藤堂豪の草野球読本 4
4.草野球と言う全体的な構造
草野球とはどんな構造で成立するもの なのか?その構造・組織的な事を書いていきます。
前々回、草野球人口は490万人と書きました。この490万の人はどう散らばって普段どう取り組んでいるのか?まず公のものとしては、公益財団法人全日本軟式野球連盟、と言うものがあります。この連盟が主催するものに天皇賜杯・高松宮賜杯なる全国大会が存在します。ここが実質的な軟式野球の頂点と言えるでしょう。それぞれ60回を超える大会が行われ歴史もあります。この、天皇杯・高松宮杯に出場する為には、全国支部が主催する大会に勝利して、初めて出場する事が出来ます。この全国支部、が前述した自治体の大会、となります。この自治体の大会に出場する資格がある組織はほぼ企業チームになりますが、クラブチームや仲間内で作った草野球チームでも実力さえ伴えば参加可能です。それには野球の実力は勿論だけど、組織体としてちゃんと運営されている事、それには資金余力も当然必要です。また、各々レベル・ランクが存在します。上位クラスの大半は企業チームですが、下位クラスになると有志で組織されたチーム、となります。
因みに私みたいな中途半端な野球技量しかない人間は、天皇杯などには当然出場した経験はありませんが、それでもこうした上位クラスの企業チームと対戦する自治体の大会には何度も出場しました。更にマウンドに立った経験もあります。
余談ですが、マウンドでの対戦相手としての経験はまだありませんが、元NPB選手が対戦相手に居てびっくりした、と言う経験もありました。今スターターピッチャーとして所属しているチームは、NPBでスラッガーとして活躍し、オリンピック日本代表選手として伝説の落球プレーをした人が対戦相手に居た、なんて話も聞きました。たまたまその試合に私は別の用事があり出向けませんでしたが、今年は当たる可能性もあると言う事でしたので、それは凄く楽しみです。
従って裾野は非常に広い世界、それが草野球と考えていいでしょう。
また、こうした自治体の大会とは違うリーグ戦・トーナメント戦も数多存在しています。それが民間主催の大会です。この民間主催の大会には様々ありますが、代表的なものは、
・ストロングリーグ
・GBN全国大会
・サンスポ野球大会(サンケイスポーツ主催)
・関東草野球リーグ(日刊スポーツ主催)
・MLBドリームカップ(パチンコのマルハン主催)
・プライドジャパン(サンケイスポーツ後援)
等、多数存在し、それぞれ熱戦を各地で繰り広げられています。しかも決勝戦は大抵プロスタ。そう、NPBのフランチャイズ球場で行われる事が多いです。
しかし、ここには地方格差が確実に存在します。人口の大多数が集まる都市部では比較的チームの組織から、リーグへの参加が容易ではありますが、地方に行くと自治体大会のみの出場、或いは有志で集まり、都市部の大会に手弁当で参加する、と言う事も珍しくはありません。具体的には首都圏・近畿・中京圏への集中です。例えば、私が所属しているチームが参加し、過去私も代表として参加していたGBN全国大会、を例に挙げましょう。
登録数を見ると圧倒的に東京都が1386と最も多く、次いで大阪府810となります。逆に少ない所では山形県は0。東北全体でも25チームしかありません。西に目を移すと、島根県も0。四国アイランドリーグ等野球熱が盛んな四国では全部で18チームの登録しかありません。また、このチーム全部がリーグ戦に参加している、と言う訳ではなく、活動休止しているチームも当然あります。
(2022年2月2日の登録データから)
https://www.gbn-sports.com/free_entry.htm
当然各地域によって基礎的な人口は違いますし、野球が盛んな地域とそうでは無い地域、とまず野球に対する根本的なベースが分かれます。更には天候面から来るチーム運営のハードル、と言う問題やそもそも野球グラウンドがどれだけあるのか?と言う問題。日本の国土の約6割は森林と言われています。各都道府県の中心部のように、都市部だけで都市空間が形成されている、と言う訳は無く、地理的な問題から山林が多かったり、田畑が根本的に多かったりすると、土地は仮に余しても野球グラウンドを作るのは至難の業です。そこで次回はこうした地域格差と言う問題と言うよりは、チーム数の多い首都圏での運営面やグラウンド事情など、かいつまんでお伝え致します。