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回文集「くるくる・えぶりでい」11/30
きょう11月30日は「シルバーラブの日」です。1948(昭和23)年のこの日、歌人の川田順が弟子である大学教授夫人とともに家出をしました。妻と死別した川田は、このとき68歳。夫人は40歳で、子供もおり、夫は何と川田の友人でもあるという複雑な不倫関係は3年前から続いていました。ところが、秘密の恋はついに露見。行く末を悲観した川田は、自殺を覚悟で逃避行に出たのです。しかし恋愛の神様は、恋人たちに微笑みかけ、結果的に夫婦として結ばれた2人は、幸せな余生を送ったのでした。これが世の中を騒がせ、流行語ともなった「老いらくの恋」。なので、きょうは「シルバーラブの日」。それでは回文を。
耐え、密会ぜ。
以後の暗いを覚悟し、
家出、えい!
地獄か?
老いらくの恋、生活見えた。
[たえ みっかいぜ いごのくらいをかくごし いえで えい じごくか おいらくのこい せいかつみえた]
事の善悪はともかく、川田のとった行動は、まさに命がけでした。家出に際して、谷崎潤一郎をはじめ知人たちに遺書を送り、心境を告白した遺稿を新聞社に届けたのも、自分の出奔が分別あるべき年長者として、公人として、無責任なものであると自覚し、友人の妻を奪ったことに対する罪の重さを、死をもって償うほどのものだと決意していたからです。週刊誌に狙われそうな、今どきの政治家や芸能人の方々は、シルバーラブから学びましょうね。