【五島崇行とは誰か?】3
私の人生の中で、最大の汚点が大学進学ではないかと思う。
当時は高校を卒業したら大学に行く事が自然の流れで、何としてでも大学には入らなくてはいけないという思考停止した観念のもと、将来の夢も希望もなく受験勉強を続け、センター試験を受け、
そして、センター試験に失敗してしまうのである。
その際の心境は覚えていないが、一応国立大学あるいは有名私学を目指していたので、「こんなはずでは・・・」と思ったに違いない。
とりあえず大学ならどこでも良いんだろと1月末から出願可能な大学を適当に見つけ、入学試験がこんなに簡単で良いのかと驚いたものである。
入学してから試験が簡単だった理由を知る事になるのだが。
とりあえずは目出度く浪人する事なく、東京の大学へ進学。
東京といっても西のはずれ、田舎暮らしの高校生が思い描いていた東京とは若干様子が違います。しかし、とは言え東京。
歩いて行ける場所にコンビニがあり、ビデオレンタル屋があり、ゲーセンがあり、本屋があり、スーパーがあり、電車で30分も乗れば都内にも出られる。
私生活、特に娯楽面では一変します。
問題だったのは大学生活。
受験勉強ですでに通った道を、大学1年で再学習する事になります。
それでも必須教科の為、出席はしなければならず、とにかく退屈。
同期の学生もとりあえず大学進学できれば良かったという連中ばかりで、授業もとりあえず出てればOKみたいな感じ、特別仲良くなりたいという人にも巡り合えなかった。
仮にここで仲の良い友達が出来ていたら人生違う道が見つかったのかもしれない。
受験勉強の追体験を我慢して1年経ち、2年目に入ってすぐに私の今後を決める大きな職に巡り合う。それが書店でのバイトだ。
ちょっとした都会暮らしで娯楽には事欠かなかったので、最初は遊興費の足しになるぐらいのバイトをするつもりだったのだが、接客、レジ打ち、発注、品出し、返品業務、店の開け閉め、今では何てことない書店業務の一連の流れだが、バイト未経験の当時の自分からしたら、受験勉強の追体験しかしてない大学の授業とでは刺激レベルでは雲泥の差があった。
何より自分の労働の対価としてお給料が支払われるという行為が楽しくてしかた無かった。
いつしか社員が退社した後の店番を任されるようにもなり、シフトも週5勤務が当たり前のようになり、すっかり大学へ通う日も少なくなっていった。
書店でのバイトは、私にとってのはじめての社会活動であり、またオタクとしても優秀な先輩が揃っていたので、諸先輩方からかなりの知識を吸収する事ができた。
PC好き、BL好き(当時はまだBLとは言わず「やおい」と呼称されていた)、ゲーム好き、アニメ好き、とにかく皆さん好きのベクトルが違っていて、私より上の世代の方が多かったので、私が子供の頃で知らなかった70~80年代の情報、田舎では知る事が難しかった情報など多岐に渡って仕入れる事ができた。
冒頭で人生最大の汚点だったと書いたが、それは大学進学に限っての事であって、逆にそれ以外の部分では実りの多き時期であったのは間違いないように思う。
ちなみに当時バイトしていた書店をGoogleマップで検索したら、まだしっかりと営業されていたようで何だか様子を見に帰りたい気分になった。
書店でのバイト時代、それ以外の趣味の話、就職までは、まだまだ語りたい内容も多いので、今回はここまで。
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