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2024秋分日記

誰が言ったか暑さ寒さも彼岸までとは、たしかにその通りだった。
これは秋の涼しさだよなと観念した日、姪が産まれた。離れた場所で連絡だけ受けている限りはなんの不安もなかったが、破水して病院へ、という報せを受けた翌日はさすがに朝から気にかけていた。昼休みにLINEを見るとすでに産まれていて、どうやら仕事中に(今ごろ妹は大丈夫だろうか)とちょうど時計を見上げたころに産まれたらしいと知る。こういうのを偶然だとか、第六感などと言うのかな。

以来家族LINEを新生児の画像や動画が席巻する。仕事終わりにLINEを開けば癒しの嵐、というのは予想外の僥倖だった。
そうしているうちに赤ん坊の顔が自分や妹の同じ頃の顔に似てくるのが不思議でならなかった。妹が似ているのは当然というか、ともかくとして、なんでわたしにまで似るのやら、と少々しんみりする。

さて、9月の三連休後半は充実していた。

テーマがあるとはいえ、読書の好みもバラバラの人たちが任意の本を持ち寄る系の読書会って、プレゼン会になっちゃうんだなと思う。初対面の人たちを前にプレゼンするのって思ったよりままならなかった。

それから、この読書会は5分で区切って回し読みをして、本に挟んだ紙に感想をしたためるということもやった。初めて手に取った本を5分チラ読みして感想までひねり出すというのを参加人数分回すのは、結構タフな芸当だなと思う。そういう訓練をしている気分になったからどこかで役立つかもしれないけれど。自分が提供した本についても人数分の感想は集まったが、5分で強制された感想だな〜という程度で、これは仕方がないなと思う。

「しんきろう」で読書会をしていたころは一冊本を決めて同じものを読んでくるようにして、それはそれで大変だった。買うなり借りるなりしないといけないし、コストも時間もかかる。そうしてでも読んで行きたいと思える仲間うちだからこそ成り立ったのだろう。読書会の正解があるならいろいろ参加して追求してみたいところ。

夕方から友人のシェアハウスに呼ばれていたので、合間の時間にせっせと制作をして、手土産を持って遊びに行った。

カタンというボードゲームにたった一回のプレイではまってしまった!

振替休日は久しぶりに人工島へ。小磯記念美術館で「絵本の旅―グリム、世界の昔話、ゆかりの作家と神戸の出版文化」に滑り込んだ。

2022年の秋だけで三回もここへ来たのだけれど、もう二年ぶりってこと? 

(本当はもうひとつ目的があったのだけれど、直前で日和ってしまう。名刺まで持ってきたのに…)

それから、この頃のTwitterには制作(苦戦)記録が残っている。

表紙の撮影をしたのもようやくこの頃(なんとこの画像、お土産を適当にすのこベッドに並べただけである。小道具で置いたトランクの奥に、床に置いた本か書類の影が写り混んでいます…)。ダラダラしてたら自然光で撮影するタイミングを逸してしまうから、本当に日が暮れるのが早くなったなと思う。

これは制作中のおやつ。もらいものの焼き菓子が一定数溜まったので放出した

丸一日予定のない休日を捻出したとて、たとえば朝3時間午後6時間なんてとてもじゃないけど集中して取り組めるものではないから、同じ9時間なら3日に3時間ずつ分けてデータを寝かせる時間をとったほうがいい。たとえ1日24時間で実質9時間集中できたとして、突貫工事の感じはぬぐえないから、見直してみたときに大がかりな変更を入れてしまったりする。それなら3日72時間で9時間作業したほうが気持ちが穏やかだ。そう言い聞かせて、毎日少しずつ制作をするために、毎日数時間程度で済む予定をあえて入れるのは、一日のめりはりがついてよかった。だから突発的な飲みの誘いにも普通に応じたりしちゃう(どういう理論?)

ヤンニョムチキンを手掴みで。

仕事のほうはつまってきており、推し活(癒し)が欠かせない体になっていたので、SNSも低浮上ぎみだった。カメラロールに一週間ちかく空白があり、記録として呼吸をするようにシャッターを押しがちな自分にはその空白を補う記憶がない。裏垢のツイートと手でつけている日記を照合すると、なんのことはない、ただ仕事上のむちゃくちゃと、チキンレースな制作と、誕生日が連続でやってくる推し活の板挟みになってひいひい喘いでいた時期だった。自業自得すぎて子育てに奮闘している妹家族に比べるといっそ申し訳なくなってくる。

とはいえフルタイムでサラリーマンをして、元気にオタクをやりつつ年に1冊か2冊本を出そうだなんて、どうやって制作時間を捻出しているんですかと聞かれてもいい頃合いだなと思うけれど、まったく本当に自分でもなんでこんな化物なみの体力をしているのか謎である。最初に犠牲になるのは家事で、最近は不可侵と思われた睡眠時間にまで影響が出始めている(本当なら毎日8時間寝たい人間なのですが)。そんななか久しぶりに二次創作を始めてしまい、これくらいの情熱でオリジナルを書くべきなんだけどな〜とも思う…。入稿したらあれをしてこれをしてと夢想し、文学フリマ福岡が終わったら次の出店に向けてあれこれと制作計画を夢想し、ゴタンダ名義で発表したい作品のこともちゃんと頭にあるけれど、それはそれ、これはこれ。

学生時代の先輩からものすごく久しぶりに連絡をもらった。時間を捻出することに関しては、この先輩には頭が上がらなかった。ギタマンにバイトに学業にと誰よりも忙しそうだった分、とても充実した学生生活を送っておられた憧れの先輩の、「時間は捻り出すもん」という言葉に素直に感銘を受け、今のわたしがあると思っている。

さすがに10月に入ったら真人間になる!と宣言して気持ちを入れ直した。一方で入稿予定を調整し直して直前まで粘ることになってしまい、ここまで長引かせると本当に間に合うか間に合わないかの瀬戸際であり、余計なプレッシャーとの戦いにもなる。なんでいつもこんなギリギリなのか…。しかしわたしは『DIVE!!』(森絵都)では要一推しなので、「メロスはわざと結婚式でのんびりしたり昼寝をして自分を追い込んだのだ」という説がしっくり来てしまうのであった。

…という状況などはおくびにも出さないようにして、高校の友人たちと久しぶりに集まってゆっくりと過ごした(メロスなので…)。四人全員9月〜10月生まれで、お祝いを兼ねた
集まり。長いと小学生以来の付き合いになるけれど、全員地元を離れているのにこの年になっても年に何回か集まれるのってめちゃくちゃいいなと思う。それまでもHとUとは断続的に会っていたけれど、去年十年以上ぶりにUに連絡を取ってからまた四人で集まるようになった。変わっていなくて安心して、大したことないことで笑い合えて、けど会っていない時期にそれぞれいろんなことがあったものだった。そういう話をぽつりぽつりと聞いていると感慨深い。

空は秋だがまだ暑い

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