AI・コロナ時代を生きる子どもたちの『能力』を引き出す3つの方法
こんにちは!グロービス・ワーキングペアレンツ・クラブ(GPC)幹事の北みゆき(2018期東京校)です。
「AI・コロナ時代を生きる子どもたちの『能力』を引き出す3つの方法」と題し、子育て・教育専門家である石田勝紀氏をお招きして実施したイベントについてお伝え致します。
今回のイベントに先んじて、石田さんの著書である「こどもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」を題材にした読書会も実施しました。(実施レポート)
石田勝紀 氏
一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事 / 都留文科大学 国際教育学科元特任教授 / Yaoo!ニュース公式コメンテーター
20歳で学習塾を起業。これまで4000人以上の生徒を直接指導する傍ら、講演会、セミナーなどを通じて5万人以上の子どもたちを指導。
35歳で、都内私立中高一貫校の常務理事に就任し、経営、教育改革を実践。
現在は「日本から勉強嫌いな子をひとり残らずなくしたい」という信念のもと、全国各地で講演会、カフェスタイル勉強会「Mama Café」、研修会を年間400回以上主催している。
『東洋経済オンライン』での人気教育連載コラム「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」は、累計1億万PV超を記録。
石田さんはこれまで学習塾を経営する中で、子育てや教育に悩む母親たちに寄り添い続けた経験から、子ども達の未来に強く影響を及ぼすのは母親であるという確信を持ち、育児・家事・仕事に追われる母親たちの気持ちを少しでも楽にするためにママカフェを始められました。ママカフェは年間100回、これまで5年間続けて、延べ1万人が参加したそうです!
前半では、石田さんの多数のご著書の中でも、「こどもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」と「同じ勉強をしていてなぜ差がつくのか?」の内容を中心に講義をしていただきました。
後半では講義の内容や、事前に挙げられた質問内容を元に、質疑応答を実施しました。
冒頭に、現代の時代背景とそこで求められる能力を踏まえ、今の時代に「家庭教育で」必要とされるスキルを3つ教えていただきました。
1.考える力・表現する力
2.創り出す力
3.人を大切にする力
AIが益々台頭してくる今後の未来においては、人柄や信頼性が重視されるであろうことから「人を大切にする力」を特に重視すべきで、これが自己肯定感ともリンクするそうです。各項目について簡単に解説します。
1.考える力・表現する力
この2つの力は「地頭」とも呼ばれ、パソコンで言えばOSに当たります。地頭を育てるためには問いかけることが大切です。問いかけに対し、子どもが「分からない」と答えたとしても、問いを与えることで子どもが思考を始めるそうです。
問いかけの4つのマジックワードを教えていただきました。
理由を聞く…なぜ?/どう思う?
具体と抽象の往復をさせる…要するに?/例えば?
「分からない」という子どもの回答だったとしても思考をし始めるきっかけになるのでOK!というのは新しい発見でした。マジックワード活用で子どもとの会話がさらに楽しくなりそうですね。
2.創り出す力
ワンパターンから外れる習慣
「いつもと同じ」や「人と同じ」と別の選択をすることでクリエイティビティが刺激されます。
天井を作らない習慣
子どものやりたいことに限界をつくらない、可能な範囲でやりたいことをとことんやらせることが大切です。突き抜けることでクリエイティビティが生まれます。
実験してみる習慣
「まずやってみよう」の姿勢が大切です。
創造力を引き出すマジックワードは「どうすればいいだろう?」
この問いかけにより子どもは何とかしようと自力で考えようとします。
3.人を大切にする力
人を大切にするためには子どもの自己肯定感を高めることが大切です。自己肯定感は良い部分もそうでない部分もひっくるめ、ありのままの自分を受け容れることです。子どもの自己肯定感を高めるための取組みとして2つの方法を教えていただきました。
子ども手帳を使ってみる
10のマジックワードを使ってみる
子ども手帳を使ってみる
子ども手帳は小学生にお勧めの取組みです。子どもは「現在」にフォーカスしがちで「過去・未来」の前後を含めた時間軸を認識できるようになるのは小学校高学年から中学生の時期だそうです。
小学校時代の自分自身を思い出し、確かに、その日暮らしだったことを思い出しました(笑)
子ども手帳の使い方は、予定を見える化して、こなした予定を塗りつぶしていきます。消し込む毎にポイントを加算する等、ゲーム要素を織り込んでいくことで子どもは楽しく予定に向き合うことができ、ゴールや進捗状況を見える化してあげることで、子ども自身が予定を把握しやすくなります。子ども手帳の使い方は以下の記事も是非ご参考にしてください。
効果大!子どもの生活習慣を整える「手帳術」
石田さん監修の子ども手帳もあるそうですよ!
