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【全6コーナー収録】カージナルス2024・前半戦のすべて〔8月中旬まで〕

日々天国と地獄の狭間を彷徨っているMLBファンの皆さま、こんにちは。

今年も懲りずにカージナルス全試合をリアタイ視聴しております、goyadiです。


昨年は思い出したくもない程酷いシーズンでした。プレーオフの希望があった前半戦はまだマシで、本当に地獄だったのは後半戦。夏以降は集中力を切らした主力が軒並み怪我で離脱し、意味のない試合がひたすら続くまさしく地獄絵図
試合は義務感で見てはいたものの、明らかに時間の無駄だと感じていました。

しかし年が明けた今シーズン。主力となっているのは、これまでチームを支えてきたベテランではなく、ウィンやバールソン、シアーニなど昨季後半戦に経験を積んだ若手たち。

今年は毎試合のように彼らの成長を見ることができており、苦しかった昨季も無理して観戦し続けて良かったと今更ながら思っています。

そんな世代交代に成功しつつある2024年の新生カージナルスの前半戦を、今回は全6パートにわたって様々な角度から深掘りしていきます。各コーナーは独立しているので興味のあるものだけご覧になって頂いても構いません。が、全て読めば8月までのセントルイス・カージナルスを全網羅できる内容となっております。

カージナルスファンの方も、カージナルスなんかク◯食らえ!という方も、情報収集の一環として是非ご覧くださいませ。



#1 【2分で把握】前半戦のSTL

テンションが上がると男梅になるでお馴染みコントレラスさん

◆ 歯止めが効かない低迷

大谷翔平と山本由伸の影響で日本の野球ファンからの注目も高かったドジャース開幕4連戦。

開幕投手は新加入のソニー・グレイ、のはずがまさかの開幕直前に怪我で離脱。さらにはRFヌートバーにCFエドマン、OFカールソンに新加入SUミドルトンまで離脱と、1試合も戦っていないのにもかかわらず瀕死の状態で開幕を迎えました。

もちろんこんな状態で王者ドジャースに太刀打ちできる筈がなく、開幕4連戦は1勝3敗。続くパドレス3連戦はコントレラスの2HRで勝ち越しも、期待の新人SUオブライエンとベテランDHカーペンターが故障でIL入りとなります。それでも4月10日にグレイが、12日にはヌートバーが復帰。投打の主力復帰で波に乗っていきたいところでした。しかしチームは波に乗るどころか何とさらに低迷。その原因は打線の不調でした。

では一体誰が原因だったのか?
信じられないかもしれませんが、なんとコントレラス以外の主力全員が不振に陥ってしまったのです。

まず4番アレナドは今季第1号がキャリアで二番目に遅い開幕14戦目と長打が出ず。また同じく大砲のゴールディ、ゴーマン、ウォーカーは4月18日時点で三人合わせて打率.184(34-184)/4HR/OPS.572。4月9日からの9試合では三人の合計82打数のうち三振が26、打率.158で長打はわずか3本(1HR)という有り様。
そしてエドマン/カールソンの穴埋めとしてCFで日替わり出場していた新人スコットⅡとシアーニは、4月18日時点で二人合わせて打率.084(6-71)/20三振。これで勝てる訳がありません。4月23日AZ戦ではゴールディの今季2号で同点とした後にゴーマンの劇的サヨナラ弾が飛び出しますが、両者ともに数日の好調のあと再び不振に陥ります。

また投手陣では先発5番手マッツが炎上連発の末腰痛でIL入りし、8月まで復帰絶望に。平均球速の低下を改善するために無理して飛ばした結果4月24日AZ戦で腰を痛め、その痛みが治らないまま5月1日DET戦に登板したためです。さらに長年STLのブルペンを支えてきたガイェゴスが13試合で防御率12.00と大変なことに。勤続疲労により球速が低下したことが原因で、手の施しようがない状態にありました。

そんな中で唯一明るい話題となっていたのが、フロントの変わり様でした。昨季の大失態を受けて再起を誓ったフロント陣は、開幕前には低予算の中で最大限の補強を敢行。そしてシーズンに入ってからも、昨季とは見違えるほど積極的に動きます

まずは結果を残せていなかった若手3選手、RFウォーカー、SPトンプソン、CFスコットⅡのマイナー降格を開幕5週目時点で決断。また内野陣に余裕を持たせるためにINFファーミンを、守備に不安のある捕手陣のバックアップとして第3捕手パヘスを昇格させます。さらには炎上続きのRPガイェゴスを(恐らく)ファントムILへ。その穴埋めとしてマイナーで好成績を残しており回跨ぎもできるリリーフコンビ、ロイクロフトとリーヒーを昇格させます。

こうしてフロントはやれることを全て行い、再起待ったなしとなった5月。しかしこのタイミングでチームをさらにどん底に突き落とすニュースが。なんと打線の唯一の希望であったコントレラスが骨折で前半戦絶望となったのです。

こうなるとチームの低迷は止まりません。5月4日からのホーム3連戦ではリーグ最下位のホワイトソックスにまさかの負け越し。さらに続くメッツ2連戦と敵地ブルワーズ戦でも負け続け、なんと悪夢の7連敗。毎年開幕1ヶ月で打たれ始めるグレイも案の定打たれ始め、投打ともに頼れる選手が誰もいない絶望的な状況となりました。


◆ すべてを変えたレジェンドの復帰


「暗黒カージナルス、2年連続の最下位まっしぐら」

そんなメディアの煽りがファンの焦りを募らせていた5月中旬、暗いチームに一筋の希望の光が差し込みます。DHマット・カーペンターの復帰です。

打線を繋ぐ指名打者として、そしてチームのメンターとして今季3年ぶりに古巣に帰還した大ベテラン。12日の試合前にカーペンターが復帰するとすぐさまクラブハウス内の雰囲気は明るくなり、選手たちにもこれまでとは別人のように笑顔が戻っていました。
この日の試合は惜しくも逆転負けを喫してしまいますが、打線はマルチ安打を放ったカーペンターの活躍もあり25試合ぶりの12安打と久々に爆発。大不振に陥っていたゴーマンは2安打、ゴールディにも33打数振りのヒットが生まれます。

そして7連敗で迎えた5月13日ブルワーズ戦。
のちにこの試合が今季前半戦最大のハイライトとなるのです。

初回、先発マイコラスは制球が定まらずに3失点。追いつきたい打線は序盤からチャンスを作るも得点出来ず、いつものように敗戦ムードが漂います。
しかし3回表、微妙な判定を繰り返す審判団にマーモル監督とデスカルソコーチが過去最大の激昂で退場処分に。「俺らはまだ死んじゃあいない」と言わんばかりの猛抗議で、首脳陣自らが選手たちに戦う姿勢を見せつけます。

するとここから試合の流れが一気に変わります。先発マイコラスは2回以降を完璧な投球で無失点に抑えると、ゴールディはHR&タイムリーで2打点と完全復活。またこの日3年ぶりの1番打者を務めたカーペンターは1安打1四球と活躍を見せ、7回表にはシアーニが逆転タイムリー。終盤は勝ちパターンが強力MIL打線を封じ、9日ぶりの勝利を手にしました。

また翌日の敵地LAA戦では、7回表に2試合連続で1番に座ったカーペンターが同点タイムリーを放つなど一挙8得点で逆転勝利。続く15日の試合も4試合連続二桁安打となる12安打7得点の猛攻で勝利し、3連勝で借金を7にまで減らすことに成功しました。

こうして、かつてチームの黄金期を支えたレジェンドがチームを救ったのです。

電波少年のなすびに似てるでお馴染みカーペンターさん


◆ 借金返済、そしてリーグ最強チームへ


しかしこれだけチームが復調の兆しを見せているにもかかわらず、ファンは全く安心することが出来ませんでした。
実は暗黒シーズンとなった昨季もチームはほぼ同時期に同じような復調の兆しを見せていたのです。どれだけ低迷するチームにも一度は全てがうまくいく時期(以下、ブースト期)があるもの。昨季はこのブースト期がリリーフ陣の崩壊により3カードで終わったことで、取り返しのつかないことになってしまいました。


こうして迎えたブースト1カード目BOS3連戦は、好調の打線が火を吹き2勝1敗。先発陣は直近9試合でQS1回も、覚醒間近のウィンやバールソンら若手を中心に打ち勝つ野球で勝ち越しました。続くブースト2カード目は強豪BAL3連戦。下馬票ではア・リーグ最強チームBAL相手にSTLは歯が立たないとされていましたが、ブースト期のチームには劣勢などお構いなし。なんと接戦3試合を全て制し、今季初スイープをお見舞いします。特に第3戦(ダブルヘッダー2戦目)は勝ちパターンが一切使えない中、キング、リーヒー、フェルナンデスとブルペンのサブメンバーが大奮闘。ヌートバーのスーパーキャッチもチームを救いました。そしてブースト3カード目のカブス2連戦もスイープ4カード目のレッズ3連戦も勝ち越し。5カード連続の勝ち越しで、僅か1ヶ月で勝率5割復帰を果たしたのです。

その後はヌートバーの故障や内野陣の守乱(23試合で26エラー)がありつつも、チームは前半戦終了時まで好調を維持。例の試合(5月13日ブルワーズ戦)以降の35勝22敗はなんとリーグ最高勝率
ウィンやバールソン、シアーニら若手野手の活躍、そして前年とは比にならない程のブルペンの層の厚さが昨季とは違う結果をもたらしました。

