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コロナ と うたつなぎ と 傷
話したいことはあるけれど伝えたいことなのかと考えるとNoだ。ということばかりが頭に浮かんで夕日が雲で覆われた曖昧な空を思い出します。
とにかく今は「強い言葉を使わないこと」「正義や悪にならないこと」だけは心がけていたいです。
人間って危機に直面すると普段抱えている弱さや隠していた淀みがにじみ出るようです。そこでどういう行動をするかも見られているんでしょう。
ライブハウスがコロナで生じたライブのキャンセル料を請求する時も「うちは断固としてキャンセル料いただきますんで。」と「ごめんなさい、無料にしたいけどこのままだと家賃が払えずに潰れてしまうから今回は助けてください。乗り越えた時には必ずお返しします。」では全然印象が違いますよね。
そこにまた「あんなキャンセル料の取り方をするとこは潰れてしまえ」と発言する人が現れたりしてSNSを見ているとしんどくなってしまいます。
普段優しくあろうとしている人も余裕がなくなればそれができなくなるのは当たり前で、だけど今言ったことやったことで今後、もしかしたら現在進行形で関係が変わってしまう人も多いんじゃないかと思います。外出する、しないで意見がぶつかって別れてしまうカップルもいるのかなあと想像したりもしました。
僕の弱さは「無条件で愛されたがる」こと。
子どもの頃に抱えていた寂しさが生み出す無力感でした。
あまり気にしなくなっていた誰かのいいねの数やフォロワー数がまた気になり出したり、新曲やいいツイートを発信しないと存在価値がないような気がしてきたり、技術のある人の作品を見て何も持ってないと落ち込んだりしています。
昼間勉強や作業に集中できているときはいいけれど、夜中になると孤独の波がどっと押し寄せてきて絡め取られ沖へ流されてしまうのです。
数日モヤモヤしていましたがやっと自分から行かないで愛されるわけないじゃないかと岸にたどり着くことができました。必要とされたいゆえに必要とされなくなる行動をとってしまうのはおかしな話だけどやっちゃいがちなので気をつけたいです。
今は何を言ってもやっても傷つく人がいます。
いや、きっといつでも表現のあるところに傷はあるものですが誰もが身を守れなくなって血が流れやすくなっているという方がしっくりくるかもしれません。
「家にいよう」と言うと「働かないと死ぬんだ!」と言う人が出てくる。その人を見て前者は苦しくなる。批判や擁護が生まれたら意図的に傷がつけられるようになる。
言葉を発するのが少し怖くなってきています。でもここで黙っているのはどうなんだろうと考えたら何かを発信したいと思うのです。
ツイッターで「#うたつなぎ」というハッシュタグが盛り上がっています。歌の動画をアップして、その人が好きな人に指名でバトンを繋いでいく企画です。
単純に考えればとてもいいことだけど、無力感や孤独感を感じている時にそれを見つけて「ああ、自分へは回ってこないな」「人とのつながりを大切にしてこなかったのかな」と悲しくなってしまいました。
ありがたいことに先日僕のところにもバトンが回ってきたのですが、やるかやらないかとても迷いました。何をやっても傷つく人がいるんだと身をもって感じてしまったからです。あの時の寂しさをまた自分が増やすのか?と思ったらどうしても歌をつなぐ気持ちになれませんでした。
だけどやっぱりやることにしました。
コロナへの対応に関しても家にいよう派と経済を回そう派に分かれています。今すぐにコロナをなくすことはできないことだけは確かで、僕ひとりが黙ったところで傷は増えていきます。
全員にいいようにしようなんて甘い考えは実は一番優しくないことなのかもしれません。
「#うたつなぎ」も同じです。僕ひとりが止めたところで誰かが繋いでいく。僕が続けることで本来孤独だった人に繋がるかもしれないし、僕がやらなくても回してくれた人がごめんなさいって思うでしょう。
それなら歌を作って歌ってきた人間として音楽でできることを選びたいです。考えすぎかもしれませんが本当にひとつひとつの発言や行動に責任がかかっているなと改めて感じるのです。
信念に沿ってやれているか? 反発心ではないか? 意地になっていないか? 感情に反応していないか? そこを明確にしてやっていきたいです。
僕らにとっての「#うたつなぎ」が地球にとっての「コロナウイルス」なのかもしれません。正義も悪もない。みんな同じで何を選んで何を諦めるか決めてやっていくしかないのだろうと思います。
この時期を乗り越えてまたくだらないことで笑える日常に戻れる日を願いながら、お互いに穏やかな日々を過ごせることを願っています。
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