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ノストラダムスとゴッホが息づくサン・レミ・ド・プロヴァンス
ノストラダムス。40代中半から60代の方の中には懐かしい響きの方が多いのではなかろうか。1999年7の月に人類が滅亡する。という予言で20世紀末に一斉を風靡したフランスの医師・占星術師である。
2011年初秋、僕はそのノストラダムスの生誕地とされるフランスのサン・レミ・ド・プロヴァンス(サンレミ)に滞在していた。というのも、その年の春に自分で経営していた会社が一段落したこともあり、数年ぶりの長期休暇が取れたので予てから訪れたかった南フランスを巡る一人旅を楽しんでおり、その旅の途中で訪れた町がサンレミである。
サンレミは南フランス・プロバンス地方の強い日差しが降り注ぐまさに南フランスを思わせる人口1万人弱の町である。ダウンタウンを散歩するには1時間も要らないとても小さな町だ。その中心部は一周2キロ弱の道に囲まれていて、その中にレストラン、カフェや美術館などが密集している。サンレミへの滞在は1泊2日であったが、2泊もすれば概ねエンジョイできる。
そこに足を踏み入れたのは実のところノストラダムスに会いに行ったわけではない。僕が敬愛する人物の一人であるフィンセント・ファン・ゴッホが、この町のサン=ポール・ド・モゾル修道院の精神病院で療養していたことがあり、その修道院を訪れたかったからである。
サン=ポール・ド・モゾル修道院はサンレミのダウンタウンから2キロ位だったと思う。その道端にはゴッホの絵のパネルが設けられており、ゆっくりと歩きゴッホがデッサンした風景をひとつひとつ目に焼き付けるように丁寧に巡った。修道院ではゴッホの療養していた部屋も開放されており、そこに足を踏み入れたが、その部屋に掛けられた自画像には彼のダークサイドの思いが明らかにしっかりと宿っていた。
この文章を書いていて強烈な日差しとカラフルな街並みのサン・レミ・ド・プロヴァンスに再度訪れたくなった。
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