コント「お告げ」
(2人、歩いてくる)
勇者:いやー今日も儲かったなあ!
戦士:うん...
勇者:もうあのスロット全然止まんなかったもんなあ!オレもアドレナリン出っぱなしよ!朝入ったのに今もう朝だもん!
戦士:うん...
勇者:さて今日はどうするかなー。
...ウッ!
戦士:どうした?また頭痛いのか?
(アルス。わたしのかわいいアルス。本当によくがんばっていますね。
今度はミラクルバリーへ向かいなさい。そこに新たな出会いがあるでしょう。アルス、わたしはいつでも、あなたを見守っていますよ...)
勇者:母さん。母さん!母さん...
.....今度はミラクルバリーへ向かうぞ。
戦士:またお告げがあったのか?
勇者:ああそうだ。ミラクルバリーに行かないと。
戦士: ...あのさ、
勇者:ん?
戦士:お前のお母さん...なんでカジノがある町ばっか行けっていうの?
勇者: ...そうか?
戦士:そうだよこれでもう7町連続だよ?もういい加減世界救わない?
勇者:でも母さんのお告げが。
戦士:多分だけどミラクルバリーってカジノだよ?聞いてみようか?
あのーすいませんミラクルバリーって...はい。はい。あっそうですか!分かりましたありがとうございます!
うん世界最大のカジノ街だって。
勇者:マジで?そこに新たな出会いがあるのか...
戦士:ないよ!多分だけどないよ!毎回新たな出会いがって言われたけど新たな台との出会いしかないじゃん!
勇者:しかしどれもかけがえのない台だった。
戦士:かけがえのない台ってなんだよ!かけがえのないは仲間との出会いしか言っちゃいけないの!
...あのさ、お前のお母さんって死んだんだよな?
勇者:ああ魔物に殺されたんだ。
戦士:それでも不思議なチカラを使って勇者であるお前に語りかけてんだよな?
勇者:ああ困っていると語りかけてきてくれる。
戦士:そんな凄いチカラ使ってカジノに導くってなんなの!?なにこのカジノ巡りの旅!
あとあの毎回言う本当によくがんばっていますね。ってなんなの!?勇者活動もせずギャンブルしてる息子褒めてんじゃねぇよ!
勇者:でも1日中スロットのボタン押してるのも結構大変だよ?
戦士:そういうがんばりじゃねぇんだよお前が求められてるのは!
なあもう世界救おうよ!俺ら最後に剣振ったのいつだよ!
勇者: ...2年半前。
戦士:そうだよな!それもカジノの景品で取った剣使ってみようぜ!ってスライム斬っただけだよね!なにこの生活!?
勇者: ...オレはキライじゃない。
戦士:そりゃ俺もキライじゃないけどさ!胸がモヤモヤすんの!俺は世界救ってから賭けグルイたい!!
勇者:そりゃオレだって世界救いたいよ?でもそのために必要なオーブ7個はどこにあるか分からない!
そんな時死んだ母さんが語りかけてきた!言う通りにするしかないじゃん!
戦士:そのお母さんがなんでカジノにばっか導くんだって言ってんの!!
お前のお母さん神の使いって言ってたよな?それでお前も勇者になったって!本当なのか?全然信じられないんだけど!
勇者:!お前母さんを侮辱するのか!母さんは!母さんは!毎日スロットばっかりで家事なんかしたことなかったんだぞ!!
戦士:やっぱそうだったんじゃねぇか!!キレイに謎解けたよ!なに擁護する感じでトドメ刺してんだよ!
勇者:珍しく作った卵焼き塩と間違えて小麦粉入れたんだぞ!!
戦士:地獄だな!!色だけじゃねぇか!色もちょっと違うわ!
勇者:初めて作ってくれた弁当 弁当箱の片隅に玄米百粒オンリーだったんだぞ!!
戦士:地獄!!地獄のエピソードしか出て来ないじゃねぇか!
勇者:オレはそんな母さんが大好きだった...
戦士:よく言えるね!!凄い親孝行!息子孝行されてないのに!
勇者:最後に家に居たのオレが3歳の時だから顔も分かんないけど。
戦士:顔も!?その感じでそのエピソード好きな要素ねぇだろ!
勇者:もし今母さんとすれ違って軽く会釈されても無視すると思うけど。
戦士:ただの他人じゃねぇか!いや他人でも会釈されたら無視するなよ!
勇者:それでも!それでも...オレにとってたった1人の義理の母さんなんだ!!
戦士:義理!!?血繋がってないの!?他人からお告げ来たの!?もう怖いなんか訳分かんない!
それじゃあお前が勇者になったのもお母さん関係ないんだ!
勇者:いやでも隔世遺伝かも知れないし。
戦士:隔世遺伝ってそういうのじゃねぇんだわ!!他人からは隔世しねぇんだわ!
勇者:とにかくオレはミラクルバリーへ行く。分かったこれで最後にする。次なにもなかったらもうお告げは聞かない。どうだ?
戦士: ...分かったよ。これで最後だぞ!
(1週間後)
(2人、歩いてくる)
戦士: .....オーブあったね。
勇者:あった全部あったね。1ヶ所で7個揃うことってあるんだね。
戦士:チョコレート3枚と同じコインで交換できたもんね。
勇者:仲間も5人増えたね。
戦士:増えたねー3年くらい2人っきりで旅しててひと町で5人増えることあるんだね。
勇者:人生分かんないもんだもんだなあ。でもこれで母さんが正しかったこと証明されただろ?
戦士:うーんそうなんだけどさ.....あの7町要らなくない?
なにあの怒涛の7連敗。なにこの3年にも及ぶ前フリ。
勇者:あれじゃないあんまり早く行くと敵が強いから
戦士:ここ来てから1回も戦闘してないじゃん!揉め事ゼロでオーブと仲間手に入れたじゃん!
あのさ、ここに全部あったの、たまたまじゃない?
勇者:たまたま?
戦士:お前のお母さんはカジノに導くチカラしかなくて、
俺らはそれに従って世界中巡ってたからやっとここで見つかった。そういうことじゃない?
勇者: ...........実は最近オレもそうじゃないかなーとは思ってきた。
戦士:だよね!!たまたま説超有力だよね!お母さんただのギャンブルの神の使いなんだよ!
ちくしょうとんでもないのに従ってちまったよ!でもこれで魔王を倒せるな!行こうぜ!
勇者:ウッ!
戦士:えっまた?
(アルス、わたしのかわいいアルス。本当によくがんばっていますね。
今度はガロッタの町に向かいなさい。そこに新たな出会いがあるでしょう。
アルス、わたしはいつでもあなたを見守っていますよ...)
勇者: ......今度は、ガロッタの町に向かえと。
戦士: ...行くのか?
勇者: ...いや、魔王の城へ向かおう。
戦士:OK!!
今日も最後までありゴトウ!