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#25 未知への飛行/フェイル・セイフ(1964)

冷戦下、コンピューターの誤作動で、モスクワへパトロール中の空軍爆撃機に核攻撃が下る。
フェイル・セイフと呼ばれる限界線を越えた編隊は帰還命令を遮断。
ホットラインでモスクワと連絡を取る大統領は、全面核戦争を回避し、ソ連にモスクワ爆撃が手違いで起きたことを納得させるため、驚くべき決断を下す。

報復の連鎖を止めるためニューヨークに水爆を落とすと...

日本の映画ファンとしては、シン・ゴジラでオマージュされた事で、息を吹き返した名作。

監督はシドニー・ルメット。
1962年キューバ危機で起きたかもしれない最悪の結末を映画で再現。
しかし、原作はもっと前から存在し、当時の核恐怖がにじみ出ている。

原作が「博士の異常な愛情」と似ている事から批判され(後に和解)、また内容が内容だけに予算が得られなかったそう。

だからこその工夫が随所にあって、物語は主に基地の指令部、国防総省、大統領の秘密部屋、爆撃機の操縦室の4ヵ所で進んでいく。

音楽はなく、声と音とモニターの静かな戦争。
限定された空間で、様々な人間の主張が入り乱れる所は同監督の代表作「十二人の怒れる男 」を彷彿とさせる。

ここでも大統領役のヘンリー・フォンダが凄く、平常心を保ちつつも非情な決断を下す所は鳥肌が立つ。

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