#36 カイロの紫のバラ(1985)
失業中で無神経な夫と暮らすセシリア。ある日、彼女が帰宅すると夫が女を連れ込んでいた。さらに仕事もクビになる。セシリアは現実を忘れようと映画館へ足を運ぶ。上映されるのは4回も観たカイロの紫のバラ。そんな彼女の前にスクリーンから映画の登場人物トムが抜け出てきた...
表向きにはロマンチック・ファンタジー。
しかし、そううまくいかず現実のギャップを突きつけてくる。
「夢に惹かれても現実を選ぶしかない」から「現実を選ぶしかないからこそ夢に魅了される」となる展開が何度見てもいい。
映画は虚構。
どんなに楽しくても一時の夢。
日常は続く。
十代、二十代前半は現実からの解放を夢に託しすぎた。
今は観てるこの時間が尊い。
ミア・ファローがどん底から目の輝きを取り戻す20秒にウディ・アレンの映画愛が汲み取れる。
近年にまでいろいろある二人だが、自分の渇きを癒してくれた作品をけなしたくない。