K-1後の世界 〜Road to Reintegration〜 木村ミノルのドーピングと日本格闘技界の闇 前編
久々に筆を取らざるを得ない事件が起こった。木村ミノルのドーピング陽性の件である。この件は、木村ミノルの処遇や、その決定を取り巻く状況に重大な問題があると感じている。列挙すると
【1】処罰が軽すぎる;永久追放すべき
今回の処分は木村ミノルの、RIZINにおける6ヶ月間の試合出場停止、という信じ難いくらい軽いものであった。6ヶ月など、格闘技の試合間隔としては普通に生じるものである。実質的にはペナルティとなっていないだろう。個人的には、今回のケースは、木村ミノルは少なくともRIZINの興行からは永久追放されるべきと考えている。理由は以下の3点である。
①格闘技という競技の特殊性
格闘技は究極のコンタクトスポーツであり、相手の身体に(同時に精神的にも)深刻なダメージを与え得る競技である。意図的に、禁止されている薬剤等によってフィジカル・パフォーマンスを向上をさせ、試合に臨むことは、凶器を隠し持って試合をすることと何ら変わりないと言え、極めて危険な行為である。大袈裟でも何でもなく、傷害事件として立件して欲しいケースだ。
②意図的な使用であった点
今回のドーピング陽性は『ただの陽性』ではない。本人が意図的に使用したことを認めているという、大変に特異なケースなのだ。摂取した汚染サプリメントや、治療のために投与された薬剤などの影響で陽性となってしまうこともあるため、陽性=永久追放という規則にすることは問題があるが、本人が意図して摂取した場合は、情状酌量の余地は無く、もうこれは永久追放すべきである。
③木村ミノル本人に、反省の色が全く見られていない点
木村ミノルは、対戦相手への謝罪の弁をほとんど述べておらず、それどころか復帰についての話をする始末である。もう、開いた口が塞がらない、という会見内容であった。不愉快極まりない、傲岸不遜な態度であり、イチ格闘技ファンとして激しい怒りを覚えた。木村ミノルの試合など、二度と見てやるものか、と思った。
【2】RIZINの運営が不誠実;ドーピングは安全性、公平性など、競技の根幹に関わる事柄なので、真摯に対応すべき
今回の件では、RIZIN運営の対応の稚拙さ、不誠実さが露呈している。すぐに思いつく事だけでも3つはある。列挙してみよう。
①今回のドーピングチェックについては、木村ミノルに対し行うことは発表されていたが、結果を発表するかどうかは、当初は明言されていなかった。チェックしたのであれば、当然その結果は公表すべきである。意味不明である。
②ロクク・ダリ選手は多大なダメージを負わされた上に、戦績にも敗北を付けられた被害者である。彼に対する充分な経緯の説明、謝罪、補償をする責任が、(さんざん疑惑をかけられていた)木村ミノルをリングに上げた運営側にはあるはずなのだが、ダリ選手への対応が現時点では全くなされていないようである。意味不明である。
③RIZINは実はこれまでにもドーピングチェックを行ったことがあり、木村ミノル以外にも陽性者が居たという。なぜそれを発表しないのか、対戦相手への対応がなされないのか。意味不明である。
ここまではRIZIN中心にこの問題を論じてきたが、次回はもう一段高い視点から、つまりは格闘技界全体から、という観点で、私の考えをまとめていきたいと思う。ぜひ、おつきあいください。