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01.スマートに会計したがる男(TikTok)



レストランでデート中
食事が終わってそろそろ帰るところ
テーブルの上には空いた皿と伝票と男の財布がある

コーシ 美味しかったね。また来ようよこのレストラン。(時計を見て→)……じゃあそろそろ出よっか。トイレ大丈夫?

マイ  さっき行ったよ?

コーシ あれ、行ってたっけ? ……じゃ念のためにも1回行こ?

マイ  ??? だいじょうぶ。


コーシはちょっと焦って


コーシ んー、でも一旦行っとこうよ。

マイ  一旦!?

コーシ だって次までもつ?

マイ  なに? ここサービスエリア?

コーシ あ、じゃあほら。メイク直せば?

マイ  ……どういう意味?


少し間を置いて、コーシがマイの怪訝な表情を察する


コーシ あ、違うよ! もちろんマイはとってもキレイなんだけど……ほら、メイクってキープし続けるのは不可能っていうか難しいっていうか?……だって、ウルトラマンも3分が限界だし。

マイ  メイクをなんだと思ってるの!?

コーシ あ、いやいや3分言いすぎだけど……ほら! 経年劣化とかあるし。

マイ  経年!? 劣化!?

コーシ あー違う違う! 今のは言い方が悪かった! 俺が言いたいのはそーゆーんじゃなくて……。

マイ  じゃあなに?

コーシ いやあ、なんていうんだろ。べつにメイクとかトイレじゃなくてもいいんだけど……一旦いなくなってほしいというか……。

マイ  いなくなってほしい!?

コーシ あ! 待って待って! 変な意味じゃないから! なんていうかこう……俺が見られたくないっていうか。

マイ 何がしたいの?

コーシ あー、えーと……。


コーシは焦りながら考え込んだ後、思いついたように(ここで男は「自分がトイレ行くフリしてお会計してくればいいんだ」と気づく)


コーシ あ! じゃあ俺が行くよ! トイレ。

マイ  あ、うん。いってらっしゃい。

コーシ うん! そうそう、俺が行けばいいんだ。(←すっごい笑顔)


コーシは財布と伝票を持って立ち上がる。


マイ  待って。

コーシ え、なに? どうしたの?

マイ  持ってくの?


コーシはマイの視線を辿って財布と伝票を持つ自分の手を見る
コーシは焦ったように


コーシ ああ……だよね! トイレ行くだけだもんね! 財布なんていらないよね! 伝票もいらないよね! お会計じゃないんだからね!(←「マイにバレないようにお会計したい」ということがこのセリフで気づかれそうになるから『ヤベっ!』って顔して)


ソワソワ座りなおすコーシ


マイ 行かないの?

コーシ え、あ、ああ! 行く行く行くよ? ……ちょっとさ、1個お願いがあるんだけど。

マイ なに?

コーシ 俺トイレ行ってあげる(←ちょっとだけ強調)んだから、その後マイも行ってよね!

マイ  頼んでないけど!?

コーシ 約束だからね! 俺行ってきて、次マイだからね! 頼むね!


 コーシは伝票を置いてトイレに行く、しばらくしてコーシが帰ってくる(スマートキャラを装って)


コーシ 悪いね待たせて。(着席)じゃあマイ行ってきなよ。

マイ  え? いかないけど。


 コーシはへたれキャラに戻って


コーシ え!? な、なんで!? 約束したじゃん!

マイ 私はしてないもん。

コーシ ちょっと、それは困るよぉ……


落胆して俯いたコーシはテーブルに伝票がないことに気づいてキョロキョロと探す
コーシは焦ったように


コーシ あ、あれ? 伝票……伝票は?

マイ  あ、払っといたよ。

コーシ え……?

マイ  美味しかったね。

コーシ ……かっこいい。

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