そんな絶好調だったカージナルスも、後半戦に入ると主砲アレナドの腰痛疑惑やブルペンの勤続疲労など様々な問題を抱えることになるのですがそれは後ほど。
続いては選手別の寸評です。


#2 カージナルス全41選手"ゆる"寸評

今季前半戦に一軍に登録された全41選手+αの個別寸評です。成績は前半戦終了時点、寸評は投稿日(8月上旬)までのもの。

人数が多すぎるのであくまでゆるーく触れていきます。私がその選手の名前を見て思ったことをそのまま書いているだけですので、軽い気持ちでご覧ください。

◆ 先発

※番号は前半戦ローテ順/*は左腕

①ソニー・グレイ
 bWAR:1.3
17G 99.2IP 3.34 9-6 121K

開幕5試合目まではERA0.89と無双していたものの、その後は度々炎上。元々被打率の高い直球系(4SとSI)の制球が乱れると炎上する傾向があり、特に今季は被弾数がキャリアワーストレベル。6月以降の15先発ではERA4.83と、異様に三振の取れるバッティングピッチャーと化してしまっている。

ただグレイの名誉のために明記しておきたいのは、被本塁打以外のスタッツは素晴らしいということ。今季の奪三振率とBB%はキャリア2番目に優れた数値で、ハードヒット率も過去3シーズンで最小。
よって、被弾さえ減らせればあっという間に球界トップクラスの先発投手へと返り咲くことが可能である。FAバストと呼ぶにはまだ早い。

プレー以外の面で驚いたのは、登板日以外の試合ではベンチで盛り上げ役に徹するなど思いの外明るい性格だったこと。試合中に金的を喰らった捕手ヘレーラの股間を2イニング連続で触りにいったのは前半戦の名シーンだった。なんでヘレーラもちょっと嬉しそうなんだよ。

5月28日 CHC戦


②カイル・ギブソン
 bWAR:0.9
18G 101.2IP 4.16 7-3 96K

先発2人ローテで回しているカージナルスの、グレイじゃない方の先発。ERAは4点台も序盤の大炎上を除けば指標は平均以上で、イニングも食ってくれるので相当印象は良い。前半戦ベストゲームは、7回1失点9Kでチームの劇的逆転勝利に貢献した5月1日DET戦(ダブルヘッダー1戦目)。7回の大ピンチを抑えて咆哮、その後マーモル監督に「信頼してくれてありがとう」とハグ。まああの試合は相手先発が勝手に古巣に逆恨みしてきて完全投球を見せたアイツだったから勝てた嬉しさが大きくて印象に残っているんだけど。

フラハティ、お前98マイル出るピッチャーじゃなかっただろ

5月1日 DET戦


③マイルズ・マイコラス
 bWAR:0.2
20G 112.1IP 5.13 7-8 77K

何失点しても6イニングを投げれば良いと思ってる、イニングイーターの意味を勘違いしている男
3回に1回は好投するも、うち1回は微妙な内容、そして残り1回は大炎上して試合を壊すのでなんの意味もない(20登板中6登板で5失点以上の炎上)。炎上のパターンは大体同じで、6イニングのうちのどこか1イニングだけ滅多打ち。6月中旬には連続して圧巻の投球を見せていたので、後半戦はあの時期を思い出して投げて欲しい。というか投げてくれないと困る。うっかり昨春に年俸$20Mで3年間契約延長しちゃったんだから

④ランス・リン bWAR:-0.5
19G 96.1IP 4.39 5-4 92K

マイコラス同様3回に1回は炎上するし、それでいて全然イニング食わないしでファンの印象はそこそこ悪い。でもなんか人気はあるみたい。
高めに4Sとカッターが決まれば三振は取れるものの、年齢で球速も落ちているので制球を間違えた途端に簡単に爆発。それでも後半戦初登板の7月24日には、P.スキーンズへの対抗心からか初回から95mph超えを連発し5回0失点と好投。マイコラス(スキーンズ相手に7回0失点)といい、個人的に負けたくない時にだけ本気出すオジサン達はどうにかならないのか

右膝に痛みを抱えながら登板した7月31日には、速球を投げられない代わりにCHを多投したところ相手打線が対応出来ずに予想外の好投。ただ試合後には15-day IL入りとなってしまった。8月末には戻れるかな。

⑤アンドレ・パランテ bWAR:0.3
17G(8GS) 51.1IP 4.21 4-4 41K

個人的前半戦最注目投手。この人が先発ローテに定着できるかどうかによって今後のチームの編成も大きく変わってくる。
まず球種は最大の武器である真っスラとシンカー(ツーシーム)、そしてナックルカーブとスライダーの4つ。つまり直球系2、変化球2。そして現段階での攻め方としては、右打者には内角へのシンカーと外角低めのスライダーを(真っスラと織り交ぜながら)投げ込み、左打者には真っスラとナックルカーブの2球種でゴリ押しといった具合。

7月10日 KC戦

シーズン序盤は真っスラ以外の球が全く制球出来ず。ただ6月16日CHC戦あたりからシンカーの制球力が上がり、前半戦ラストの7月11日KC戦ではスライダーの球速が1マイル上昇し制球力もアップ、と登板を追うごとに徐々に進化。オフに習得したデスボール(タイプの違うナックルカーブ)は結局元のナックルカーブと近い形にはなっているものの、こちらも段々と制球が良くなってきている。
そんな中で現時点での最大の課題は、左打者への攻め方のアップデート。実はパランテ登板日の相手チームの左打者は平均以下の選手が多く、そのためこれまでは真っスラとナックルカーブのゴリ押しで逃げ切れてしまっている。ただ以前アストロズ相手に炎上したように、このままだと今後左の強打者が並ぶチームと戦った時に滅多打ちにされてしまう可能性が高い。よって現在ワンパターンになってしまっている対左への攻め方の改善が今後の明暗を分けることになる。開花まであと一歩。がんばれ。

スティーブン・マッツ* bWAR:-0.6
6G 27.2IP 6.18 1-2 17K

打って変わってこちらはファンもフロントも完全に諦めている、セントルイスが誇るFAバスト。4年契約3年目の今季も3年連続で何も出来ず。
昨季後半に先発再転向した際は、制球改善(CHを低めに)&投球割合変更(CVの割合を大幅に減らし実質SIとCHのツーピッチに)&SIの球速2mph上昇と主に3つの改良を行い好投。さらにオフにはCHの縦変化量を5cmアップ。「高めのSIでカウントを稼いで低めのCHで空振りを奪い、稀にアクセントでSLとCVを入れる」スタイルがハマり、昨季7月から今季4月までの9先発ではERA1.84。3年目にしてようやく先発ローテに定着したと思われていた。

3月31日 LAD戦

そんなマッツに最初に異変が起きたのは4月18日OAK戦。この日は投球フォームのバラつきが酷く制球が散々で、5回5失点と試合を作れず。また球速も出ていなかったため「マッツは95mph+を出せる日は好投する」説が一段と立証された日となった。するとこの反省を生かしたのか、一週間後の4月24日AZ戦では初回から過去最高レベルで出力を上げ96mphを連発。しかし50球を超えた辺りから息切れし始め、85球以降は92mphも出ず7失点と炎上。そしてこの試合で腰を痛め、それにもかかわらずチームは翌週のDET戦でも登板させた結果重症となり8月中旬までの離脱が決定。個人的にはチームの健康管理はどうなってるんだという気持ち反面、昨年も終盤に背中を痛めてシーズンエンドとなっているのでいずれにせよ身体的に先発ローテは厳しかったようにも思える。
仮に今季中に復帰できたとしても先発枠がない(あったとしても若手を試したい)ので恐らくロングリリーフ。来年の先発ローテ構想にも入らない場合は放出もあり得るかもしれない。

ザック・トンプソン* bWAR:-0.7
5G(2GS) 17.0IP 9.53 0-2 20K

カッターの習得が奏功し昨季後半戦に先発ローテに定着も、オフにチームスタッフの計画通りに大減量した結果球速が落ち炎上続きとなってしまいマイナー生活に(そりゃそうだろ!)。
もうSTLのピッチングスタッフは軟投派が好きすぎておかしくなっているので解散したほうがいいのかもしれない。もっというとCardinal Way、あれが全ての元凶。Cardinal Wayは時代遅れ、今すぐアップデートすべき。そんなnoteをいつか投稿しようと思ってます。

ゴードン・グラセフォ bWAR:0.0
2G(1GS) 7.2IP 4.70 0-1 6K

6月29日にお試し昇格(MLBデビュー)し、7月11日にブルペンデーでプロ初先発。球速に安定感が無く、日によって速球の平均が97mphだったり93mphだったり。三振を奪うタイプではなかったものの、今年はSLに磨きがかかり奪三振力もアップ。またデビュー戦ではAAAではあまり投げていなかった右打者に対してのCHが、8球で空振り率50%とかなり刺さっていたので今後使っていくのもアリ。

アダム・クロフェンステイン bWAR:0.1
1G(0GS) 1.0IP 0.00 0-0 0K

本来は先発も、お試しで初昇格したリックウッドフィールド・ゲームでは8回1点差の場面でギャンブルセットアッパーとして起用され零封。登板中は球場のスコアボードが小さく、自分がセットアッパーを務めていることには気付かなかったらしい。そんなことあるのか。
グラセフォ、リベラトーレ同様、もっと上で先発させたい選手の一人。

エリック・フェッディ
-(TDL後に加入)