やり方のポイントは2つあり、子ども自身に「こういうのあるけどやってみる?」と問いかけ、取り組みをするかどうかを自分で決めさせるということと、一週間毎等、期限を決めて更新制にするということです。例えば朝起きる習慣を付けたい場合には、ポイント5倍アップ、と、付加ポイントを変えることで、子どもはやる気を見せてくれます。ポイントで交換できるものとしては、子どもの欲しい物よりは文具などがお勧めです。子どもの欲しいものを与えてしまうとモチベーションが一気に低下してしまうことがあります。オプションとして親がコメントをしてあげることでも子どものモチベーションがあがります。
我が家の子は4歳なので小学生になったら是非試してみたいと思いました!
10のマジックワードを使ってみる
マジックワードの前に、避けるべき「ブラックワード」があります。
「きちんとしなさい」「早くしなさい」「勉強しなさい」
これらの使用をなるべく避け、以下のマジックワードに置き換えていくことをお勧めしていただきました。親子の関係は双方にギャップがあり、親子関係を上下関係のように捉えがちな親に対して、子どもは親のことを同僚のように対等な立場として見ているそうです。「同僚に言われて嫌な言葉」を子どもにも言うべきでないという面白い視点をいただきました。
充実した講義の後に質疑応答のお時間をいただきました。
いくつかピックアップしてお伝えします。
Q:親としてテストの点数がやはり気になってしまうが、テストとの向き合い方を教えてください
石田さんのご回答:
勉強にはやり方がありますが、子どもはそれを知りません。まずは大人がやり方を教えてあげることが大切です。例えばただひたすらに書いて覚えようとするのではなく、問題集を何度も繰り返し、分からない問題を解けるようになることが「頭が良くなる」ということです。成長のために出来ない問題を認識することが大切です。また、他の子と比較せず、過去のその子との差分で成長を認識してあげましょう。
Q:日本の社会で世界に通用する子を育てるために心掛けることを教えてください
石田さんのご回答:
世界中の教育を見てきましたが、基盤の部分(本日ご紹介いただいた3つの力)が何よりも大切です。基盤さえ整っていれば場所も時代も関係無く活躍できます。
Q:石田さん自身が子育てで意識していること、実践していることを教えてください
石田さんのご回答:
同じ目線で話し、なるべく子どもの話を聞くことを大切にしています。子どもとの雑談もたくさんするようにしています。コミュニケーションの量が信頼関係を強くする側面もあります。また、「今、中学生は何をしているの?」と言うように、子どもから学ぶ姿勢も大切にしています。他には子どもが興味を持ったものは一緒に見に行ったり、親が興味の有ることに子どもも一緒に連れていくことで親の楽しむ姿を見せて育てることができます。「子どものために」と思わず、一緒に楽しむことを心掛けています。
あっという間の1時間半でまだまだお話を聞きたい余韻に包まれながらのイベント終了となりました。会の途中に石田さんから、本日の学びを全て網羅しようとするのでなく、3つだけでいいから実践してみたいことを書き出してみよう、というお話がありました。私は「いつもと違うことを子どもと選択してみる」「子どものやりたいことをとことんやらせる」「子ども手帳に取り組んでみる」を実践したいと思います。また、ママカフェにも参加してみたいと思いました。
石田さん、本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!