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データ分析の仕事してたら逮捕されかけた話

もう15年ぐらい前のはなし。
2009年頃、当時僕は某携帯キャリアに常駐していました。
主な業務は、ガラケー利用者のサービス分析です。今では考えられないかもですが、当時の携帯電話のネット通信は従量課金制で使えば使うほど料金があがるシステムでした。今みたいに残り〇ギガとかではなく、パケット単位でいくら、という計算方法です。
青天井で通信料金があがるため、うっかり今で言うテザリングをしたりすると、支払いできないレベルで課金され、その状態をパケ死と言いました。

iPhoneが出るまで、ケータイのコンテンツというのは着うたや簡単なゲームが中心で、app storeではなくキャリア公式のコンテンツストアで購入して決済はケータイ払い一択でした。

僕はどんな人が着うたをダウンロードしたり着せ替えコンテンツを買っているのか分析し、マーケティングチームの企画に反映させる仕事をしていました。
そして、パケ死しない程度にパケットを使わせて稼いでやろうぜという中々にアコギな商売をしていたのです。パケ死が嫌ならパケット定額プランに入ってねー、と。

そんなある日、法務部門から電話がかかってきます。
課長さんがちょっと面倒そうに対応して、僕に話しました。

「なんかウチのコンテンツプロバイダがケータイで賭博やってて、賭博開帳罪でうちも捕まえたいんだって。担当者1人差し出せばいいらしいから、Gotoくん臭い飯食ってきてw」

いきなりすぎてちょっと脳みそが追いつかなかったのですが、つまりはこういうことでした。

携帯キャリアでコンテンツを売る業者をコンテンツプロバイダといいます。
大手だとモバゲーとかドワンゴとかです。
そのなかのいくつかのコンテンツプロバイダが、くじ引きでポイントがもらえるコンテンツを配信していました。
300円でくじ1回引けて、当たりなら3000ポイントもらえる、みたいなやつです

どうやらこれが賭け事と見なされたようで、当局が吊るし上げのために誰か逮捕しちゃおっかな〜、という感じで本社に凸してきたというわけです。

課長はとても面倒そうに法務部に行ってくるわー、と一言残して1時間ほどたつとさらに面倒くさそうな顔して帰ってきました。

「逮捕は免れそうだけど、ウチが悪くない証拠と、使ってる人のデータ全部出してって言われた。紙で。今日中に。そしたらGoto君も豚箱行きは回避。」

なんで僕が捕まる前提なのか分からないんですが、とりあえず協力することにします。さすがに賭博開帳は濡れ衣すぎる。

しかし、数千万回線あるうちから、特定の電話番号を取り出して紙にしろというのは中々酷です。
といってもやるしかないのですが。
というわけでその日は逮捕を免れるためにアホみたいな作業だけやった記憶しかありません。

当時は今のように便利なDWHツールなどもなかった(あったけど死ぬほど重い)ので、エクセルとaccssを駆使してなんとかかんとかやり遂げました。
WindowsXP、RAM 3GBの時代によく頑張ったと思います。

紙で、と言われたので、ただただ電話番号と使ったサービスと使った日付をプリントした紙が積み上がっていきます。
60-70cmほどの紙の山を警察に送るためにバイク便雇って送付で完了。個人情報の塊をバイク便で送るとか何考えてるんだって話ですが昔の話です。。。

これでなんとか逮捕は回避。コンテンツプロバイダさんにはくじ引きやめるようにお願いして一件落着。

散々な1日でしたが、よくデータ出し切ったな、と思います。

今でもそうかもしれませんが、携帯電話は犯罪の温床でして、悪いことするにはまず飛ばしケータイを持つ、みたいなところがあったのです。
飛ばしケータイというのは偽造もしくは違法に入手した身分証で登録した携帯電話のことですね。犯罪に使ってやばくなったらポイ。身分証が偽物なので自分には足がつきません。

そんな時代ですから、警察も携帯電話キャリアには特別目をつけているところがありました。
いまでも犯罪には携帯電話が使われますが、最近は秘匿通信アプリなんですかね?業界離れているのでよくわかりませんが、警察の皆さんもお疲れさまです。現場の警察官は被害者を減らすために一生懸命なので本当に頭が下がります。

でも携帯キャリアに常駐してるだけの別会社の社員を捕まえようとするのはやめてくださいw

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