移籍後初先発のCHC戦では5回5失点とプチ炎上も、女房役コントレラスが「相手はシンカーとスイーパーが低めに外れると分かっているので手を出してこない」とミットを高めに構えたところ見事に策がハマり、翌試合では5回1失点と好投。サンキューコントレラス。
リンのIL入りを考えると本当に獲得しておいて良かった。

8月8日 TB戦

マイケル・マグリービー
-(後半戦に初昇格)

TDL明けにプロ初登板初先発の機会を与えられると、得意の打たせて取るピッチングで7回1失点と好投。特に制球が素晴らしく、四球は僅か一つのみ。相手に的を絞らせない多彩な球種の投げ分けも素晴らしかった。
試合後のインタビュー中には先発陣の先輩マイコラス&ギブソンから祝福のシャワー。リンがIL入り、かつパランテに安定感が無いのでもしかすると先発5番手の座に入るかも。

8月1日 TEX戦

◆ ブルペン

CL ライアン・ヘルズリー bWAR:1.5
41G 42.0IP 2.36 32(/34)SV 48K

100mphの直球と大きく曲がるSLで、全体最速30SV&球団新記録31連続SV機会成功とこれ以上ない働きを見せている絶対的守護神。前半戦32SVは球団新記録で、年間SV数の球団記録(48)更新の可能性も十分。
稀に直球の質が悪くSLも制球難という絶望的な状態になるも、前半戦で本当にヤバかったのは5月26日CHC戦と6月25日ATL戦くらい(両日とも相手に打ち損じで奇跡的にSVを記録)。ただ8月以降は少し荒れがち。以前は球威で圧倒していた直球の被打率が今季は3割を超えているのが少し気になる。
今売ったら高いだろうなぁ。

SU ジョジョ・ロメロ* bWAR:1.2
43G 40.2IP 2.43 26HLD 34K

昨季後半に前人未到の"一人勝ちパターン"で大活躍(酷使され過ぎて9月にシーズンエンド)を見せた8回の男は序盤は大活躍も、6月中旬から疲れが見え始め一時は勝ちパターンを外されるまでに。その後はやや復調も以前のような支配的な投球は出来ておらず、防御率ほどの安定感は全く無い
6月4日HOU戦では前日に1.1IPにもかかわらず30球を投げさせられた結果決勝2ランを被弾、そしてこの試合からおかしくなった。首脳陣ももう少し丁寧に扱って欲しい。
前半戦で印象的だった試合は6月15日CHC戦。同点の8回2アウトから火消しで登板すると、P.ウィズダムに打球速度111mph/角度33°と特大の当たりを被弾、打者ウィズダムは確信歩き。しかし打球は風速約20mの逆風に押し返され、加えて落下地点がリグレーフィールド特有の外野スタンドの窪みだったためまさかのレフトフライに。ところがジョジョは打たれた瞬間にHRを確信し打球を全く見ていなかったため、ウィズダムが頭を抱えている横で球審にボールを要求。そして球審にアウトだと言われて外野を振り返り、初めてフライだったことに気付き慌ててベンチへ。
MLB版珍プレー好プレー大賞があれば、間違いなくみのさんが「まーたHRを打たれちゃったよ。今夜は酒でも呑んで忘れるか...えっアウトなのぉ?」ととぼけたアテレコを吹き込んでいたであろう、珍しいシーンだった。

SU アンドリュー・キトレッジ bWAR:0.3
45G 43.1IP 3.53 25HLD 43K

本来セットアッパーを務める予定だった新加入ミドルトンが全休の中でチームがこの位置で耐えられているのは、この人とフェルナンデスの想像以上の活躍があるから。オフにパラシオスとのトレードで加入も、昨季までTJ手術で殆ど投げていないとあってここまで活躍してくれるとは思っていなかった。
ただERA1.88(57G)でASG選出も果たした21年からは速球系の球速が1.5mph近く低下しており、基本は低めのSLとSIで抑えるも少しでも浮くと簡単にスタンドイン。被打率もSL.195に対してSI.297と高いのもまさにそれが原因。本当はもっと登板数を減らしてあげたい。あとはモーションが遅すぎて盗塁され放題なのが気になるところ。

ライアン・フェルナンデス bWAR:1.2
36G 43.1IP 2.08 9HLD 43K

オフにルール5ドラフトで加入すると、STで活躍を見せて開幕ロースター入り。すると高い空振り率を誇るSLを武器に活躍を続け、気付けばトップクラスに信頼できるリリーバーに。元々空振り率は高かったものの投球割合が多くなかったSLの割合を増やしたのが良かった。また今はあまり使いこなせていないCTも昨季マイナーでは空振り率40%を記録した良い球なので、今後の成長にも期待大。
前半戦ベストゲームは6月18日MIA戦。絶不調のジョジョが8回に炎上し同点に追いつかれる嫌なムードの中、9,10回を一人でシャットアウト。10回裏を抑えた後の雄叫びが印象的だった。

ジョン・キング* bWAR:0.5
33G 37.0IP 2.43 5HLD 27K

昨季モンゴメリー&ストラットンのトレードでTEXから移籍するとセットアッパーとして活躍。今季はSTで炎上を繰り返し開幕ロースターからも外れたが、昇格後は徐々に調子を取り戻し6月以降は昨季の姿に。
前半戦で印象的だった活躍は7月4日PIT戦。ブルペンが連日の接戦で疲労困憊の中、一人で9,10回計34球投げきり勝ち投手に。10回裏一打サヨナラのピンチの場面ではブレイク投手コーチから「相手はお前のシンカーに対応出来ていない。生きるか死ぬかの勝負だ。やれ」とハッパをかけられ(本人談)、最後はそのシンカーでショートゴロに。怖い事言うねブレイクさん。

マシュー・リベラトーレ* bWAR:0.4
33G(5GS) 52.0IP 4.15 2HLD 41K

トレード対価のアロザレーナの大活躍により活躍して貰わないと困るものの、今季は安定感の無さから先発ではなくロングリリーフとしての登板が主。雨天延期によりローテ外で6試合に先発したが、そのうち結果を残せたのは6回0失点8Kと好投した6月27日ATL戦のみ。ただ調整期間が無い中での登板なので仕方ない部分も大きい。
リベラトーレの先発としての課題は主に二つ。一つ目は投球スタイルの確立。好投したATL戦では、被打率の高いCTの割合を減らし自慢のSLを生かす実質3ピッチ(4S,SI,SL)が大成功。しかし本来の武器であるCVが生かせていないことやバリエーションの少なさから、より良いスタイルを模索する必要がある。この日は出来過ぎだった。そして二つ目は安定性。リベラトーレは好投する日は分かりやすく球速が出ており、不調の日と比べその差は約2mph。しかも速球系だけでなく変化球も同じような具合なので、不調の日は武器が無く確実に炎上してしまう。この二つの課題を解決できれば来季ローテ入りも夢じゃない。というかローテ入りしてくれないと困る(2度目)

クリス・ロイクロフト bWAR:0.2
18G 22.1IP 3.63 1HLD 21K

ロングリリーフ・サプライズその1。今季序盤にAAAでERA1.38(11G)と好投し5月7日にプロ初昇格すると、その後二度降格はあったもののロングリリーフとして活躍。2m超えの身長を生かし、リーグトップクラスのエクステンションから繰り出される豪速球(SI,4S)でゴロを量産。速球のスピード、ゴロ率、ハードヒット率の低さは全てリーグ上位の数値。有望株でもない27歳のこの活躍は誰も予想していなかった
そしてこの人なかなかの苦労人で、大学時代は野球とバスケをプレーしながら、ファストフード店(Jimmy John's)の配達ドライバー(16年5月-12月)→スポーツ用品店(Dick's Sporting Goods)のカスタマーサービス(17年6月-翌2月)→カーショップ店員(19年8月-21年2月)と渡り歩き、二年間アマチュア野球をプレーしたのち22年6月にプロ入り。そして現在では試合によってはセットアッパーを任されるまでに。仕事で鍛え上げられた精神力とスタミナを生かしてこれからも頑張って欲しい。

カイル・リーヒー bWAR:0.1
18G 30.1IP 4.15 0HLD 20K

ロングリリーフ・サプライズその2。あまりのリリーバー不足により初昇格後即ギャンブル勝ちパ起用で大爆発していた昨季から大きな成長を遂げ、今では試合によってはセーブを記録するほど頼れる存在に。役割はロイクロフトと同じで、登板する際はほぼほぼ2イニング以上確定。今季はこの二人がいるおかげで早い段階で優秀な中継ぎを注ぎ込むことができるのが大きい。7月途中からマイナーに降格していたのは成績悪化ではなく単に枠が無かったため。

ジオバニー・ガイェゴス bWAR:-0.4
19G 17.0IP 7.41 2HLD 17K

昨季から見られた勤続疲労による球速低下は今季更に悪化し、ERA12.00(13G)となった5月7日にファントム感満載のIL入りで一時休養。その後6月22日に再昇格するも球速は戻らず失点が続き、TDL直前の7月29日に40人枠を空ける意味合いもありDFAに。4Sの球速は92mph前後まで落ち、アウトを取るには縦スラの打ち損じを待つしかないという状況だったので仕方ない。

乱闘で柵を乗り越え駆けつける姿、どう見てもHRの打球に指差しする姿、ピンチでも落ち着いた表情のまま普通に打たれる姿、そのすべてが大好きでした。これまでの活躍度は計り知れません、ありがとうGio。

23年6月3日 伝説の指差し
(余裕でHR)

