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ファシリテーションは、リバーカヤックのガイドに似ている。

五日市でファシリテーション講座を受けてきました。

土曜の午後から集まってから日曜日一日の、1日半のスケジュール。
会場は、五日市駅近くにあるごえん分校。
参加者は、あきる野市を中心に、日の出、檜原、青梅の方々。
主催者のナンベーさんは、ファシリテーションができるひとを増やして、西多摩地域の対話をもっと深めていきたい。との想いでこの講習を企画してくれました。

講師は、クニさん(飯島邦子)さん。
プロセスラボラトリーの代表をされている方です。

2011年の東日本大震災のときに、被災された方向けの対話会にかかわってから、本格的にファシリテーションの世界に入ったそうです。

講習はとてもわかりやすくて、ファシリテーションの成り立ちや意義、大切なこと、技術(声を出しやすく/考えやすく/事前の準備)と姿勢(揃える/在りかた)を、座学と実践をしながら進められました。

4-5グループに分かれてのワーク。今回は、話す、書くを中心に体験とふりかえりをしました

ファシリテーションについてはふんわりとこんなかんじ?というものがあったのですが、基本的なことからしっかりと知ることができました。

特に印象に残ったのが、こちらの図。

「話し合いを分類するふたつの切り口」
結論が必要/不要、立場が固定/可変のマトリックスで、右がファシリテーションが必要、左が不要。右側の話すことで何らかの変化が生まれるのを目的としたときに、ファシリテーターが必要。

会話。対話。議論。討論。交渉。
話すといっても、いろんな形があります。
このマトリックスをもとに考えると、どういう話し合いなのかを明確にできます。ファシリテーションは、二人以上で話す場面でも、話し合うことで何らかの変化が生まれる時間を目指すなら、必要です。


最近、こんな本を読みました。

この本に書かれているエピソードは、どれも対話を考えるときに大切なことばかりです。その中でも合意形成のかたちについて、村の寄り合いを書いた章があります。

村で話し合うべき議題ができたら、寄り合いに集まって話す。対話の内容は、議題についてだったり、話がそれて雑談になったり。議題が浮かび上がったり、沈んだりしながら進む。議題によって寄り合いの長さや回数はまちまち。ある程度話が出尽くしたところで、最後に寄り合いをまとめる長が決定する、というエピソードです。

講座を受けて、この寄り合いのエピソードが何なのかがわかった気がしました。肚の中のものをすべて出し尽くすこと、そこからじゃないと納得のできる合意は生まれないだな、ということを。

だからこそ、声を出しやすくするために、事前の準備や方法、技術があるといいのです。

準備の大切さは、ケーキを焼くのに似ている。

私は週に一度、奥多摩・白丸湖畔のカフェに出すためにバナナケーキを焼いています。毎週のことなので、だんだんと要領がよくなってきました。

今は、先にケーキ型に紙を敷いてから、必要な道具をすべて並べて出し、材料はすべて計量をすませ、どのタイミングでオーブンの余熱をするかの段取りができているので、流れるように作業が進みます。

はじめのころは、ケーキひとつを焼くだけでもバタバタしていました。
材料を測りながらだと、材料の出し入れだけでも手間がかかります。道具が揃っていないと、作りはじめてから戸棚へ行ったり来たりします。そんな小さな動作の積み重ねが、流れを止めています。

流れを滞らせないためには、前倒しで考えて段取りをしておくことです。

会議も、必要なものが揃っていなかったり、流れを止める小さなことが、対話しにくい状況を作りだしてしまうように思います。

だから事前の準備がとても重要。準備は、心理的不安を取りのぞいてもくれます。
どんな会議にしたいのかを考えて、誰に声をかけるか、いつにするか、どんな会場にするか、揃えておく道具は何か。
当日も、テーブルの配置やお茶など温かい飲みもの、空調、道具がちゃんとそろっているのか、などを準備する。

準備がしっかりできているほど、会議に集中できるし、スムーズに流れます。逆に準備ができていないと、途切れたり、活発な意見がでなかったり、頭が回らなかったりします。

対話は愛。快適で安心な場を作ることで、ことばを開くことができる。物理的なことも、心理的なことも、どちらも大事。ギスギスしたり、ことばが発せられなかったりするのは、そもそもその場ができていないからかも。
テクニックうんぬんよりも、まずは愚直に準備することからはじまるのかな、と思いました。

あらためてとらえ直して考える。対話はプロセスが重要。

しっかり聞く、話す。書き留める。
特に「聞く」があって、はじめて人は考えに変化が起きるのだなぁと今回のワークで体験しました。
いろんな立場や年齢によって、見えるもの、感じ方がみんな違います。いろんな意見を聞くことで自分が見えていなかった視点で考えられるようになります。複数の視点があるほど、ものごとは立体的に見えるようになりますから。

だから聞けないひとは、自分の視点のみでしか考えられないので、変われないひとなのだと気づきました。
変化がないまま話し合いをしても、「交渉」や「ディベート」の勝ち/負けにしかなりません。負けたほうは、納得のいかない結果となります。
対立している議題ほど、「ちゃんと話す、聞く」が、みんなが納得して合意するのにとても重要なことなだと、わかりました。

話す、聞くのもテクニックがある

ひとりひとりの意見を出し切るためにはいろんなテクニックがあることも、知れてよかったです。

1時間を使ってただ漫然と話し合うのではなく、時間を区切って、聞き方を変えていくと、全員が意見を出しやすくなる。

例えば今回のワーク(8個あるものの優先順位を決める)では、
・それぞれが感じたことを話す
・個人別に優先順位をつけて並べ替える
・自分の見解を話す、理由(途中で遮らずに、交代でひとりずつ話す)
・個人の意見をふまえて、グループで話し合う
・軸を大切にして3つ選ぶとしたら
・グループで順番を決定する
といった様々なやりかたで話し合いをしました。

参加者が主役。リバーカヤックのガイドと似ている

ファシリテーターは、川下りの安全を確保するリバーカヤックのガイドと似ています。

どこが難しい瀬なのか。どう下って行ったら安全に行けそうなのかのルートや順番。危険度が高いところでは役割分担しながらお互いにサポートしあえるように配慮するとか、止まったほうがいいのか、このまま進んでいいのかの全体の流れ。
参加者が不安に感じていないか、意見を出せているか。ひとりひとりのようす。
みんなが無事にゴールにたどりつけるように、参加者が主役となってサポートする役割です。

場数を踏んでいくと、事前の準備も要領よくできてきるようになったり、ちょっとしたトラブルがあっても対処できるようになるのも、川下りのガイドに似ています。

まとめ

グループワークで実際に体験をして、どう感じたのか?どう注意すればいいのか?をふりかえりながらの、1日半の講座。終えてみて、ファシリテーターの役割についての理解が、ぐぐっと深まったと思います。

今回の講習で受け取ったのが、「事前の準備」「参加者が主役」「プロセス」の三つ。

ご一緒してくださったみなさん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。


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