令和6年度 行政書士試験 記述式(行政法)の予想

前提として、出題予想は出題履歴から客観的にされるものです。
出題履歴は、誰もが確認することができるため、「まさか…そこから!?」というような神がかった予想など、普通はありません。
(やろうと思えばできますが、何の根拠もないシックスセンス的なものになるので、意味がないともいえる)

出題予想事項を知っておくことは、有益です。安心感と学習のメリハリをつけることができるからです。

それでは、令和6年度の行政法の記述式の予想をしてみましょう。

1.出題履歴

行政法の記述式の出題履歴は次のとおりです。

H18 原告適格
H19 申請に対する処分
H20 訴訟類型(申請拒否型義務付け訴訟)
H21 判決の効力(拘束力)
H22 判決の種類(事情判決)
H23 行政上の強制措置等(即時強制)
H24 訴訟類型(形式的当事者訴訟)
H25 訴訟要件(訴えの利益)
H26 公の施設
H27 原処分主義
H28 行政上の強制措置等(秩序罰)
H29 行政上の強制措置等(民事訴訟の提起の可否)
H30 訴訟類型(不作為型義務付け訴訟)
R1 処分等の求め
R2 訴訟類型(無効確認訴訟)
R3 行政指導中止等の求め
R4 訴訟類型(直接型義務付け訴訟)
R5 訴訟類型+仮の救済(差止訴訟+仮の差止め)

2.頻出事項と未出題の整理

行政法総論からは、過去3回出題実績があり、かつ、いずれも行政上の強制措置が題材とされています。すると、この事項からの未出事項となりますから、「代執行」の要件・手続が予想として挙げられます。

行政手続法からは、過去3回の出題。択一式で頻出の「不利益処分」が一度も出題されていません。そのため、不利益処分の手続や理由の提示辺りは、特に記述式を意識した対策をしておくと良いでしょう。(特に、行手14条は、完璧に書けるようにしておくと良い)

行政不服審査法からは、なんと未出題です。これは、行政不服審査法から出題しようとすると、どうしても個別法規の問題となってしまい、本来の知識を問うことが難しいことによるものと思われます。
もっとも、出題される可能性は常にありますから、択一式で頻出の「執行停止」、「認容裁決」辺りを記述式対策に特化して学習しておくと良いです。

行政事件訴訟法は、記述式の王様的存在なので、記述式過去問を参照しながら、全般的な記述式の対策をしておきましょう。
とはいえ、範囲がとても広いので、既出事項から予想をしておくこともとても重要です。

特に、訴訟類型については、よく予想事項を整理しておきましょう。
訴訟類型を問う問題で、現在未出なのは

・ 申請拒否型義務付け訴訟(無効等確認訴訟との併合)
・ 実質的当事者訴訟
・ 民衆訴訟
・ 機関訴訟
・ 争点訴訟(民事訴訟ですが、便宜上入れておきます)

です。

申請拒否型義務付けについては、H20とR2を参考にすれば、どういう問題になるのかは想像がつくのではないかと思います。

実質的当事者訴訟は、訴訟のターゲットに処分性が認められないことから、取消訴訟(抗告訴訟)を提起することが難しいという場面設定で出題されることが想定されます。処分性も書かせたうえで、当事者訴訟を提起するような出題に備えておきましょう。(H23-18の過去問等も参考になるかと思います。なお、処分性も記述式未出題なので、結構狙われやすい。)

民衆訴訟は、おそらく住民訴訟を問う問題が一番出題しやすいです。地方自治法に関する知識も問いつつ、行政事件訴訟の理解も問えるので、良い問題になりそうです。住民訴訟については、択一過去問が多くあると思うので、これを参照しながら、記述式の出題に備えておきましょう。

機関訴訟についても、地方自治法の知識を問えるという点で、出題が予想されます。国と地方公共団体との関係や、議会と長の間の争い等をよく見ておくと良いと思います。

争点訴訟については、H23-16が参考問題として使えます。

国家賠償法からの出題は、現在のところありません。40字程度で記述できるような問題を作るのが相当難しいからです。そのため、出題するとしても、条文をそのまま問う形か、相互保証主義を問うかくらいしか考えられません。

地方自治法からの出題は、今年は行政事件訴訟法の出題予想とかなり被るので、それをやっておく程度かと思います。

3.まとめ

① 行政代執行の要件・手続
② 不利益処分の手続(特に、理由の提示)
③ 行政不服審査法上の執行停止・認容裁決
④ 申請拒否型義務付け+無効等確認訴訟の併合
⑤ 実質的当事者訴訟(処分性を関連論点として絡める)
⑥ 民衆訴訟(住民訴訟)
⑦ 機関訴訟
⑧ 相互保証主義

の8点が、択一式頻出かつ記述式未出題の重要テーマです。

なんだ、どれも普通じゃん。

となると思うのですが、出題予想は、淡々と出題履歴から算出するしかないので、これ以上の予想は無理です。

これで、予想事項は分かったと思うので、淡々と学習を続けましょう。
淡々と学習を続けることが何よりも重要です。


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