ニック・ロバートソン bWAR:0.0
8G 12.1IP 4.38 0HLD 14K

オニールの対価の一人としてBOSから移籍してきた変則右腕。5月には8試合に登板も結果を残せずマイナー落ち。その後IL入りしAAAで復帰も7月末時点でERA8.24と低迷。ブルペンの層が厚いので今季中のMLB復帰は無さそう、と思っていたら8月12日にDFA。まあオニールのトレードはロースター整理が目的だったから別に良いか。

ライアン・ルートス bWAR:0.1
2G 1.1IP 0.00 0HLD 0K

名門ワシントン大(セントルイス)IT専攻の秀才で、既にチームの分析部門での仕事も経験している25歳。5月21日に初昇格も火消しに失敗しロイクロフトとの入れ替わりで降格、その後TDL明けに1試合のみ昇格し1回無失点も再度降格。もっと試したいけど枠がない。

ライリー・オブライエン bWAR:0.0
1G 1.0IP 9.00 0HLD 2K

オフにSEAから金銭トレードで移籍し、STでの活躍もあり今年のブルペンのキーマンと期待されていた選手。しかし初登板の開幕カードで負傷しそのまま現在までリハビリ中。8月に入りようやくAAAで実践投球も、枠がないため昇格はまだ。代わりに降格させるとしたらリーヒーしかいないが難しいところ。

キーナン・ミドルトン bWAR:-
0G 0IP - 0HLD 0K

オフに1年契約で加入したセットアッパーは、STで負傷しまさかの今季全休。元々スペ嫌いなフロントがこの失敗によりさらに慎重派になるかもしれない。
今季は開幕からずっとベンチにいるけど選手たちはどう思ってるんだろう。

ジェイコブ・ボシオコビック bWAR:-
0G 0IP - 0HLD 0K

5年前に投手転向した今年31歳の苦労人で、7月に初昇格も登板の機会がなく再度降格。その後TDL明けにDFA。一週間位一軍には帯同していたけど、運悪く接戦ばかりで登板させてあげられなかった。

ショーン・アームストロング
-(TDLで加入)

カールソンとのトレードで加入したベテラン右腕。今季はここまでTBでERA5.40(38G)。4Sの大幅な球速下降&SIの被打率上昇、さらに対左に滅法弱い(被打率.350)とあってあまり期待はできなさそう。それでも半年レンタルなので、余程の事がない限りは投げさせ続けることになる。そういう意味ではほぼガイェゴス。

◆ 捕手

ウィルソン・コントレラス bWAR:2.2
51G .271(48-177) 10HR 24RBI .917 DRS-1

捕球時に打者のスイングしたバットが左前腕に直撃し、5月8日にIL入り。この時は骨折とあって前半戦絶望と言われていたものの、驚異的な回復スピードでなんと約1ヶ月半後の6月25日には復帰。得点圏打率の低さがやや気になるものの、ベテラン勢で唯一期待通りの活躍を見せてくれている。

前半戦ベストゲームは7月6日WSH戦。9回表1点ビハインドの状況で相手守護神フィネガンから同点ソロHR。この土壇場での同点劇にテンションがカンストしたコントレラスは、一塁ベース上で立ち止まりガッツポーズ、二三塁間で自軍ベンチへ雄叫び、最後にホームベース上で敵地ファン煽り、と出来ることを全部やっててとても良かった。

イバン・ヘレーラ bWAR:0.6
54G .279(48-172) 3HR 19RBI .718 DRS-7

コントレラス不在の30試合でチームが低迷しなかったのは、この人が打率.311(32-103)と奮闘してくれたおかげ。41回走られて刺殺は3回のみと守備面は壊滅的なものの、打撃面での安定感はチームトップクラス。ただその守備力の低さが足枷となり、IL入りで離脱して以降はAAAに幽閉されている
チームはコントレラスをDHでも多く起用しているため、守備型捕手とされているパヘスのほうが優先度が高いのは当然の話。ただパヘスは言われているほど守備が上手くないのと、他の野手が軒並み不調に陥っているのでパヘスと入れ替えるのもアリだと思ってみたり。

ペドロ・パヘス bWAR:0.5
33G .213(19-89) 2HR 14RBI .599 DRS+3

コントレラスIL入りにより完全な繰り上がりで昇格した控え捕手なはずが、予想外のパンチ力、そしてコントレラス&ヘレーラの守備力の低さにより今ではヘレーラを押しのけ第二捕手に。さらに言うとコントレラスは復帰後DH起用が多くなっているため"半正捕手"のようなポジションにまで到達している。
ただ守備型捕手といっても盗塁阻止率は.243(9-37)と低く、守備型というのはあくまで消去法。それでも6月21日から8月6日までの20試合では13試合連続安打含む打率.319と「守備が少し出来る打撃型捕手」へと変貌を遂げており、後半戦も第二捕手の座を守り切っている。

前半戦ベストゲームは6月15,17日の敵地CHC戦。完全ノーマークの中両日ともに決勝点となるHRを放ちファンを驚かせた(めっちゃ驚いた)。この連戦中は偶然にも家族が観に来ていたようで、試合後には涙を流しながら抱き合ったそう。ちなみに今季のHRは現時点(8月8日)でこの2本のみ。シーズン終盤にもまた良い所で打ってくれるかな。

6月15日 CHC戦


ニック・ラポソ bWAR:-
出場無し

誰だ、と思ったけど、どうやらヘレーラIL入りとコントレラス復帰の間の2日間だけ一軍に帯同していたらしい。出場は無し。26歳の守備型捕手で、AAAでも打率.193と苦戦していたため7月29日にDFA。現在はTOR傘下に所属中。

◆ 内野手

SS メイソン・ウィン bWAR:3.7
89G .284(91-320) 5HR 33RBI .739 DRS+14

気付けば不動の先頭打者となった、バールソンと共に今季前半戦MVPに相応しい活躍を見せているチームの顔。チームNo.1有望株として昨季終盤に初昇格した際は打撃に大苦戦も、今季は開幕から一度も不振に陥ることなく大活躍。ヒットは逆方向が多いが長打はほぼ引っ張り。引っ張りの平均打球速度は4月の90.3mphから8月は94.5mphと大幅に上昇しているのも素晴らしい。
守備は開幕51試合では10回のエラーがあったものの、以降現在までの53試合ではエラーは僅か1つのみ。J.ターナーも絶賛した強肩を生かした守備で幾度となくチームを救っている。
(ただうっかり新人王投票2位以内に入ってしまうとFAが1年早くなるので、活躍はほどほどに)

前半戦ベストプレーは7月8日WSH戦でのグラブトス。ヒット性の打球に追い付くだけでも凄いのに、そこからグラブトスで併殺まで完成させてしまうとは。圧巻のプレーだった。

7月8日 WSH戦

3B ノーラン・アレナド bWAR:1.0
90G .270(93-344) 8HR 40RBI .704 DRS-3

「自分がこのチームのリーダーだ」と豪語して挑んだ今シーズン。確かに以前のような酷い怠慢プレーは無くなった。ただ肝心の成績が攻守共にあまりに物足りない。
その原因は恐らく昨年患った腰痛。昨季6月に腰を痛めるも無理をして試合に出続けた結果、9月にIL入りでシーズンエンド。その後のオフのインタビューでは「後半戦は痛みを誤魔化しながらプレーしていた」と語っていた。こうして迎えた今季は長打が全く打てず、守備でも腰を庇ったような送球が目立つように。それを象徴するかのように、得意のライン側ジャンピングスローは今季一つも披露していない。アレナドは元々打てない時は打球を前に飛ばすことすら難しく、打つ時は長打含めてとことん打つというタイプ。しかし今季はコンタクトは出来ているため打率はそこそこ高く、それでいて長打が出ていない。そんなわけで今回の不振はコンディション不良の可能性が高いと勝手に思っている。

この問題に対して首脳陣が唯一施せる処置は、アレナドに休みを与えること。これは同じく今季不振に苦しむゴールディにも言えることでもある。今季は内野陣のプレー時間があまりに多く、その理由は内野の控えがSS専のクロフォードとDH専のカーペンターだから。だからこそ攻守に良い所がないクロフォードは一刻も早くDFAしたほうが良い(また始まったよとお思いの方、すみません)。外野手ファムを獲得したことでUTドノヴァンを内野で使えるので穴埋めも楽。27年まで在籍が確定している主砲の健康面と、今季で引退する功労者でもないベテランのどちらが大事なのか。フロントはよく考えて欲しい。

今季ベストゲームは7月14日CHC戦。1点ビハインドの8回裏一死二三塁のチャンスで逆転タイムリー。からの雄叫び。これぞチームリーダーという一本だった。ポストシーズンでこれが見たいなあ。

7月14日 CHC戦

2B ノーラン・ゴーマン bWAR:0.7
90G .206(64-310) 17HR 47RBI .692 DRS-3

好不調の波が大きすぎて扱いに困る若き大砲。今季は開幕から不振に陥り、4月23日AZ戦で劇的サヨナラ弾を放ち一時的に復活も再び不振に。その後チームが復調し始めた5月12日からは調子を取り戻すも、6月10日頃から末にかけては20試合で打率.073(5-69)と大不振に。そして6月20日に16号を放った後、次に一発が飛び出したのは約2週間後の7月3日。そしてここから一週間は好調を維持するも、7月10日から8月6日現在までの16試合は打率.140/2HRという有り様。好不調の波が荒波すぎて酔いそうになる
守備はウィン同様5月にヤバい時期があったものの、その後はエラーも減り安定するように。
前半戦ベストゲームには、あえて守備での活躍が光った6月15日敵地CHC戦を。5回裏には素晴らしい反応速度でライナーをキャッチ。そして8回裏には同点を阻止するショーバン捕球からの刺殺。勝利を決定付けスーパープレーだった。まあこの直後にジョジョが出てきて逝きかける訳なんだけど(ジョジョの寸評参照)。

