マガジンのカバー画像

ウェブ解析を巡る連想

14
ウェブマーケティングの基礎を非体系的におさらいできます。ウェブ解析やCRMにまつわる個人的な想いを書き連ねています。
運営しているクリエイター

#ウェブマーケティング

ウェブ解析を巡る連想 Vol.14  ~ セッション分析とユーザー分析

Webマーケティングに不慣れな企業がウェブ解析を始めると、まず初めに「ユニークユーザー(UU)」という指標にこだわりやすい。企業やブランドが対象としている消費者/ユーザーは個客だから、それに対応するのがUUであると考えてしまう。このこと自体は必ずしも間違いではないが、UUに囚われすぎてセッションを軽視してしまうのは避けなくてはならない。ウェブサイト、ことコンテンツの分析にセッションは重要な指標だからだ。極めて初歩的な話なのだが、意外にネット上でそれに触れるコメントが少ないので

ウェブ解析を巡る連想 Vol.12  ~ ロイヤルティプログラムとサブスクリプション

LTV(Life Time Value)は、「顧客生涯価値」と訳され、CRMの究極の狙いはLTVの最大化とされる。このためには新規にまして既存顧客こそが資産として重要であり、ブランドスイッチをさせないようあらゆる手を尽くす意義がある。そのマーケティングコストは一般的に新規顧客獲得の1/5で済むと云われるのに、実際には既存顧客のコストは節約するケースがほとんどだ。高度成長期以降の日本のマーケットは、ほぼ新規客しかいなかったので問題はなかった。企業には客なんか取りっ放しで逃しても

ウェブ解析を巡る連想 Vol.11  ~ ロイヤルティプログラム

想定しているのが、ウェブ上で購買行動を完結せずに店頭で商品を販売するブランドなので、Step4はオフラインとの関係が欠かせない。 Step3でユーザーは自主的にCVのLevel1や2に達し、再びエンゲージメントを経てCVのLevel3に達する。さらにLevel3のステイタス(スコアリングによるクラスター判断)で店頭への誘客となる。そしてセールスからクロージング(商品の購買成立)に至る過程は、ブランドにとって最大の試金石だ。ユーザーMはここへあくまで自分の意志でたどり着いたの

ウェブ解析を巡る連想 Vol.10  ~ リ-ドクオリフィケーション (続き)

ユーザーから自主的な個人情報の提供を得るコンバージョンLevel.3の施策には、具体的にどのようなものがあるのか。例えば、企業やブランドが主催するイベントや各種キャンペーンへの応募、商品モニターへの応募、資料申し込み(郵送含む)、商品の問い合わせ(メールやチャット、電話など)、見積りの依頼、店頭での体験申し込みなど、対応するコンタクト手段がオンラインだけでなくオフラインに及ぶケースにも及ぶ。 望ましいのは、一元化したデータベースにより、店頭まで含むマルチプラットフォームを一

ウェブ解析を巡る連想 Vol.9  ~   リ-ドクオリフィケーション

ユーザーがWeb上でエンゲージメント体験を深めてブランドへ憧れを抱いてもらえる日が来るまで、企業は幼い子鳥を育てる母鳥のような気持ちで愛情を注ぎ続けねばならない。リ-ドナーチャリングの本質だ。そして晴れの日に、子鳥は自らの意志で羽ばたく。追い立てられて巣立った小鳥は、やがて母鳥を忘れてしまう日が来るかもしれないが、丹念な愛情を注がれて育った子鳥の忠誠心は高い。コンバージョンはこのように、ユーザーの自主的な境界越えで達成すべきであり、辛抱強く回りくどくい取り組みこそが、結果的に

ウェブ解析を巡る連想 Vol.8  ~   リ-ドナーチャリング (続きの続き)

Step2で見込み客が順調に育成されているかどうかの目安となる指標は、エンゲージに伴うユーザーの満足度を推定しうる指標であり、閲覧意欲≒滞在時間、アクションによる興味喚起度≒クリック率を代表的に取り上げた。今回はコンテンツQについて、これらを補完するその他の指標についても考えたい。 訪問頻度が高いコンテンツは、ユーザー満足度が高いのか。 対象集計期間内に、ユーザーが平均何回当該コンテンツを訪問したかの回数だが、その必然性が高い場合には有効である。つまり、Qの更新頻度が高く、

ウェブ解析を巡る連想 Vol.6  ~   リ-ドナーチャリング

やっとのことで ウェブマーケティングの核とも云える、ナーチャリングへと話を移せる。 Step2リ-ドナーチャリング(見込み客の育成) 前回触れたエンゲージメントは、Step2のリードナーチャリングの鍵だ。まず、ナーチャリングで目指すべきもの、上図のStep3への矢印から説明したい。矢印の先がコンバージョン(CV)となっているが、これはあくまでStep2がうまく機能した結果だと考えたい。ユーザーはStep2のエンゲージ体験を繰り返し深めることで、結果的にブランドへの好意が高

ウェブ解析を巡る連想 Vol.5  ~   リ-ドジェネレーション (続き)

ネガティブ心理の代表格は「面倒くさい」だ。よほど前のめりにLPへ来訪したのでない限り、広告経由のユーザーは大概俺様気分だ。「ちょっと引っかかるものがあるから来てやったけどよ、俺様の面白いと思うものがあるなら早く見せろよ」となる。 前回、広告のゴールをハードルが高いコンバージョン(CV)にしないほうがいいと書いたが、世間一般的には、広告の成果はCVで測ることが推奨されている。もちろんCVを何にするか次第であり、動画の閲覧をCVと指定するのであれば、広告の目標としても十分機能す

ウェブ解析を巡る連想 Vol.4  ~   リ-ドジェネレーション

前回提示した私案の戦略モデルを再掲し、この説明を続けたい。ある企業のウェブサイト(ホームページ)X.jpでは、代表するナショナルブランドYの傘下で、商品Y1、Y2、Y3を扱っていると仮定する。商品はある程度高額な嗜好品で、ユーザーがパルス的な消費行動をしにくい状態を想定する。 Step1 リードジェネレーション(見込み客の獲得) ブランドと商品をさらに認知理解してもらうために、X.jpにはさらなる集客が必要だ。主要流入経路の類別を、①広告、②自然検索、③ダイレクト、④参照

ウェブ解析を巡る連想 Vol.1 ~  ”Web Analytics” からはじめる

2020年5月、コロナ禍によって自由な時間が増えたので、長年ウェブ解析の実務を通して考えてきたことを、記録するつもりであてどもなく書き連ねてみようと思う。 独り言とはいえ、今まで積み重ねてきたものをひととり吐き出せば、ウェブ解析の初心者やウェブマーケティングのおさらいをしたい方には、「なんだか頭の中の整理になるかも」と感じてもらえるものではないかという色気もある。でも、用語の解説や技術的な解説は極力書かない。それらの情報はウェブ上に腐るほど溢れているので、解析を真剣に身につ