#40 赤と黒(1954)
赤は軍服、黒は僧衣_
平民出の青年が持ち前の美貌と頭脳で貴族社会の中で出世していくというまあ好物な物語。
野心の手段としてレナール夫人、マチルドと関係を持ちながらも後々情に苦悩するジュリアンをジェラール・フィリップが好演。
心理描写が普通の小説よりも細かい原作を損なわない稀有な映画だと思った。
ただの文学作品のダイジェストにならず、何が推進力となって見れたかというとレナール夫人を演じたダニエル・ダリューとのメロドラマだった。
今では冗長といわれ無理な演出だろうレナール夫人がジュリアンの部屋のドア前まで来て、迷い戻って、また来てとゆったり進む演出が情を生みましたよ。こういう所に監督自身が体験したことなのかなと何となく作家性を感じる。
逆に2部はもっとあっても良かったと思ったら元は4時間構想だったそうで..。
原作をまたさらっと読めた事とこの映画を通してダニエル・ダリューをちゃんと知れた事が収穫かもしれない。
まあ男ですので。
男は母的なる女性と妹的なる女性と、世の2大タイプの好みによってこの映画の評価は変わるかも?
原作ありの映画化で想像から逸脱するとしたら編集、演出いろいろある中、一番は俳優の表情かもしれない。発砲シーンでのジェラール・フィリップの顔はとても素晴らしかった。
予告
https://youtu.be/p5Ud-tc5DQI
紀伊國屋書店から出ていたDVD。
Blu-rayも発売されているものの、こちらは作品を表現するパッケージとリーフレットが素晴らしい。
旧作品はそこまで画質に拘らず特別なパッケージ仕様と特典で選びがちです。