トランスフォーマーできる旅~日光を巡る視察の旅1~
先日、Transformational Travel の奥日光におけるポテンシャルを視察するため、栃木県から帰ってきました。日光は以前何度か訪れたことがありましたが、今回はこのエリアをより深く発掘するという初めての体験でした。
まずはじめに、紅葉の下で川歩き(本当に川の中を歩きます)からスタート。人里離れた川は美しく、冷たい水をざぶざぶと歩くのは非常に楽しい経験でした。ただ、自然を満喫しながらも、(景観とマッチしない)ド派手な配色のヘルメットとライフジャケットに、時々現実に引き戻される感覚もあり、個人的には少々アドベンチャー感が強かった(too muchな)気もしました。安全対策はもちろん大切です。でも行き過ぎた対策で折角の自然体験の楽しみが半減することは避けたいかなと思います。
次に、御祭神に日本武尊(二ホンタケルノミコト)をお祀りし、天狗信仰もある古峯神社を訪れました。この神社は、焼津の原(現在の静岡県)での火難を逃れた故事により、特に火防の神として全国の背景者より絶大なる信仰を仰がれている場所です。境内は広大で、昭和のブルータリズム(1950年代に見られるようになった建築様式を差し、装飾性が低い無コツな意匠表現を外観に多様することを言う)と、伝統的デザインがミックスされた、手入れが行き届いた上品な現代的庭園が素敵でした。
私を含む参加者10名は、神社に隣接した宿坊の同じ部屋で一夜を過ごしましたが、室内にある巨大な天狗のお面2つは、正直に怖かったとお伝えしておきましょう。
神社やお寺の宿坊は、非常にバランスが難しい施設です。というのも、宿坊はそもそも宗教の一部であり、そのものがシンプルで禁欲的雰囲気がある場所なのですが、その一方で、ベーシックレベルの快適な宿泊環境、デザイン、そしてあえて言わせていただくと、コンセプト全体にマッチしたサービスが提供されるべきだと思います。ここでいうベーシックとは、快適な寝具、枕、そして(欧米豪人には特に)朝のシャワーの使用アクセスのことで、これはほとんどのケースで最低限必要とされるものです。
朝の儀式が終わった後は、どのようにして多くの大工や職人たちが日光東照宮周辺で働くために鹿沼市に移り住み、それによりその土地が栄えていったのか?を知るため、鹿沼市へ移動しました。そういった背景を考えると、火除けの神社が存在するのも納得です。
精巧な彫刻が施された祭りの山車を見学するため、職人の町を巡る楽しいサイクリングは楽しい時間ではありましたが、トランスフォーメーショナル(変革的)な体験に必要な、より深いストーリーに欠けていたかと思います。
このコンテンツのハイライトは、90代(推定)の木輪職人とそのお弟子さんとお会いして、伝統がどのようにして次世代に継承されているのかのお話しが聞けたことでした。
最後に日光では、地元の修行者から修験道の修行について学ぶ時間がありました。私にとっては、この時間がこの旅のハイライトであり、このコンテンツを正しく開発していくことによって、よりスピリチュアルな学びのある旅を作ることが出来ると感じました。
自然、クラフトマンシップ、そしてスピリチュアルのコンビネーションは、多くのポテンシャルがあることは間違いありません。しかしそれを確立させるには、まだストーリーと体験の磨き上げが必要です。奥日光は将来を見据えて、すでに成功している日光東照宮とその周辺エリアとの効果的な連携が必要であると感じました。Ritz Carltonや星野リゾートといった宿泊施設は、間違いなく奥日光の発展を加速させる要素ではありますが、負担をかけすぎないレベルで地元のコミュニティを巻き込んでいくことも、今後は必要だと思います。