・長時間労働」。出産すると様々な制約から、この勝ちパターン(=残業して成果を出す)が使えなくなった。
・何がキャリアを難しくするのか=出産後ぶつかる3つの壁
※出産=内外の大きな環境変化と読み替えても良い。
①キャリア迷子の壁
②時間が足りないの壁
③会社と握手できないの壁
仕事・家族が当たり前に大事。優先順位をつけるよりも、全部大事にして何が悪いのかという感覚があった。まだまだ離職率が高かった時代に続けることに何の迷いもなかったが、キャリアを続けていくなかでこの3つの壁全てにぶつかり、ここから数年間、低迷期が続く。結果、キャリア迷子で時間も足りず、会社から孤立する事態になってしまった。
元々の勝ちパターンが環境に合わずアップデートできていなかっただけなのに、数年間も低迷してしまうなんてもったいなかった。このロスは非常に大きいのではないかと感じた。
成果の出し方を抜本的に変えることで、ようやく仕事が楽しくなり再浮上。限られた時間のなかでパフォーマンスを出し、心身の健全性を担保できるようになった。それまでは、短期成果で認められることしか知らず、キャリアのことをきちんと考えてきていなかったが、他者評価ではなく自分の強みなどを見つめ、どういうキャリアを築いていきたいかを考えていくことが重要だと気づいた。
例えば出産のように、急激な環境変化があるなかで、しばらく閉塞感の海に沈んでしまう人がたくさんいる。必要なときに情報・場・機会があることが大切ではないか。こういった思いから、オンラインスクール「スクラ」(https://schoola.jp/)の立ち上げにもつながった。
2.「私の勝ちパターン」をアップデートしよう
★頑張り方1.0→ライフイベント→頑張り方2.0★
本当の課題は何かを考えた際に、働き方(制度上の働き方)と、仕事のやり方(成果の出し方)の話が一緒になっていることに気づいた。分けて考えた方が良いと。
多くの人が、働き方(どんな制度があって、どんな選択肢があるのか)を考える。この点は非常に大切だが、これだけでは今の課題は解決しにくい。環境が変わったときは、仕事のやり方(=成果の出し方)も変えていく必要がある。働き方・仕事のやり方、それぞれに備えることが大切。
考えるべきは「持続的な仕事のやり方」であり、環境変化に対応していくために、色々なものを大事にしながら仕事をしていくこと。
3.実現したい未来
ここまで話してきた課題は、出産などのライフイベントとセットで見えてくることが多いが、実はライフイベントと切り離しても、重要な課題となっている。環境変化前に当たり前に思っていることは、実は当たり前ではなく、古い形での仕事のやり方(=成果の出し方)を続けていては、前に進めないことが多くある。
【古いチームワーク】のモデル
:「同じ」が前提(ズレが悪「同じ釜の飯を食う」「一致団結」)
リーダーがゴールを示してけん引してくれる。
コミュニケーションは報・連・相
関心の対象は「自分の仕事の完了」
同質性を高めてパフォーマンスをあげる
従来の製造業モデルに良くある勝ちパターン
それでよかったときもあるが、それが今はボトルネックになってしまうことも。
【これからのチームワーキング】
:違いが前提(ズレが普通)
全員で成果の実現を探求
コミュニケーションは対話と合意形成
関心の対象は「チームの成果の実現」
いわゆるスーパープレイヤーがいなくても、持続的に成果を上げるチームになることが重要。マッチョなマネージャーが引っ張るストロングなチームではない。
株式会社NOKIOOは、この「連携して成果を最大化する組織への変革」を支援することで、日本のチームの景色を変えようとされている。ちなみに小田木さんの会社では、実際に、個人目標を撤廃し、完全にチーム連携での成果・その貢献を評価する仕組みを導入しているとのこと。
4.質疑応答
Q 働く時間が短いことが負にならないのは理想だが、実際、時短をとると査定がマイナスになるので、個人としてどう折り合いをつけていったらいいのでしょうか…
A かけ声だけなく、仕組み・評価制度も含めて、良い人材に支持される組織になりたいという動きは出てきている。良い人材が離れていってしまう、という危機感から、ようやく重い腰があがっている企業も増えている。今は過渡期のため、兆しが見えていない企業もあるかもしれないが、長期目線でいくとそういった会社は人材に支持されないということになり、変化していかざるを得ないので、じわじわ変わってくると感じている。
Q そのような(会社が変わっていく)動きを加速させるために、個人としてどういう働きかけができるのか。
A 最小単位で変化できるという意味では、その人がリーダーシップをとれる小さいチームで仕事のやり方・連携の在り方、大事にしたい成果の出し方は変えていけるのではないか。「半径5メートルからまず変えていく」その人一人の努力だけにしない、巻き込むことが重要。
Q 仕事を渡す側になると、わかりやすく頑張る人に任せたくなったり、2:8の法則のように、まんべんなくチーム全員でがんばるのは難しかったりするが…
A 確かに短期的にはそれで成果が出ることもあるかもしれないが、特定の人だけに負荷がかかってしまい、長期的・持続的に成果が出るのかということがある。やはりそこには、「なぜ、人は連携できないのか」というテーマがあり、そこには「助けて」とその一言が言えないこともあると考えている。マイナスをゼロにすることのみならず、さらに価値を生み出すことが必要ななかで、助けを求める力は、必要なビジネススキルだということを普及させたい。これは、何か大きなプロジェクトに向かうときだけでなく、日々の小さな仕事から大切なスキルだと考えている。
このテーマについて、小田木さん著書の“ヘルプシーキング”の入門書「仕事は自分ひとりでやらない」(2022年4月出版)にまとめられてる。
おわりに・・
株式会社NOKIOOでは、HR関連の様々な情報発信やイベントを定期的に開催されているので、まずは、情報収集から始め半径5メートルの範囲で変えられることを探していくと良いと感じました!
気さくで温かく、参加者の目線に立ったお話をしてくださった小田木さん。そのリアルで等身大のお話に共感することばかりで、大きなパワーと学びをいただきました。個人としては「半径5メートルの範囲で変えていくこと」、組織としては「成果の出し方」を再考していくことがポイントだと学びましたので、早速実践していきます。小田木さん、参加者のみなさん、貴重なお時間をいただきありがとうございました!