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#41 成功の甘き香り(1957)
面白い所はどちらも悪役。
トニー・カーティスは早くビッグになりたい野心家、バート・ランカスターは権力を持つ傲慢コラムニスト。
妹の恋人が気に入らず別れさせるために、ゴマをすってきた男を利用する。
わずかなコラムの採用のために駆け回る男がグレーからどす黒になる展開が何とも哀しい。
夢に陰りが見え始めたカーティスを溶けたアイスクリームみたいな顔っていう表現が上手い。
対して成功者になりすぎてある意味、人的資産が少なそうなランカスター。
肉親の妹に偏執なのも分かるような分からないような。話のスケールの小ささとランカスターの非情さがミスマッチして不気味。
悪質な手段で破綻して孤独になる所は他の国の退廃的な作品と比べて劇的ではないものの、人とNYの街並みの画面構成と相まって、後味の悪さが妙に残る。