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【GOWお仕事図鑑】加工一課部門(外班)編
養殖や加工など、さまざまなプロフェッショナルが活躍するグローバル・オーシャン・ワークス。水揚げされた魚の選別等を行う加工一課部門(通称:外班)は、さまざまな部門間をつなぐ重要な役割を担っています。チームで活躍する永田雄一さんに、業務の内容や役割、仕事におけるこだわりについてお話を伺いました。
品質と効率を意識して行う
――早速ですが、外班のお仕事内容から教えてください。
大まかに言うと、水揚げされた魚の選別をするのが主な仕事です。重量を量りながら、背骨が曲がった状態である「まがり」や病気、キズなどがないか、魚の状態を一尾一尾確認し、選別します。一日の仕事は、朝5時くらいにタンクの準備をするところからスタートします。
――病気や「まがり」のある魚は、どのように見分けるんですか?
病気のぶりは、尾びれや腹、エラなどが赤くなっているから分かるんですよ。「まがり」はその名の通り、見た目の曲がり具合をチェックします。「まがり」のチェックには慣れが必要ですね。
――現場を拝見しましたが、かなりのスピードで選別されていますね! 繁忙期には魚の量も多いと思いますが、どれくらいのペースで作業をされているんですか。
繁忙期だと、国内向けは1000尾、海外向けは2700尾くらいを選別しますが、作業時間は国内向けが30分、海外向けが2時間くらいでしょうか。国内向けと海外向けでは、量だけでなく作業内容も若干違っていて、海外向けのほうが一尾当たりの所要時間がかかるんですよ。
現場は基本的に5人のメンバーでまわしていて、4人が2人一組で選別作業を行い、1人がリフトに乗ってタンクの入れ替えなどを行います。
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全体の効率と連携を意識した業務フロー
――国内向けと海外向けでは、作業内容が異なるんですか。
基本的な作業は同じですが、国内向けと海外向けでは出荷スケジュールや求められるチェック内容が異なるので、流れや細かな点が違ってくるんです。
まず、国内向けは水揚げされた魚 を当日に出荷するので、はじめに全ての魚を工場内に運び、そこで選別を行います。そして、選別作業が完了したものから、加工担当者が当日出荷する分の加工を進めていきます。
一方、海外向けについては、水揚げされた魚は全て 工場前の港で選別作業を行います。作業に当たっては、先ほども少し触れましたが、重量や曲がり具合などを国内向けよりも細かく見る必要があります。また、タンクの魚はすでに船上で「自動活けしめ機」によって処理されているのですが、これに加えて、人の手でカマの辺りにナイフを入れる必要があります。海外向けは、この作業も選別をしながら同時に行っていきます。
――「自動活けしめ機」の処理の後、さらに人の手でナイフを入れるのはなぜですか。
血抜きに加え、翌日の加工をしやすくするという目的があります。アメリカなどに輸出する海外向けの魚については、選別時にナイフを入れておかないと、硬直して加工しにくくなってしまうんです。
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よりよい方法を追求し、改善を重ねる
――後工程での効率ややりやすさを考えて、選別作業を行っているのですね! 選別作業の中で、ほかに気を付けているのはどのような点ですか。
品質管理については色々と留意していますが、特に気を付けているのは温度管理ですね。特に気温の上がる夏は、氷の量が少ないと魚の肉が白っぽく変色する「身やけ」が生じることもあります。氷の量や魚の取り扱いには細心の注意を払っています。
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――スピードや効率を追求するだけでなく、品質にも十分な配慮が求められるんですね。現在のような仕事内容ややり方は、以前から変わらずに続いてきたものなのですか。
私自身は9年前に入社して以来、ずっと外班の仕事をしてきましたが、仕事のやり方については変わらない部分と、より効率的に進化している部分がありますね。
例えば、現在使用されている「自動活けしめ機」は、5年程前に導入されたものです。これによって船の上で活けしめができるようになり、作業効率が大きく向上しました。それまでは、いけすを岸まで引っ張ってきて、魚を生きたまま水揚げし、タモ網でタンクに移してから活けしめをしていたんです。このような機械による効率化は仕事がやりやすくなるだけでなく、事故の防止や品質のさらなる向上にもつながっていると思います。
――いけすを岸まで運ぶのは大変ですね! 現場の仕事にはさまざまな工夫や改善が加えられ、日々進化しているのが伝わります。外班の仕事は加工部門や養殖供給部門などとも密に関わってくると思いますが、他部門との連携はどのようにされているんですか。
例えば、先ほど選別作業の説明の際に「まがり」のある魚について少し触れましたが、このような魚の状態は生育にも関わることなので、常に養殖を担うグループ会社である鹿児島水産へフィードバックを行っています。
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技術を向上させ、さらなる進化を目指す
――先ほど、9年前から一貫して外班の仕事をされていると伺いました。永田さんの今後の目標を教えていただけますか。
加工の仕事なども、幅広くできるようになりたいですね。これまでも加工場に入る機会はあり、魚の頭を落とすなどの作業をしているのですが、そのスキルをもっと向上させたい。目下の目標としては、三枚おろしができるようになりたいです。
――三枚おろしといえば、加工部門の北方さんがエースとして知られていますね。
作業を拝見しましたが、北方さんは本当に速いですよ(笑)。 他部門の皆さんからも学びながら、さまざまな技術を身に付けて進化していきたいですね。