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江戸時代の植物を愛でる文化を、新しい形に

先日参加したグリーンインフラ産業展の講演がよかったので、涌井氏の本を読んでみた。

『いなしの智恵』涌井雅之

「いなし」については前半のみ。昔の智恵をいろんなところからかいつまんで語っているようなかんじだったが、ヒントはたくさんあった。

後半の、江戸文化と緑の循環の話がなかなか興味深かった。人口密度が今以上だった江戸では、造園業や園芸が盛んだった。そういわれてみれば、朝顔は市が立つくらいにみんなが買っていたようだし、菊は菊人形とか品評会などがすぐに思い浮かぶ。

市井のひとが植物を愛でる文化が、たしかにあったと思う。

自分で植物を育てると、土壌がよくないと育たないという前提や、自然のままならなさを直に感じられる趣味だったのではないか。

朝顔市などで売り買いすることで経済的なインセンティブもあって、モチベーションも保ちやすいし、技術を高めようとする意欲もわく。

また、石高の高い大名屋敷は広い庭が作られ、それを支える植木産業も盛んだった。植木を育てる畑が周辺にあって、それを愛でるイベントや日常があったようす。

この「おもしろがる」姿勢を分解したほうが、グリーンインフラは広められるように思う。どうやったら楽しく深めつつ植物や土を身近に感じられるようになるか、がカギかな。

同時に、草刈りで庭を”きれい”にするメンタリティもわかった。「手入れする」心もちを理解しないと、草を生やす庭は受け入れにくい。

いかに「手入れしている風」に草を生やさせるか、考えてみたいと思った。

今は草が生えていないのが正義になっちゃってる。苦痛に思いながら草と闘っている。だから防草シートを貼ったり除草剤を撒いてしまう。

自分にとっても快適で楽しいことが、周辺にもいい影響となる形で、草木を生やせる世の中にしたいなぁ。

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