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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/8)

セブン&アイ、再び「物言う株主」に狙われた理由

【注目ポイント】セブン&アイホールディングスが、アクティビスト(物言う株主)のオアシス・マネジメント・カンパニーから一定の株を買われ、要求を突きつけられている。具体的には、➀ノンコアビジネスからの撤退または分離(イトーヨーカ堂のスピンオフ(事業の分離・独立)やセブン銀行株の売却)、②ガバナンス体制の強化(取締役会の機能が十分に発揮されていない)、③ITリテラシーの高い人材の経営陣への登用(7ペイへの反省)、④株主還元の実施(自社株買い等を実施し、総還元性向を50%まで引き上げ)の4点を要求されているとのこと。

【コメント】記事にもあるように2016年にサードポイントから、多角化を解消し、コンビニ事業への集中を求められたということがあったが、今回のオアシスの要求も同じようにノンコアビジネスを整理し、主力事業に注力すべきという経営改善策が主な要求となっている。今のところ、オアシスの保有比率も1%未満程度と低いため、セブンの取締役会としては恐らく様子見だろうが、ユニゾHDを巡る買収合戦のように、他のファンドと連携した動きが出てくるようだと対応が難しくなる。できれば、これを機に長年課題と言われ続けてきたヨーカドー事業の整理など、本格的な構造改革を検討すべきだろう。


「ガンダム評価」400億円は低過ぎ、米ファンドがバンナムHのTOB反対

【注目ポイント】米アクティビストファンドのRMBキャピタルは6日、バンダイナムコホールディングスがアニメ版権管理会社創通に対して実施中の株式公開買い付け(TOB)について、算定価格が不当に低いことなどを理由に反対すると発表したとのこと。

【コメント】こちらはM&Aでの株価算定に対して、アクティビストが反対表明しているという記事である。先日、正式に破談になった富士フィルムによる富士ゼロックスとの統合案件も、待ったをかけたのはアクティビストであった。他にもアルプス電気とアルパインの経営統合に関しても同様の動きがあるなど、近年日本企業のM&Aにおいてアクティビストが算定価格の正当性を論点に存在感を示すケースが増えている。企業側からすると当事者同時で話がついているから良いだろうとは必ずしもならないため、M&Aの価格算定の根拠やプロセスの透明性がより求められるだろう。


旧村上ファンド系の南青山不動産が取得した「島忠」の株価は割安か

【注目ポイント】旧村上ファンド系の南青山不動産等の2社が、島忠の株式を合計5.07%相当を取得していたことが、提出した大量保有報告書から明らかとなった。公開された大量保有報告書によれば、8/5~10/2にかけて市場で島忠株を買い集めたとみられる。

【コメント】記事の末尾にあるように、この件に関しては島忠に対してアクティビスト活動を展開することで、経営改善を迫ることが目的ではなく、あくまで株価の値上がりを期待し、上がりきったところでの売却が目的とみられる。一つ目の記事でふれたオアシスやサードポイントのような「経営改善型」と村上ファンドやスティールパートナーズのような「鞘抜き型」の2つのタイプがアクティビストには存在する。鞘抜き型は2000年代に比べるとやや存在感が低下しているようにみえるが、一定数は存在し続けている状況を踏まえると、それだけ割安な上場企業が多く存在するとも考えられる。


米ファンド、ユニゾHDと合意至らず 買収提案巡り

【注目ポイント】米投資ファンドのブラックストーン・グループは7日、不動産会社ユニゾホールディングスへの買収提案を巡り、期限としていた6日までに同社との合意に至らなかったと発表。ブラックストーン側は引き続きユニゾHD側と協議する用意があるとするが、一方で「あらゆる選択肢を検討している」とも公表しており、ユニゾHDの同意を得ないままでのTOB(株式公開買い付け)も視野に入れているとみられるとのこと。

【コメント】ユニゾHDを巡る争奪戦もいよいよ佳境に入ってきたとみられる。ブラックストーンとしては、同社との継続的な協議に前向きな姿勢を見せつつ、虎視眈々と敵対的TOBの準備も進めているころだろう。ユニゾHDとしては、HISへのホワイトナイトとして迎えたフォートレスを途中で梯子を外すかのように遇した「前科」があるだけに、再びホワイトナイトを引き受けてくれる先を見つけるのは容易ではないはずだ。



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