6月15日 CHC戦

1B ポール・ゴールドシュミット bWAR:0.6
92G .230(85-370) 13HR 37RBI .664 DRS+2

大事な契約最終年にして不振に苦しむ大ベテラン。もうすぐ37歳とあって年齢による衰えは感じるものの、スタッツをみるとやや下振れしている感も。ハードヒットは例年通りリーグ上位の数値なので、あとは球をしっかり見ることが出来ればというところ。シーズン序盤のほぼ牽制球のようなゴミボールを振ってた絶不調期からはとうに抜け出せているので、何とか感覚を取り戻して欲しい。ただ間違いなく4番に置く打者では無い。
契約延長に関しては、まだ具体的な報道は出ていないものの結局はすることになると予想。まだ一塁手の後任が見つかっていない、かつFAで大型契約を結ぶ資金も無いので、バールソンやベイカーと併用しつつ来季も在籍してもらうのが良いと思う。「今後も正一塁手はゴールディ」ではなく、「比較的安価な一塁手と短期契約を獲得するくらいならゴールディと契約延長」というイメージ。$13M前後×2年が理想。

SS ブランドン・クロフォード bWAR:-0.1
24G .161(10-62) 1HR 3RBI .542 DRS+0

8月3日CHC戦で、2点ビハインド8回表二死満塁で「投手ネリスと5年前までは相性が良かったから」という理由だけで代打で出て来て呆気なく三振に倒れた時は頭がかち割れるかと思った。別にクロフォードを責めている訳じゃない。年齢的に完全に衰えている37歳をプレーさせ続けているフロントが悪い。全てにおいて優秀な今季のフロントが、意地でもクロフォードをDFAしないのには何か特別な理由でもあるのだろうか。そもそも出場機会すらほとんど無いのに。

DH マット・カーペンター bWAR:-0.1
36G .248(25-101) 2HR 8RBI .665 DRS+1

出場機会は少ないものの、スタメンDHで起用された時はかなりの確率で活躍してくれる頼れる大ベテラン。シーズン序盤には重要な場面でのタイムリーに何度も助けられた。選球眼が衰えていないのも素晴らしい。

2B/3B/SS ホセ・ファーミン bWAR:-0.5
30G .130(6-51) 0HR 0RBI .390 DRS+0

STとAAAでは絶好調も、MLBでは結果を残すことが出来ず。クロフォードに代わる内野の控えとして居てくれたらありがたいけど、あまりに打撃が物足りなさすぎる。

◆ 外野手

UT ブレンダン・ドノヴァン bWAR:1.5
91G .276(98-355) 8HR 45RBI .756 DRS-2

安定した打力と、高いレベルでどこでも守れるUT性。コンタクト能力が高いので空振りはほとんど無く、また理想のスイング率であるスクエアアップ率は全体4位の35.4%。30歳になる27年オフにFAの予定も、そろそろ2年契約くらいで契約延長を検討しても良いと思う。それほどに優秀な選手。


RF/1B アレク・バールソン bWAR:1.3
89G .288(91-316) 17HR 53RBI .814 DRS-6

開幕前時点ではノーマークも、外野手故障続出により出場機会を得た結果まさかの大覚醒。主要打撃スタッツは軒並みチームトップで、今やチームの主砲にまで成長した。現在の課題は極端に左投手に弱い(打率.180)ことと、守備力の低さ。まだ25歳と若くFAまで4年半もあるので、来季からは正一塁手を任せても良いかもしれない。

最近では、自身が大学時代に"DJ Burly Biscuit"としてラッパー活動をしていたことが由来のDJセレブレーションをチームに浸透させる(ヌートバーに勝手にさせられる)も、そのポーズがドナルド・トランプ銃撃時の様子に似ているとして騒動に。もちろん政治的意図は本人が即座に否定したものの、「彼こそが自由の象徴だ!」と意図せずトランプ支持派から熱い支持を得てしまった

バールソンのDJセレブレーション

RF ラーズ・ヌートバー bWAR:0.7
46G .229(39-170) 6HR 20RBI .712 DRS+2

出場すれば攻守にある程度の活躍は保障されているものの、直近2年間で故障は7回。スペすぎる。その予防として今季途中からはRF固定も、色んな兼ね合いで結局はCFを守ることも多々。うちのフロントはかつてのオニールのようなスペが大嫌いなので、このまま故障が続くようだとFAになる27年オフより前に放出される可能性も大いにある。新生STLの核になって欲しい選手だけど、どうにかならないものかなあ。

前半戦ベストプレーは5月23日BAL戦、2点リードの9回表無死一三塁の状況で見せたスーパーキャッチからの併殺。この試合はダブルヘッダー二戦目で、初戦で勝ちパを消費した影響で不調の新人フェルナンデスを苦肉の策でセーブシチュエーションへ投入。そしてフェルナンデスは案の定制球が定まらずに苦しんでいたところでこのファインプレー。このプレーのおかげでチームは見事勝利しBALをSWEEP。その後の上昇気流にも乗ることができた。

5月23日 BAL戦

CF マイケル・シアーニ bWAR:0.6
87G .227(44-194) 2HR 14RBI .568 DRS+8

バールソンとは比にならないほどガチでノーマークだった無名の25歳が予想外のブレイク。昨季は8月にCINをDFAになり9月にSTLへ移籍するも2チーム合計8試合出場でヒットはゼロ。今季STでは打率.289と結果を残し、チームの外野陣が軒並み故障したため繰り上がりで開幕ロースター入りを果たすも、4月は打率.132と全く打てず。それでも「守備(とバント)がめちゃくちゃ上手い」という理由だけで新人スコットⅡと併用でレギュラーCFを任されていた。しかし5月に入ると打率.254と対応し始め、6月は打率.277。さらに7月はさらに成績を上げ打率.310。そんな訳で気付けば「守備(とバント)がめちゃくちゃ上手いうえに2割6分打てるCF」という、もはやチームにとって必要不可欠な存在に。
8月8日時点で、DRS(9)とOAA(13)は両リーグのCFの中でともにJ.ヤング(WSH)に次ぐ2位。現在は故障で離脱中も、ゴールドグラブ賞受賞の可能性も十分にあり得る。

前半戦ベストプレーはありすぎるので割愛。Michael Sianiで検索すると無限にスーパープレーが出てきます。

CF/RF ディラン・カールソン bWAR:-0.6
54G .211(24-114) 0HR 11RBI .533 DRS-2

かつてのチームNo.1有望株は、打てない守れないで何一つ取り柄の無い選手へ。これは決してファンの暴論ではなくて、誰よりもフロントが一番思っていること。でなきゃ残り2.5年も保有できる元トッププロスペクトを半年レンタルの5点台の中継ぎとトレードしたりなんかしない。このタイミングでトレード放出したのは、フロントは今のカールソンの価値が保有期間しかないと判断したから。それであれば期間が長い今のうちに無理やりでも放出しようということ。
でも昨年までは守備はかなり上手かったはずなのにどうしちゃったんだろう。STでウォーカーと激突した時に負傷したのは左肩だけなはずだったけど。

RF ジョーダン・ウォーカー bWAR:-0.4
20G .155(9-58) 0HR 4RBI .497 DRS+0

STLの伝統「若手の活躍は2年目以降は続かない」を継承している元トッププロスペクト。今季は開幕から打球が上がらず、4月25日に降格して以降ははマイナーに幽閉状態に。しかし7月から打撃フォームをオープンスタンス気味にしたことにより、空振りは増えたものの長打は倍増。7月24日以降の16試合では.343(23-67)/5HR/9RBI/OPS1.087と打ちまくり、8月13日にカーペンターのIL入りにより待望の再昇格。左投手を苦手とする打線の起爆剤となってくれれば嬉しい。

CF ビクター・スコットⅡ bWAR:-0.7
21G .085(5-59) 0HR 2RBI .274 DRS-1

開幕前に外野陣に故障者が続出したことにより開幕CFに大抜擢された、昨季マイナー94盗塁のチームNo.3有望株。結局結果を残せずにウォーカーと同タイミングで降格も、打撃フォーム改造がハマり8月10日には終盤に貴重な逆転タイムリー。来季はシアーニとレギュラーCF争いか。

8月10日 KC戦

LF/CF トミー・ファム
-(TDL後に移籍)

"三角トレードのついで"とかいう訳のわからない理由で獲得できた元STL戦士は、加入後8試合で打率.379/2HR/9RBIと大暴れ。性格は闘争心溢れるコントレラスタイプで、ここぞの場面で打てる強いメンタルの持ち主。そしてSTLベンチの陽気軍団、コントレラス組(仮)にもすぐに溶け込んだ様子。
マーモル監督によるとファム獲得は元々交流のあったアレナドがシーズン開幕前から熱望していたそう。ここまで不振に苦しむベテラン勢の起爆剤になってくれると嬉しい。

旧・コントレラス組
新・コントレラス組



#3【MLBで最も過小評価されている監督!?】STL・マーモル監督の素晴らしさを語る

今季でカージナルス監督就任3年目を迎えるのは、先日38歳になったばかりのオリバー・マーモル監督。
個人的には満点に近い名将だと思っているのですが、昨季の低迷によりファンの評価はかなり低め。開幕前に結んだ2年間の契約延長には疑問の声も上がっていました。

