成功している人
なんだかとてもうまくいっているように見えていたバンドからメンバーが脱退する。というのは意外とよくあることだ。
以前はうまくいってるのに何でやめちゃうんだろうと思っていたけど、今はわかる気がする。
Zepp Osakaにthe HIATUS(ハイエイタス)のライブを見に行った時、扉を開けると約2000人のも人で客席はパンパンだった。京セラドームにBUMP OF CHICKENを見に行った時、人が景色に見えるぐらいに壮観だった。
こういう規模でライブができる人はみんな幸せに違いないと思っていた。僕は同じような感覚を経験したことがなかったからだ。
「成功している人」ということがあるけれど何を持って成功と呼ぶのだろうか。きっとそういう言葉を口にするのは自分の理想を手に入れている人を見た時だ。
さっきあげたバンドと大きさは違えど僕も満員の会場でライブをできたことがある。ツイッターでバズるということも経験できた。
その時に「あ、僕の喜びって数の大きさじゃないんだ」と感じたのである。ちゃんと数字を出すという経験ができたからこそわかる自分の幸せの方向性があった。
その時に売れ始めているのに脱退したあの人や、人気絶頂なのに解散してしまったあのバンドのことが思い浮かんだ。
理想だったものに手が届いた時に実は求めていたものと違うことを知る。そういうことはきっと生きていく中でたくさんある。
「成功している人」なんて本当はいないのかもしれない。
みんな「こうだったらいいな」を追い求めて、近づいては空ぶって、時折ここにあるものにしっくりきて、でもまたいろんな変化があって、そういう繰り返しなのだろう。
砂漠を越えたら今度ははるか地平線まで海が続いていましたというように、世界に果てはないのかもしれない。
それならずっと砂漠を歩くよりも海を見て、島を見つけて、また船を出して、空を飛んだりいろんなことを知って飽きないように暮らしていきたい。
成功ではなくて楽しいを目指していきたい。
そしてそこには「大勢の前」とか「バズる」とかではなく1対1の「ありがとう」がさりげなく置いてあるような気がしている。