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水を走らせない。大木の役割について考える。

毎月第3木曜日に定期開催している御岳でのめぐる水講座。
今回は斜面に生えていた木を切ってしまったため、水が走りやすくなった場所の造作をしました。

家の南側にある斜面に生えていた桐の木。
日当たりが悪くなるのと、そのまま大きくなると手入れが難しいという理由で、地主さんの判断です。


柵をつくる

斜面の木を切ると、水通しと風通しがよくなるので、水が走りやすくなります。


斜面の上側に、高い桐の木が生えていた。
切り株が残っていて、今回切ったのは蘖(ひこばえ)。

斜面に生えている木を切ると、一気に風通し水通しがよくなります。
斜面のままにしておくと、水の通り道ができてきます。雨のたびに水が走って、石や土砂を運び、崖が崩れやすくなります。

それを防ぐために、柵(しがらみ)を作りました。

斜面で水を走らせないようにするには、いくつかの方法があります。
 硬いものにぶつける
 角度を変える
 蛇行させる
 分散させる
 凸凹にする
などです。

柵によって、角度が水平×垂直に近くなります。
段差ができるので、斜面が凸凹になります。
流れが広がってぶつかりながら水が流れるので、分散されます。

ここで注意したいのが、柵は一列に作らないこと。

柵を一列につくると、その脇を水が一直線に走りやすくなる

縦並びに柵を作ると、柵の両脇に水みちができてしまいやすい。
流れやすいところを選んで水は動こうとするので、柵をさけて通ろうとする水を集めてしまうのです。
登山道の木の階段と一緒で、その両脇がどんどん掘れてしまいます。

柵はランダムに配置する

図のようにランダムに配置すると、水が柵にぶつかり、勢いがつきにくいです。

今回は応急措置的な形で、切った枝を横に置いてしがらませるようにしました。

斜面に柵を作った

生えている木の根元や岩などの形を利用して、一列にならないように作っていきます。水が多く走るところは岩が多く、柵を作りにくいです。岩がガラガラしているところは柵ではなく、小さな石垣(空積)を作るといいです。

柵を作ることで、水平な面ができます。
ここに炭、草、土を交互に平らな層にして積み重ねると、植物が生えやすい状態になります。斜面よりも水平のほうが落ちついて根をはりやすいからです。植物の根が石や岩をかかえこんで、より一層崩れにくい斜面へと変わっていきます。

大木の役割

今回、水が走りやすくなった原因は、木を一斉に切ったため。

斜面がむき出しになると、凸凹がなくなり水が走りやすくなります。

いちばん大きく影響するのは、太くて大きい木です。木は水を地下から汲み上げて、空中に蒸散するポンプの役割をしています。そのポンプがなくなると、それまで汲み上げられていた水の行き場がなくなって、周りがグズグズになりやすいのです。

桐の木の伐り株の谷側に、水がしみ出ていた

大きな木を切ると、周りの土地に大きな影響があります。それは土の中でも起こっています。

めぐる水講座は、毎週土曜日と第3木曜日に定期的に開催しています。興味のある方は参加してみてください。


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