土中環境を「うんち」にたとえてみた
土中の水と空気の動き。うんちにたとえるとわかりやすいのかも!
体の中で起こることと水の関係は、似ている点が多いです。
水の困りごとは、「走る」と「たまる」。
水が走ると、チカラを増してまわりを崩したり、押し流したりします。
逆に水がたまると、たまった水が腐って、まわりの植物を弱めていきます。
走る=下痢
水が速くたくさん流れると、まわりの土地を削って荒らしていきます。その規模が大きいと、土砂崩れや土石流となって、沢の下流側へたくさんの土砂が流れていきます。
走る水は速く動くので、吸収されるひまがありません。水がしみこまずに流れてしまうので、下流の川では雨で一気に水位が上がり、晴れの日が続くとカツカツになります。
この状態は、下痢に似ているように思いました。
水をがぶ飲みすると下痢になりやすいように、大雨が降ると水が走りやすいです。勢いよく動く水が腸内を荒らすように、山でも勢いよく水が流れ続けると、沢が荒れて崩れていきます。
大雨で水が引き寄せられて集まると、チカラを増して大きな土砂崩れにつながります。
下痢をすると、脱水症状になります。水が吸収されずに出てしまうからです。
山でも同様に、斜面に低木や草が生えていないところでは、表層を水がすばやく動きます。地面に水がしみこむひまもなく去ってしまうので、土中はカラカラ。水が走っている斜面では、雨のあとでも中の土が乾いていたりします。
また、小麦粉のグルテンが下痢を起こしやすいのにも似ています。グルテンは粘性が高く、腸内に貼りついて腸の細胞にダメージを与えます。
沢も泥が流れ込み、細かな粒子でつまったままだと、水がしみこまずに速く動いてしまうので、大雨や渇水の影響をうけやすくなります。
たまる=便秘
たまった水の中は酸素が供給されず、植物が育ちやすい微生物がいられなくなります。有機物が分解されて、有機酸やガスが発生します。長く水がたまった状態のままだと土壌が固まりやすくなり、土壌中の微小な孔や隙間が減少して、植物は根が張れなくなります。
たまった水の周辺から植物が弱りはじめて、広く連鎖していきます。
この状態は、便秘に似ているのかな。便がたまり続けると、大腸内の細菌が増えて、腸内のガスが発生します。
便秘になったときに下剤を飲むと、どかんと一気に便が出ます。これって地中に水がたまったままの状態が長く続いた場所で、大雨が降ったときにどかんと崩れる深層崩壊に似ているように思いました。
例えば、コンクリートで水を完全にせき止めている砂防ダムでは、ダムの山側に水がたまり続けます。このたまった水が重さに耐えきれなくなったときに、砂防ダムごと崩壊します。
この発想に至ったのは、以下の動画を見たからです。地質によって土砂崩れが起きるのですが、大きく崩れるときには長く水がたまった状態だと言っています。
<参考動画>
「みんなの森のサロン」
シーズン3/43話 「森と大地 〜崩壊地を歩く〜/ゲスト:後誠介さん
ちなみに・・こちらで10/19(木)に、土中をめぐる水についてお話しします。今年はシーズン会員になると過去動画もすべて見られます!
うんちに例えると、「快便」がベスト
走る=下痢、たまる=便秘として考えると、理想は快便の状態。土中の水も、ゆっくり動いて、とどまらないようにコントロールできるといいのでしょう。
土中の水は、走らせない、ためない。
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