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L-twooとSENSAH、シマノの話

初投稿となります。いきなりコアな話題ですが、この3者を比較した記事等が検索にも引っかからないので。
カスタマイズ好きの参考になればというところから書き残していきたいと思いました。


人は初めて見たシフターを親と認識する

ということで、僕の親はシマノです。正確に言うとデュアルコントロールレバー、英語圏などでは「ブリフター」などと呼ばれるらしいですが。TREKのエントリーロードに付いていた触角付きクラリスがマイマザーです。
カンパニョーロは凋落したといわれ、グランツールで使われるコンポーネントでもスラムを圧倒。マイマザーシマノはトップランナーです。

ですが、カスタム好きからのアリエクジャンキーになり、パーツを調べると2つのメーカーのシフターが目に入ってきます。何しろ安い!5,6千円でシフター交換ができたら最高じゃないですか?なんて思ってしまいます。
なんやかんやで、メイン車でシマノ、スマートローラーでSENSAHを運用、ついに通勤車でL-twooを採用しました。なお、自分でいじる民なのですべてメンテが楽な機械式です。

比較できる環境が整い、ある程度乗り込んだところで、当記事を書いています。ちなみに、SENSAH、L-twooともにある程度の山越えもしています。

2つの中華新興メーカー

SENSAH

SENSAHは、SRAMの深セン工場撤退により、関連した技術者が関わっていると言われているメーカーです。

日本国内でも代理店による流通が始まっているほか、海外プロチームでも採用されている模様です。
ロードバイク用のコンポーネントとしては、公式サイト上で7~12速のシフターがラインナップされています。

L-twoo


L-twooに関しても拠点は深セン、同じく元SRAMの技術者が関わっているとされています。

電動コンポの発表に伴い、日本国内で連絡をとっている会社が散見されていますが、公式の代理店は2024年10月現在でなし。
7~12速のほか、電動10~12速のコンポーネントも発売しています。
※日本国内では電動は未流通

運用状況

メイン車はR7000系と5800系の105ミックス、スマートトレーナーはSENSAH PHIと6600系アルテのMIX(理由は後述)、通勤車はL-twooの2024年版R5です。
11速、10速、9速と分かれていますが、10速も9速も旧式シマノからの組み換えですので、感触的には水平評価となります。ただ、旧式との比較という点はご留意ください。

一旦は10速アルテからメイン車に組み替えていたPHI、そこからメイン車に載せ替えた105、最近SORAから組み替えたR5。長期運用しているのは105とPHIですが、R5も2024年版には華奢な印象はありません。

ちなみに、アリエクでの価格(2024年10月時点)を11速で比較すると、以下の通りです。
・R7000系105…20,000円弱
・SENSAH Empire Pro…10,000円前後
・L-twoo R9…10,000円前後
おおむね、シマノの半額になります。PHIはグループセット(クランクを除く)で13,000円程度、R5はシフターのみで7,000円未満で購入しましたので、下位グレードの価格もだいぶ安いです。

3者の比較

シマノ、SENSAH、L-twooを雑に比較した個人的評価は、以下のようになります。


・シマノ
価格×
FD変速〇
RD変速◎
ブレーキ〇

使用感大です

・SENSAH
価格◎
FD変速△
RD変速〇
ブレーキ〇

左は10速時代の
アルテグラ

・L-twoo
価格◎
FD変速◎
RD変速〇
ブレーキ◎

過去いち巻きが汚いバーテープ

FD変速とRD変速を分けて評価しました。シフターの構造上、3者ともに(実際には3者以外も)左は巻き上げるとシフトアップ、右は巻き上げるとシフトダウンする構造になっています。重量に関してはカタログスペックで大差ない(105が微妙に重い)ため、比較しません。

シマノ

シマノのコンポーネントを使うことに不満はあまりありません。ですが、故障での交換などを経験すると、やはり価格に目が行きます。

フロントの変速については、R7000シフターと5800FD。シフターの構造上巻き上げであるシフトアップが若干重くなります。
リアに関しては5800シフターとR7000RD。2段ダウンの際にも抵抗が少なく、当然シフトアップも軽いです。

ブレーキにも問題ないですが、左右に可動する構造上、L-twooよりはわずかな不安定さが存在します。

現状、クランクに関しては3台全てシマノを使っています。直接的に力がかかる部分ですので、そこは信頼性を捨てきれないのが本音です。
フロントディレイラーに関しては、SENSAHが×××でしたので、3者ともにシマノ。シフター以外についてはシマノが優秀と判断するのは、私の親がシマノだからでしょうか?