そこで本コーナーでは、MLBで最も過小評価されていると言っても過言ではないマーモル監督の魅力を解説します。

"Oli"ことオリバー・マーモル監督


◆ 采配評価で忘れてはならないこと


さて、まず最初にですが、監督の評価をするにあたって重要なことを二つほど確認したいと思います。意外と忘れがちな前提知識をおさらいしましょう。

一つ目は、外部からではチームの内情はほとんどは分からないということ。これはデータなど情報面の話だけではありません。
日本のプロ野球ではあまり無い話ですが、MLBではそもそも采配の一部権限をフロントが握っていることも多々。元エンゼルス監督J.マドンは監督解任後に「フロントが采配に口を出しすぎて自分の采配を出来なかった」と語っていましたが、そもそも采配自体が監督の意向と異なっている可能性もあるのです。カージナルスの采配に関してはマーモル監督がどの程度権限を握っているかは不明ですが、少なくとも(現在のMLBにおいて)ロースター管理はフロントがほぼ全権を握っていると思われます。
またチームのみならず選手個人の内情に合わせた起用も、ファンの批判の的になりがちです。その内情が健康面の話であれば試合後に情報が公になることが多いので問題ないのですが、厄介なのが選手の性格を考慮した起用をせざるを得ないパターン。カージナルスの話で言えば、昨季以前に不調の中継ぎ左腕G.カブレラを接戦で起用し続けていたのがまさにその実例です。カブレラは元々自分が良い役回りでないとやる気が出ないという性格の持ち主で、調子を取り戻してもらうには接戦で起用せざるを得ませんでした。しかしその内情は公にはならないため、カブレラが打たれた際に批判の的になるのはマーモル監督。なぜこの話が出回ったかと言えば、カブレラ自身がシーズン途中に先程の理由から自身のトレード放出を申し出たからなのですが、今回はあくまでレアケースでしょう。
このような理由から、チームの采配が全て監督の意向と思い込んではいけないのです。

そして二つ目は、采配は「同意できるか」ではなく「理解できるか」が重要だということ。
一般的に采配の良し悪しは結果論で語られることが多いですが、大事なのは結果よりも采配の意図。例えその采配が失敗に終わり、また自分の考えと異なっていたとしても、采配の意図が理解できるものであればそれは采配ミスとは言えないと考えています。采配における正解は無数にあり、安牌なものからギャンブル性の高いものまで種類も様々。しかしギャンブル性の高いやり方を選んで失敗したからといって「采配ミス」なのではなく、その場面でその賭けをする整合性があったかが重要なのです。

それでは前提知識を確認したところで、マーモル監督の実際の采配を振り返ります。

◆ 昨季は誰が監督でも最下位だった

これが本章で最も言いたいことなのですが、昨季は誰が監督でも間違いなくチームは低迷していました。全ては、開幕前の時点で先発ローテも勝ちパターンも組めていないにもかかわらず一切補強を行わなかったフロントの責任。投手陣が先発もリリーフも全員打たれるため、采配の仕様がありませんでした。しかしながら多くのメディアやファンはマーモル監督の采配を大々的に批判。その声を無視して今オフにマーモル監督の契約延長を行なったフロントは見る目があるなと感心しました(それができるなら昨オフ補強しとけよ!)。

とは言いつつも、マーモル監督にも反省すべき点がいくつか。
まずは継投策。マーモル監督は就任1年目の22年シーズンから、リリーフの「2アウト交代&回跨ぎ」を頻繁に行なってきました。リリーフに2アウトから0.1イニングを投げさせ、回跨ぎさせた後に0.2イニングを投げてもらい交代するというやり方です。この継投策、実はマーモル監督がヘッドコーチを務めていた時代の前監督マイク・シルトが特に好んでいたものなのですが、当時からこの継投策に多くのファンは否定的。というのも同じ3アウト交代でも回跨ぎ込みの1イニングは投手への負担が大きく、それゆえ回跨ぎ後に打たれてしまうケースが相次いだのです。ここで注意したいのは、この回跨ぎ策は決して左右の相性によるものではないということ。他のチームでも左右の相性を見た上での回跨ぎ策(左腕が1イニング投げた後に次の回の先頭が左打者なのでそこまで投げてもらう、など)は頻繁に見られますが、それとこれとは全く別。なぜならこの回跨ぎ策は、恐らくですが左右の相性ではなく消費する中継ぎの枚数を1枚減らすことを目的としていたからです。例えば先発が6イニング投げた場合は、通常は7,8,9回と三人のリリーフを消費しますが、マーモル流であれば二人目が8回1アウトまで、三人目が試合終了までとリリーフの消費が一人少なく済みます。

23年5月13日

これは昨季前半のとある試合の継投策。少し分かりにくいですが、3番手カブレラは0.1イニングを抑えるも回跨ぎ後に1アウトも奪えず降板。そしてクローザーのヘルズリーが2イニングを投げざるを得なくなったという状況です。
勿論シルト、マーモルともに全ての試合でこの継投策をしていたという訳ではないのですが、昨季のマーモル監督は狂ったようにこの継投策を行なっていました。その結果ヘルズリーは壊れ、さらに代役守護神のジョジョもこの継投策が原因で故障。ファンもブルペン補強を疎かにしたフロントが原因の苦肉の策であることは分かってはいたと思いますが、しかしながら選手の健康面を無視したこのやり方には多くの非難の声が集まりました。

※さらに細かい話をすると、22年シーズンのマーモル監督は、8回に相手が上位打線の場合にクローザーを投入するという継投策を行なっていました。しかし8回に剛腕ヘルズリーを見せた後に9回に技巧派ガイェゴスを出すと打たれることもしばしば。その結果「よく考えたら9回もそのままヘルズリーに投げさせちゃえば良くない?」となり、この継投策に固執しだしたという説もあります。ただいずれにせよ、全ての責任はブルペン補強を怠ったフロントにあります。

続いて、もう一つの昨季のマーモル監督の失態。
これは言わなくてもSTLファンであれば分かるかと思います。
そうです、例のオニールの件です。

シーズン開幕からわずか1週間後の4月5日ATL戦。3点ビハインドの7回裏二死一二塁の場面で、打者ドノヴァンがライトへヒット。しかし二塁走者オニールは怠慢にも思える緩いランニングでホームへ突入しタッチアウトに。これに対して試合後の会見でマーモル監督がオニールを名指しで批判するとそれに対抗するようにオニールも逆ギレ。同時期に怠慢プレーを繰り返していたベテランのアレナドには全く注意していなかったことも相まって、監督失格との声が多く上がりました。

このプレーに関してはそもそもGOサインを出した三塁コーチャーの判断ミスも大きく一概にオニールを批判できないのですが、それはそうとして監督が選手を名指しで批判するなど以ての外。監督経験の浅さが露呈してしまった場面でした。

◆ 成長を見せる今季のマーモル監督

成長を見せる、というと若手やプロスペクトの話をしているかのように思えてきますが、あくまでマーモル監督の話。今季のマーモル監督はこれまでの反省を生かし、采配において常にアップデートを行なってきました。

まずは継投策。これに関してはアップデートというと語弊があるのですが、今季は「2アウト交代&回跨ぎ」を廃止し基本的にはシンプルな1イニング継投を行なっています。試合によっては回跨ぎをさせることもありますが、それは左右の相性を考えてのもの。以前のように何でもかんでも回跨ぎさせるということは無くなりました。
「語弊がある」と言ったのは、マーモル監督自体の考えは以前から変わっていない(ことが判明した)から。スプリングトレーニングにて、今オフのブルペン補強により何か采配に変化はあるかと尋ねられたマーモル監督は「今季は接戦で登板できる投手が多いので、多くの場合1イニング継投になる。特にヘルズリーには回跨ぎはさせない」と発言。これは裏を返せば「昨季もフロントがきちんとブルペン補強をしていたらあのような継投はしていなかった」ということです。あの継投策は決してマーモル監督が好んで行なっていた訳ではなかったと分かり、ファンは安堵しました。

続いて昨季はオニールの件で問題になったリーダーとしての振る舞いに関して。こちらは外部からでは分からない部分も多いですが、ギブソンの選手寸評で紹介した事例や試合中の選手との交流の多さを見ていると昨季以上に深い信頼関係を築けているように思えます。また稀に選手インタビューにも登場することもあり、今季は監督自身もかなり楽しんでいる様子。

シアーニがめっちゃ気まずいと思っている可能性もゼロではないです。


◆ 今季前半戦の名采配2選

①5月23日BAL戦
ヌートバーの個別寸評でも触れた、ブースト期間中にBALのスイープに成功した試合。今季8月までで最も采配が難しかったのはこの試合だと認識しています。
と言うのもこの試合はダブルヘッダー二戦目とあって勝ちパターンが軒並み使用不可。そこでマーモル監督は、1点リードの7回から2年目リーヒーに2イニングを任せ、9回には新人フェルナンデスを投入。そして見事リードを守りきり勝利。経験のある選手に頼らず、試合によっては若手を積極起用するマーモル監督の大胆さがチームを勝利に導きました。

