棲家をツクル物語　第三回〜外壁工事が始まった〜

そしてあっさりと、工事の日がやってきた。

10月6日

横の空き地に大きなクレーン車が入り、二人の男たちが居た。

おしゃべりくんと、無口くんだ。

ご挨拶をすると、早速おしゃべりくんがいろいろと説明してくれた。

まずは壁を棒で叩き、コンクリートやクラック（ひび）の状態を探る。

その後、クラックを埋めるが、今回は塗装はしない。
予算がないのと、外観を気にしても仕方ないからだ。

裏の第2ターミナルビルも随分だが、天国ビルの裏側は廃墟そのもの。

営業してるなんて、信じられない！

カッコイイが綺麗ではない。
いや、綺麗じゃなくてもいい。退廃的なものはうつくしい。
そこは気に入っているので、このままでいい。

電源が欲しいとのことだったので、おしゃべりくんと共に
第2ターミナルビルの3階、通称”ひみつ”と呼んでる部屋へ行く。

以前、このビルのことをお客様には秘密にしていた時期があったので
この部屋は”ひみつ”と呼ばれているのだ。

今はヲルガン座でライブをしているほとんどの人が、その存在を知っているので、

「ドラムセットはひみつですよね？」

という、おかしな会話が成り立つ。

その”ひみつ”に私は住もうとしている。
その”ひみつ”がこちら！

わちゃー
酷いね笑

機材や食器、楽器や木材や布など、あらゆるものが存在している。
半分以上はいらないもの。
そして問題の雨漏り天井がこちら。

ありゃー
本当酷い。

雨漏りが原因で、天井の一部が崩れ落ちそう。
漏電もこわい。
雨が降ると、この下にバケツが置かれるが、そんな状況にもさよならしたい。

おしゃべりくんは、工事の工程を上手におしゃべりして現場に戻っていった。

夕方、ぶたさんがやってきて屋上の塩ビシートの色を説明してくれた。
普通、リクエストしなければ灰色になるらしい。
だから灰色の屋上が多いのか。
私は絶対に色を選びたいと伝えたら、明日色見本を持って来てくれるとのこと。

わくわく

外の現場を通りかかったスタッフが

「一人は仕事して、もう一人は車の中で寝ていました！」

と、私に通報してくれた。

10月7日

朝からおしゃべりくんが、ビルの後ろ側の外壁を直していた。
無口くんは、屋上の塩ビシートの色見本を取りにいってそうで居ない。

夕方ぶたさんが、色見本を持ってきてくれた。
選べる5色。

「イズたん(私です)、何色にするか明日までに決めとってね」

早い展開に焦るが、廃墟ギャラリーの屋上と、第2ターミナルビルの屋上。

廃墟ギャラリーの屋上は、撮影でよく使われるので慎重に選びたい。
グリーンかダークグレーの2択というところか。

第2ターミナルビルの屋上はグリーンにしよう！
廃墟ギャラリーは、、、
やっぱり廃墟らしくダークグレーかな

悩むが
でもこれはとっても楽しい悩みなのです。

第四回につづく→