回文集「くるくる・えぶりでい」11/1
きょう11月1日は「紅茶の日」です。1791(寛政3)年のこの日、伊勢の国(現・三重県)の廻船の船頭・大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)が、ロシアの当時の首都ペテルブルク(現・サンクトペテルブルク)で、女帝エカテリーナ2世の茶会に招かれ、日本人として初めて本格的な紅茶を飲んだことから制定されました。1782(天明2)年、江戸へ出航した光太夫の船は遠州灘で嵐に遭い、約7か月もの漂流の末、ロシア領の小島(現・アリューシャン列島内)へ。そこで約4年を過ごした彼と仲間たちは、帰国の嘆願にカムチャッカ半島へ渡ったものの、日本が鎖国中のため却下されてしまいます。それでも光太夫らはあきらめず、女帝エカテリーナに直接許可をもらおうとシベリアを横断し、首都へ到着。ロシア漂着から約8年が経ち、総移動距離は1万キロを超え、仲間のほとんどが命を落としていました。そうして謁見は叶い、深く同情した女帝は直ちに帰国を許したのです。首都を離れる直前に、宮廷で楽しんだ欧風紅茶は、格別な美味しさだったことでしょうね。では回文を。
温かいよ、居て、良し。
思い起こすよ、死にながらかな、西よ。
すごおい、もお。
女帝、良い方だあ。
[あたたかいよ いて よし おもいおこすよ しにながらかな にしよ すごおい もお じょてい よいかただあ]
光太夫ら17人の波乱に満ちた歳月は、井上靖の小説「おろしや国酔夢譚」に描かれています。また映画化(佐藤純彌監督・緒形拳主演)もされました。