②6月17日CHC戦
この試合は面白い博打采配が二つ。
一つ目は8回表クロフォード負傷退場後のウィンDH解除。クロフォードの打席途中から代打を務めたINFファーミンにそのまま守らせても良かったのですが、1点リードと接戦であったため守りを固めるのが得策。ただし控え選手が残り2人しかおらず、追い付かれるとかなり厳しくなる博打采配でした。
そして二つ目は勝ちパターンのシャッフル。この試合まで勝ちパは7回キトレッジ、8回ジョジョで固定。しかし両者ともに不調であったため7回の火消しでキトレッジではなく(実質最も優秀な右のセットアッパーであった)新人フェルナンデスを投入。そして8回にキトレッジ。この固定概念に縛られない継投策は見事でした。

◆ 気になるマーモル監督の左右病

素晴らしい采配を続ける一方で、常に一部のファンから叩かれ続けているのが野手の起用法。左右の相性を重視するいわゆる「左右病」というやつです。

私の所感としては、左右病は左右の相性が良いという理由だけで結果を残せていない選手を(結果を残せている逆打ちの選手を抑えて)起用する采配だと考えているため、マーモル監督を左右病と呼ぶのはやや誇張表現であると感じています。左右病は某シカゴのライバルチームの監督ほど極端な起用をしていないと言うべきではないのかなと。

しかし一方で、疑問に思う相性起用があるのは事実です。対右打率.303に対して対左打率.203と左右の相性が極端なバールソンをプラトーン起用するのは正しいのですが、気になるのはバールソン以外の外野手もプラトーン起用をしていること。
ヌートバーは今季・キャリア全体ともに対右、対左の成績にほとんど差がなく、右投手に対してのみ打席に立たせる現在の起用法は勿体なく感じます。また8月に再昇格したばかりウォーカーは、右打者にもかかわらずマイナー含めた過去3年間全てで右投手のほうが打率が高いのが特徴。しかしマーモル監督はウォーカーを対左のみで起用しており、現時点では結果を残せていません。

これらのデータは当然首脳陣は確認済みだと思いますが、それでも頑なにプラトーン起用をしているということは何か理由があるということ。それが単なる固定概念なのか、選手からの要望なのか、はたまた別の理由なのかは外部者には分かりません。しかしヌートバーにしろウォーカーにしろ、今の起用法がハマっていないのは事実です。

それでも、これまで説明したようにマーモル監督は常に采配をアップデートし続けてきた監督。今の采配に問題があると判断すれば様々な起用法を試してくれることでしょう。個人的には今季終盤の起爆剤になり得るウォーカーは暫く固定すべきだと考えてはいますが、外野の層が厚いチーム状況を考えると難しい部分も大きいと思います。しかし悩んでいるほど時間が無い。監督業は本当にタフな仕事だなと日々感じています。

◆ 安牌策と博打策のバランスの心地よさ

以上がMLBで最も過小評価されている監督、オリバー・マーモルの解説となります。

マーモル監督の魅力を一言で伝えるとしたら「安牌策と博打策のバランスの心地よさ」。そしてこれこそ名将になるうえで最も必要な能力のひとつではないでしょうか。
契約上ではカージナルスの監督を務めるのは残り2年半。契約満了までに解任される監督が多いMLBですが、マーモル監督にはぜひ27年以降も監督を務めトニー・ラルーサ並の長期政権を築いて欲しいと思っています。あくまで今のところ、の話ですが。


#4 【STLの1位指名は確定していた⁉︎】大成功に終わったドラフト'24振り返り

7月14日に開催されたMLBドラフト2024。今年は昨季のタンキングのおかげで全体7位指名権を保有していたため、例年以上にSTLファンの熱が入ったドラフトでした。

まずは私のモックドラフト(事前に行うドラフト予想)から。

モックドラフト

今回のドラフトは目立った選手があまりいない分予想には苦戦しました。全体1,2位は頭ひとつ抜けている強打の野手バザーナとコンドン。投手トップ2のスミスとバーンズは先発狙いのCOLとKCのいずれかと予想。高校生トップ2のレイナーとグリフィンも共に10位以内に入ってくると予想しました。
そして肝心の全体7位は、抜群の身体能力を持つ内野手JJウェザーホルトと予想。ただしSTLの1位予想だけは自信がありました。

その理由は全体6位以上の指名がどのような組み合わせになっても、7位時点で最も優秀な選手はウェザーホルトになる可能性が極めて高かったから。頭ひとつ抜けた強打の野手が二名、投手が二名、優秀な二刀流が一名、と上位確定選手は合計5名。よって6位までに一人でもウェザーホルト以外の選手が指名されると、7位ウェザーホルトは確定的という状況でした。

実際のドラフト結果

そしてこちらが実際のドラフト結果。全体2位のCINが投手バーンズを指名したのは驚きでしたが、4位CWSが下馬評上位6位外だった内野手カーツを指名。その結果予想通りSTLは全体7位でJJウェザーホルトの指名に成功しました。

ウェザーホルトは基本はSSも、内野は全ポジション経験あり。ドラフト当時「STLはユーティリティが多いけど将来の編成はどう考えているのだろう」と気になっていましたが、今考えるとエドマンの放出は確定していたのかもしれません。

ウェザーホルトはその後STL傘下Aに配属されると、出場6試合目の8月8日に初HR。現時点(出場10試合)では打率.267/OPS.885と結果を残しており、早くも将来の活躍が楽しみな選手となっています。目指せ.280/25HR/OPS.850。

8月8日 ウェザーホルト初HR

#5 【大勝利】あまりに上手くいきすぎたTDLを今一度冷静に振り返る

ドラフトから約3週間後の7月31日。MLBは毎年恒例のトレードデッドライン(TDL)を迎え、多くのトレードが行われました。

そんなTDLにて我がSTLは、CWSからエース級の先発右腕エリック・フェッディと強打の外野手トミー・ファムを獲得。しかしこの動きはカージナルスファンから見ても予想外で驚くべきものでした。

◆ そもそも今TDLでは一切動かないと思われていた

昨季とは異なりプレーオフ進出を狙うコンテンダーとして迎えた今季のTDL。#1,2で触れたように前半戦のSTLの穴は誰がどう見ても先発でした。

しかしそんなSTLがTDLで動かないと思われていたのには二つの理由が。一つは世代交代期間のため有望株の放出に消極的だったこと。そしてもう一つはローテを外せる投手が居なかったことでした。

比較的安定感のあるグレイとギブソンは問題ないとして、成績だけを見てローテを外すとしたらERA4.39のリンかERA5.13のマイコラスとなるでしょう。しかしリンは$11Mも払って単年契約をしている中でDFAするほどの成績ではなく、マイコラスに至っては2025年までの契約延長を締結済み。DFA出来るはずがありません。よってローテを外すとしたら3年目の5番手パランテしかいないのですが、こちらはERA4.21な上に試合毎に成長を見せるなど活躍度合いは先発3番手クラス。さらにギブソン、リンの契約が終わる来季以降の先発ローテに若手で唯一入れそうな有望株であり、チームとしてもより多くの先発機会を与えたいという状況。以上の理由から、STLは先発が補強ポイントにもかかわらず補強は行わないとされていました。

因みに野手陣も決して満足できる成績を残しているわけではなかったのですが、こちらも先発陣と似たような状況でした。野手で足を引っ張っていたのはアレナドとゴールディという契約的に使わざるを得ないベテラン達。よってテコ入れをするとしたら外野でしたが、外野は日々スタメンで活躍する選手に加えてカールソンやエドマンなど選手層が厚く、補強するとは到底思えない編成となっていました。

◆ 衝撃の三角トレード成立

そんな状況の中で、TDL前日の7月30日(日本時間)朝4時5分、例の大型三角トレードが成立。

一番意味の分からない、CWSからSTLへの「金銭」

トレードの第一報は「三角トレードでエドマンがLADへ、フェッディがSTLへ」。
そこからトレードの全貌が明らかになるまで20分ほどかかり、その間STLファンは「フェッディの対価にどれだけの有望株を放出したんだ」と戦々恐々としていました。

しかし結果はまさかのtop30圏外一人。さらに強打のファムと金銭まで獲得。「流石に誤報に違いない」と全STLファンが疑う中、4時30分を過ぎた辺りから各著名記者が続々とトレード完了をポスト。なんとほぼエドマン一人の放出だけで、フェッディとファムという投打の主力選手二人の獲得に成功してしまったのです。

この約4時間後、試合前インタビューにてSTL編成トップのジョン・モゼリアクがトレード成立までの経緯を説明しました。

J.モゼリアク(トレードの経緯について)
「私たちは早い段階からフェッディが欲しかったのでCWSとは常に連絡を取り合っていたが、有望株のパッケージで合意に至っていなかった。そんな時にLADがエドマンを強く欲しがっていると知り、LADは有望株をパッケージに入れられると。それであれば三角トレードをしようとなり、29日には大筋合意に至った。しかし私たちはファムも欲しかったので、その調整にさらに丸一日時間を要した」(意訳)

ご覧の通り、ツッコミどころが満載です。

最初の「有望株のパッケージで合意に至っていなかった」は、先ほど説明したようにSTL側が有望株の放出を拒んだという意味だと考えられます。"エースクラス"×"来季まで保有権あり"×"売り手市場"ですから、数多くの、それも上位有望株の放出が必要なのは当然の話です。
次にLADの登場。STLからすると救世主、もはや神様のような存在です。LADは有望株を放出できると宣言し、三角トレードへ。ここも理解できます。
そして最後、「29日には大筋合意に至った」「しかし私たちはファムも欲しかったのでその調整に丸一日を要した」。いや、CWSはなんで29日時点であのパッケージでOK出したんだよそんでSTLはファムまで要求したの図々しすぎるし、なんでそれもCWSはOKしちゃったんだよ。

