#47 愛は静けさの中に(1986)
ろう学校の生徒に読唇術と発語を教える教師とそこで働くろう者の女性との出会いと恋を描いた物語。
ナイーブな題材ながら健常者の無意識の傲慢や、ろう者の苦悩も描かれていて誠実さが伝わってくる。押し付けの感動というのは感じられない。まあこれも傍観者の感想ですが。
両者ともに沈黙の世界のプールのシーンも好きだが、争いシーンがやはり印象的。
あなたは本当の私を無視して「サラのため」を考える。仕事を辞め、話し方を学ばせて、あなたの作った私。本当の私にさせてくれない限り、私の沈黙の世界には入れない。
読唇術と発語の教育という時点で健常者の都合なのかもしれない。
好きだからこそサラの主張に反論してぶつかるジェームズ。傍観者から辛い当事者になったシーンが考えさせられる。
他者の世界に入っていくか、踏みとどまるのか。恋愛映画の名作。
この映画で彼女の手話を通訳しつつ、自らも手話をしながらセリフを喋るウィリアム・ハートは2年連続アカデミー賞取ってもおかしくはなかった。
(まあ1987年は敬愛してやまないポール・ニューマンがハスラー2で取ってたので複雑ですが)
もちろん耳に障害があるマーリー・マトリンの演技も素晴らしい。激しい手話での皮肉や愛情表現と真っ直ぐ見つめる瞳がとても良く、彼女の顔を見れば言いたい事が伝わる。
「コーダ あいのうた」 でボロ泣きしてからの再鑑賞。