見出し画像

野菜を育てるのは誰なのか

小布施町をあとにして、夜は長野市松代(まつしろ)町のゲストハウスに宿泊。というのも、小布施周辺にはひとりで泊まれる手ごろな宿が見つからず、探しているうちに車で30分ほどかかる松代に泊まることになった。

お世話になったのは「ゲストハウス布袋屋」。
松代町の中心部にあり、建物は文化財に指定されている築120年の明治町屋を改装したもの。町を観光するには、とても便利な場所にある。

迎えてくださったのは、店主の山本さん。長野市に生まれ育ったのだけれど、松代に魅入られて3年間ほど物件を探し、ここを見つけたとのこと。
ここでゲストハウスをはじめて、10年になるそうだ。

山本さんは田んぼと畑を借りて、米と野菜を作っている。
話の流れで自然農についての話題となった。

なぜ虫がつくのか。なぜ病気になるのか。

目の前の現象だけを見ていると、わかりにくい。そもそも、虫がついたり病気が発生したりするのは、作物が弱まっているからなのでは。だから農薬を撒いて虫を殺したり病気を防いだりする前に、作物が強くなるように考えたらいいのでは、と話した。

作物が弱くなるのは、自然な環境から離れたときだと考える。肥料をあげすぎとか、気温があっていないとか、水の好みがちがうとか。
植物は自ら移動できないので、種が撒かれたら、苗を植えられたらその場所で生きていくしかない。植物が好きな環境になるように、整える必要がある。
マツ枯れのマツは、土壌が豊かになったから枯れるのかもしれない。マツの木は荒地が好きなので、栄養豊かなところは不得意なのだ。

もしかしたらマツのように、病気や虫がつくのは肥料のあげすぎなのでは? 人間だって甘いモノを食べ続けていると糖尿病になってしまう。

虫は農薬以外でなんとかできないのか? ナラ枯れのナラの木がそうであるように、虫がつくから枯れるのではなく、木が弱まっているから虫がついて枯れるのだ。

目に見える虫や病気ではなく、広い視野が必要?

もっと広範囲な自然の循環、たとえば鳥に虫を食べてもらうとか、虫がいやがる植物を近くに植えるとか、別のアプローチはないのか。(パクチーをカブのそばに植えると、虫がつきにくいそうだ)土壌の中にいる菌類の状態。
などなどに目をむけたほうがいいのでは? などなど。

人間と作物のやりとりだけではなく、いろんなものが影響しあっているはず。気候、天候。土の中の微生物。鳥や獣。
人間だけがやるのではなく、環境に助けてもらう視点で広く考えていくと、もっとラクにおいしい作物が育つんじゃないのかなー、なんて農業シロウトのわたしは思ったのだった。


きっかけはこの本から

そんな視点を持つきっかけになったのは、福岡正信さんの『わら一本の革命』という本。問題は作物の上で起こっているだけではなくて、それをとりまくいろんなものがかかわっているのだ。虫が出たから農薬・・といった対症療法ではなく、そもそもなぜ虫がたくさんつくのか?といったような根本的なものを問う姿勢が大事なのだ。

この本に影響されたアメリカ人がいる。『土を育てる』の著者は、翻訳された『わら一本の革命』を参考に、農薬を大量に使う畜産から、お金をかけずに環境改善しつつも、経済的にも価値を生む仕組みづくりで成功している。

とはいえ、虫や病気をかいくぐって、きれいに揃った野菜を作るのは難しい。農家さんは、たくさんの野菜を立派にに育てていて、ほんとうにすごいと思う。

広く高い視座をもちたい

”そもそもなんで?”を問うのは、とても大事だ。忙しいときや、ものごとがうまくいかないときには、目の前のことしか見えていない。目線を高くして、全体の流れを見つつ、関連していることや因果について、目を向けるようにしたいね。

いいなと思ったら応援しよう!