SENSAH

さすがの低価格、中古買いからの触角換装の選択肢になりえます。

フロント変速に関しては1レバーでの操作になる関係上かシマノよりシフトアップが重く、反面、シフトダウンはシマノと同水準の軽さでした。
リアはシフトアップが優秀でするっと変速できます。シフトダウンは重さ・操作の大きさはシマノ並みかシマノより若干下といったところです。

フロントディレイラーのシフトアップが、3者の中で最も重かったです。特にSENSAH製FDは鈍かったため、スマートローラーのFDはシマノに替えました。また、シフトアップ時の操作量の大きさ・重さも気になったので、左シフターは6600系アルテグラにしています。
リアに関しては、シフトアップの軽さが際立ちます。シフトダウンの挙動は、シマノと比較してレバーの操作量が大きいという面で、若干劣る程度です。RDはPHIのものが問題なく使えています。

ブレーキ構造の面では、特にシマノに劣る面は見当たりません。

L-twoo

SENSAHとの価格差はなく、好みや性能で選択するような形になるかと思います。

機械式の場合、フロントリアのシフトで一番タッチが重いのはフロントのシフトアップですが、L-twooは3者の中で一番軽いため、相対的にフロントの評価が高くなりました。フロントの場合段数は変わりませんので、上位機種ともなれば問題が生じる可能性はより下がることが推定されます。
右シフターのリアも大きな問題はありませんが、サムシフターのボタンの硬さがあり、シフトアップが遅くなります。他所で言及されているように、下ハンドルの操作においてはボタンに指が届かず、他の2者に劣ります。

FDがSORA、RDが9速時代のTiagraで運用してますが、変速そのものはともに問題ありません。

ブレーキレバーは独立しているので、最も安定したブレーキングができると言えます。

握り心地、外観等

握り心地は、L-twoo>シマノ>SENSAHの順で良く感じました。

L-twooは頭が細くなっている以前のバージョンについては、ネット上で「安っぽい」、「おもちゃ感がある」と評価されていましたが、2024年度版はラバー部分の質感がよく、細かいスリットが向きを変えて入っているなど、細部にもこだわっています。

SENSAHはラバー部分に大きくスリットが入っていますが、素手で握ると気になる程度に溝が深いです。ただ、L-twoo・シマノと違い、レバーの金属部分がマット塗装になっており、この部分の滑りにくさが欲しい人には向いているかもしれません。

サムシフターに関する評価はカンパニョーロのレース界でのシェア低下もあり、賛否が分かれる部分です。ただ、僕がブラケットポジション99%で乗っているため、それに近い乗り方をされるのであれば同様の評価になるかと思います。

まとめ

シマノのシフトチェンジ機構が劣っているわけではありませんが、いかんせん価格面での差が大きすぎます。ですが、FDなどの挙動からシフター以外はまだシマノの技術に追いつけてない印象でした。

仮にメイン車のシフトレバーが壊れたとしたら、僕はおそらくL-twooに買い換えます。RDは割とどうにでもなるので、中古シマノかシフター合わせでL-twoo、FDが壊れたら買い換えもシマノ一択です。
現状の変速精度から見て、電動の国内使用ができるようになれば、L-twooの電動グループセットを使う方も増えていくのではないでしょうか。

現状日本国内においては、セルフカスタム勢以外に影響は小さいように感じますが、新興国や途上国も念頭に置いた将来的なシェア争いでは、シマノの優位性が無くなってきそうだと感じています。「人は初めて見たシフターを親と認識する」ので、安価が正義の下位グレードのシェアは、その後のアップグレード需要に直結するのではないでしょうか。

MTB等では、CUESシリーズの発表により、下位グレードの規格がそろえられています。

https://bike.shimano.com/ja-JP/products/series/cues.html

ロード用コンポーネントも、今後は国際競争力を意識して規格がそろえられるのでしょうか。

というわけで、3種類を使ったのでウッキウキで記事を書いてみました。当記事がカスタムなどのご参考になれば幸いです。

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