今回のパッケージを見ると、恐らく大筋合意した29日時点ではSTLがゴンザレスを対価に含めていなかった、またはLADの対価が今より少なかった(またはその両方)のだと思います。LADとしてもSTLの気を良くしてエドマンを放出してもらわないといけないので、STLの指示に従うしかなかったのでしょう。ただ一番意味が分からないのは、CWSからSTLに金銭が送られている点。金銭がなくてもCWS大損なパッケージなのにもかかわらず金銭まで送るとは、CWSは何を考えていたのでしょうか。他球団の売り手有利なトレードを見てもフェッディやコペックをここで無理矢理売る必要はなかったように思えるので、あるとしたら「バルガスがどうしても欲しかった」などでしょうか。少なくとも私にはそれ位しか思い浮かびません。

以上のような経緯でSTLは大勝ち三角トレードを完了。翌日にはファム獲得で余剰戦略となっていたカールソンを無理矢理売り飛ばし、ベテラン中継ぎ右腕アームストロングを獲得したところでTDLを終えました。

「カールソンを無理矢理でも売ることが目的」なのでこのトレードにおいて対価の質は関係無し

その後フェッディが加入したことによる先発ローテ問題はリンのIL入りにより事なきを得た(?)のですが、そうは言いつつもリンとマッツは8月下旬には復帰予定。最近はマイコラスが群を抜いて酷いのでマイコラスを外す決断をするのか、期待の若手パランテを外すのか。現実的にはロングリリーフ経験のあるパランテとマッツをブルペン転向させる可能性が高そうに思えますが、そうなると役割が被っている元トッププロスペクトのリベラトーレをマイナー降格させる必要が出てくるのでそこも難しいところ。
果たしてフロントはどのような決断を下すのか、今の段階から非常に楽しみにしています。


#6 おわりに

◆ 現在のチーム状況とこの先のポイント


後半戦も厚い選手層を生かして何とかWC争いに喰らいついているカージナルス。そして8月17日からは今季最大の鬼門、LAD,MIL,MIN,SD,NYY,MILとの(休息日1日を挟んだ)強豪19連戦が待ち受けています。

しかしそんな強豪19連戦を目前にして、チームはまさかの4連敗で約2ヶ月ぶりの借金生活に突入。今のチーム状態ははっきり言って最悪レベルです。

まずは先発陣。これがあまりに酷い。
先発ローテ5選手(グレイ、フェッディ、ギブソン、マイコラス、リン)は7月1日以降、合計防御率5.43。またシンプルにひたすら打たれまくるマイコラス以外の残りの4選手は、7月1日以降のビジター18先発(ホームのブッシュ・スタジアムは投手有利)で23被弾。大量被弾により先発が毎試合のように炎上してしまっています。
また野手陣もこちらはこちらで酷く、TDL以降は「得点圏で打てないこと」が課題だったものの、現在は「得点圏すら作れない」状態に。8月14日現在までの直近15試合で打率.333/4XBH/9RBIと一人気を吐くアレナド以外は全員が中途半端なバッティングを繰り返しています。
そしてここから地獄の強豪19連戦。流れとしてはこれ以上なく最悪ですが、もうやるしかありません。

7月までのあの強力打線は何処へ

シーズン終盤のポイントは以下の4つ。当然、野手陣と先発陣がある程度復調するのは前提の考えです。

①バールソン以外のプラトーン起用解消、起爆剤になり得るウォーカーをスタメン固定
②同じく長打力不足解消のカギとなるゴーマンの出場機会を増やす
③クロフォードをDFA、もしくはパヘス降格でヘレーラを昇格させる
④捕手陣が頑張って盗塁を刺す

+ゴールディの復活

上3つは共通して打線強化のためのポイントですが、その中でも特にやって欲しいのがウォーカーの固定。AAAで無双し再昇格も現在は対左のみのプラトーン起用となっているウォーカーですが、#4でもお話ししたようにウォーカーは対右も苦にしない選手。
シーズン終盤の追い上げには必ずと言っていいほどラッキーボーイの出現が必要で、その役にピッタリハマりそうなのが彼だと思っています。多少ギャンブルな采配ではありますが、ぜひウォーカーを積極起用して欲しい。

また④について、実は今季のカージナルスは許盗塁数が30球団ワースト。コントレラス、ヘレーラ、パヘスという打撃全振りの捕手3人を起用し続けてきた結果、133回走られたうち刺せたのは僅か19回(阻止率14%)という信じられない数字を叩き出しています。まあこれに関しては頑張れとしか言いようがありません。

そして今季不振に苦しむゴールディ。この人がこの先のキーマンでしょう。毎年シーズン終盤を得意とするベテランの大復活を待ち望んでいます。


◆ 新規ファンの方に伝えたいこと


そんな連戦を踏まえた今、一意見として新規ファンの方に聞いて頂きたいのは、8月以降のPS争いは高低差の激しい山道のトロッコに乗るようなものだということ。どれだけ乱高下を繰り返しても最後に頂に辿り着いた者こそが勝者なのです。これまでは勝敗に加えて先を見据えた安定性(=勝ち方)も重要でしたが、ここから先はそんなもの一切必要無し。完封負けも惜敗も同じ1敗、大勝もロースコア勝利も同じ1勝。シーズン162試合を終えた時の勝敗が全てであり、この先は戦い方がこれまでとは大きく変わるということです。

連戦中の相手は手強いチームばかり。そのためほぼ確実に、酷い負け方をする試合も出てくると思います。そうなると現地メディアは「STLはPS争いから脱落した」「PSに相応しいチームではない」と騒ぎだすでしょう。しかしそれらはPS争いを盛り上げるための飛ばし記事であり、真に受ける必要は全くありません。昨年のアレナドやゴールディ、ヌートバーのトレード放出の噂記事と一緒です。また同じような内容の現地ファンの意見も沢山見ることになると思いますが、その多くは冗談半分、もしくはMLBやSTLへの知識が浅い人々の意見なはずです。これはあくまで新規ファンの方が勘違いするのを防ぐための注意喚起であり、私としてはこのような冗談半分の発言をやめるべきだとは微塵も思っていません。ただ私自身はPS進出の可能性がゼロになる瞬間までは諦めないつもりです。少しでも可能性がある限りは、全力でプレーする選手たちを応援し続けます。


そして最後にして最も伝えたいのは、カージナルスはシーズン終盤の「戦い方」を熟知しているチームだということ。「戦い方」と言っても今まで偶然勝てていただけなのでは、と思う方もいるかもしれませんが決してそうではありません。フロントの動き(ロースター管理)、首脳陣の采配、そして最も重要な選手の気持ちの作り方などがこれに該当しますが、これがプレーオフ争いに慣れているのとそうでないのとでは結果が全く異なります。

その一例として、シーズン終盤に激しいプレーオフ争いがあった直近3シーズン(19,20,21年)を振り返ってみましょう。

・2019年
CHC,MILが優勝争いを繰り広げ、3位STLは首位CHCに5ゲーム差をつけられ9月に突入。しかしここからが凄まじく、今でもファンの間で語り継がれている9月19日からのリグレー4連戦では激闘の末にスイープ4連勝。こうして何とか首位となり迎えたシーズン最終戦、MILが敗れSTLが勝利したため逆転地区優勝。
・2020年
チーム内にコロナによる大規模クラスターが発生し、主力13選手が離脱。その結果9月4日からダブルヘッダー4回を含む28連戦という頭のおかしいスケジュールとなるも、唯一試合に出続けたゴールディ、新人4番カールソンの活躍もあり地区2位で奇跡のプレーオフ進出(28連戦は16勝12敗)。
・2021年
前半戦を借金2で終え、9月9日時点でも73勝71敗でワイルドカード候補(当時2枠のみ)からも除外される始末。しかしそこから驚異の17連勝で、大逆転でプレーオフ進出。

このようにカージナルスは昔から終盤、特に最も重要な9月に異常な強さを発揮するチーム。まだ8月が始まったばかりの今、チームが低迷しているとはいえ私が楽観的な理由もお分かりいただけたかと思います。まだeliminatedする時期ではないんです。

そしてさらに良い情報をお伝えすると、先程の3シーズンのどの年よりも今のロースターのほうが強いということ。打線と先発は勿論のこと、接戦が続くことの多いシーズン終盤はブルペンの層の厚さが特に重要になってきますが、勝ちパターンが5,6人いる今季のブルペン層は直近10年間で最も強力。プレーオフに進出した19,20,21,22年は全てブルペンは貧弱だったため、今季はプレーオフさえ進出出来れば世界一の可能性もあると本気で感じています。

あとは2021年のオニールのようなラッキーボーイの登場を待つだけ。ジョーダン・ウォーカーさん、期待しています。


◆ 強豪19連戦の結果を予想


そうは言いつつも強豪19連戦は間違いなく厳しい戦いが続くでしょう。私の予想するプレーオフ進出ラインは以下の通り。

PS進出ルート:9勝10敗以上
PS逸ルート:8勝11敗以下

仮に借金1以上で終えることができれば、PS進出の可能性が高いという予想です。9月の対戦相手が多少楽なことを考えると、(シーズン合計)借金2で連戦を終えることが出来れば問題ないかと思います。


毎年のようにシーズン終盤のPS争いに勝ってきたのがセントルイス・カージナルス。今はファンとして2年ぶりにこのヒリヒリ感を味わえることに興奮しつつ、選手たちは必ずやってくれると信じています。

目指せ、2011年以来13年ぶりの世界一。
次は2024年シーズン総集編でお会いしましょう。

goyadi

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