空っぽであること。

さて、割とアカデミックな話になります。僕です。

めちゃくちゃ真面目は話なので、読みか読まないかは自己責任です(自分の考えを説明するための練習もかねて書いてます。)。多分読むのダルいです。苦情は受け付けません。言いましたからね!

皆さんは「神道」ってご存じですか?多くの人は耳にしたことがあると思います。日本の主要な宗教のひとつで、日本発祥の宗教です。そうです、「神社」は神道の施設です。かなり日本文化に根付いているので身近に感じると思います。

あ、僕は個人的には神道は信仰していません。無宗教ボーイです。布教したいとかっていう意図があるわけではないのでご安心を。

神道の重要な概念の中に「空」というものがあります。これは”うつ”と読みます。これが僕の考える建築においてもっとも関心のある概念なんです。

これを理解するためにまず知っておかないといけないことは、神道における神様のあり方です。神道は「アミニズム」という自然信仰の考え方から発生したといわれています。信仰対象である神は、山の神や川の神、風の神などから始まり、コメの中には6人の神がいるとされるなど、自然環境のあらゆるのに神が宿るとする「八百万の神」(やおよろずのかみ)という基本概念に基づきます。その中で神はそれらを揺蕩う(たゆたう)存在とされていました。一か所にとどまらず、いろんなところをうろうろしているという感じです。

その神にどうやって願いを届けるのかと大昔の人々は考えたわけです。そこで人々はいわば道の駅のようなものを作りました。気まぐれな神がたまに立ち寄ってくれたらいいなというところです。

装置は簡単なものです。4つの柱を立ててそれを紐で結ぶだけです。そうしてできた内側の空間を「代」(しろ)と呼び、神様が立ち止まる可能性のある空間を作ったのです。

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ここに屋根を付けたものを「屋代」(やしろ)と呼び、信仰の施設としました。やっとここで聞きなじみのある言葉が出できたと思います。「出雲大社」(いずものおおやしろ)の”やしろ”はまさにこれです。

神道では、無いという状態を「虚」と呼ぶのに対して、可能性を含んだ余白のことを「空」と呼びました。

この「可能性の空間」とは面白いなと思ったわけです。人の可能性を空間が制限するのではなく、様々な人の営みを受け止める、受容する空間は魅力的だな、と。

そんな空間神道の施設ではなく、人の生活する空間として現代的な手法で作りたいと強く思ったのが10か月前くらいです。

ですが、この話を読んで、具体的な空間をイメージできた人はほとんどいないと思います。僕もそうでした。あまりにも概念的過ぎて物質的なイメージにつながりません。

そんな時に出会ったのがinliving.でした。最初に見たのはナイトルーティーンの動画でした。ゆったりとした暮らしぶりに惹かれて観ていると、マットレスを立てたり倒したりしているんです。

…...............................................!!

ってなりました。「マットレスを動かす」というとても単純な行為によって空間が寝室になったり、リビングになったりと、その空間性を柔軟に変容させていたのです。まさに営みの可能性を空間が受容していたんです。あの部屋はまさに「空」でした。


そんなことを考えながら動画を見ていたら、いつの間にかファンになっていました。

ここで誤解してはいけないのが、「ミニマリズム」とは違うということです。「ミニマリズム」とは言わば引き算の美学です。対して「空」は何も足さないし、何も引かないのです。古典的な建築様式への反抗と工業化に伴う均質化、空間に対する潔癖症のような形で発展していったミニマリズムとは全く違う文脈で発展していった文化になります。前述した言い方を用いると、ミニマリズムは「虚」なのだと思います。対して空は、上質な器を用意してあげて、その内側で営まれる様々な活動を妨げない空間という感じでしょうか。

非常に概念的で、この違いを理解できた方はかなり少ないと思います。多分この違いを理解するためには近代建築史(またはデザイン論)と日本建築史と日本の宗教学を学ばなければいけないので、noteで本格的に理解を進めるのは困難に思いますが、興味を持ってもってもらえるとうれしいです。

ちなみに、僕は空間を専門に勉強している建築学生なので空間を主体に書きましたが、この考え方を発展させると、ライフスタイルなどにもかかわってくるので、個々人で考えを深めてみると面白いかもしれません。



いやー、わかりにくいですね。今後、この考え方をプレゼンする機会が多くなっていくのですが、まぁ時間がかかる。コンパクトにできないかと試行錯誤中ですが、今のところ、惨敗中です。むずい、、、。

付き合ってくれた方々、ありがとうございました。僕でした。



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