見出し画像

回文集「くるくる・えぶりでい」1/28

きょう1月28日は「逸話の日」です。「い(1)つ(2)わ(8)」の語呂合わせから、世の人々にあまり知られていない逸話を語り合う日として制定されたそうです。ならば、筆者の敬愛する伝説の棋士、升田幸三先生の棋界入りのエピソードをご披露しましょう。1918(大正7)年、広島県の山深い農村に生まれた升田少年は、13歳の冬、家出をしました。将棋指しになることを親に猛反対されたので、実力行使。深夜、広島を目指して歩き始めたのです。朝になり、愛息の出奔に気づいた母親は、モノサシの裏に書置きを見つけました。「この幸三、名人に香車(やり)を引いて勝って見せる」。その約束は、25年後、果たされました。それでは回文を。


 香車落としー、名人に勝つ意。
 家出、えい!
 いつか、任じ。
 イメージ通りや。

 [やりおとしー めいじんにかつい いえで えい いつか にんじ いめーじどおりや]


1956(昭和31)年1月19日。第5期王将戦第4局は、当時の規定により、すでに3連勝の升田幸三挑戦者が王将位に就き、相手の大山康晴名人に香車を落として対局が始まりました。そして翌1月20日、111手にて升田王将の勝ち。時の名人に、香車落ちのハンデを与え、しかも勝ってしまった升田幸三こそは、将棋四百有余年の歴史上、空前絶後の男なり。


いいなと思ったら応援しよう!