
【LAD】2021年戦力分析 (投手編)
お久しぶりです。ゴソソソソです。
開幕日も迫り、今季のドジャースの開幕時の陣容もなんとなくは見えてきましたね。
そこで、今回からは以前に予告した今季のドジャースの戦力分析記事を投稿して行きたいと思います。
今回は投手編になります。
■はじめに
戦力分析を始める前に、まずは今季のドジャースの立ち位置について。
ご挨拶の記事でも触れたように、今季のドジャースの目標は2年連続のワールドシリーズ制覇です。
実際、MLB公式サイトのパワーランキングでは堂々1位にランクイン、FanGraphsの予想チームWARも1位と、今季もワールドシリーズ制覇最有力チームと言って差し支えないでしょう。
また、先日MLB.comに掲載された2021年ポストシーズン予想記事でもドジャースはワールドチャンピオンに予想されていました。
(少し話が逸れますがこの記事の実態は「超壮大な妄想ポストシーズン」といった具合で、非常に読み応えのある面白い記事でした。要約した日本語版はこちら)
もちろん大補強を敢行した同地区パドレスは超強力なライバルですし、仮に無事パドレスをかわし地区優勝を果たしても続く短期決戦は何が起こるかわからない怖さがあります。
ですが、今季も大いに期待して良いシーズンなのは間違いなさそうです。
※「2021年の戦力分析」のため、成績欄は昨季の成績を用いず、FanGraphs Depth Chartsのプロジェクション(3/28 10:00時点のデータです。一部選手は既にアップデートされている可能性があります)を利用しています。
■先発投手
・予想メンバー & 成績
・ローテーション(5人)
クレイトン・カーショウ(左)、トレバー・バウアー、ウォーカー・ビューラー、フリオ・ウリアス(左)、トニー・ゴンソリン
・主なバックアップ
デビッド・プライス(左)、ダスティン・メイ、ジミー・ネルソン
昨季のNLサイ・ヤング賞右腕バウアーが加入し、近年のチーム方針の層の厚い先発陣は過去最高レベルのメンバーと言える陣容となりました。
また昨季オプトアウトを選びプレーしなかったプライスが復帰し、ケガで全休した元MILのエース右腕ネルソンも復活の兆しを見せマイナー契約からロースター入り。
あえて誇張表現するなら「昨年のローテはそのままに元エースが3人増えた」のが今年の先発陣になります。
・バウアー加入のメリットは?
ドジャースはバウアー獲得前の時点から既に強力なローテーションだったので、この動きには疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。
ですが、私はこの補強は非常に的確であると考えています。
昨季、チームの先発投手の防御率は3.29とMLBで2位の数字でしたが、消化イニング数276.1は21位と下から数えた方が早い位置でした。
試合数がふたたび162試合になることを考えると、昨季のままの陣容ではイニング消化の観点ではやや不安が残ります。
イニング制限が予想されるウリアスら若手組はもちろん、全休明けのプライスも多くのイニング消化は望めず、ローテーションのうち規定投球回を期待できるのはカーショウとビューラーだけ。
しかもこの2人も昨季は規定投球回に達していません。
このようなチーム状況なので、MLBでフルシーズンを過ごした2015年以降は毎年170イニング以上を記録し(※2020年は2.7倍換算)、IL入りはキャリアで一度のみとMLBでも屈指の頑丈さを誇るバウアーは単に「サイヤング賞右腕」というだけでなく、ドジャースに足りない「イニングイーター」というピースを埋める存在になってくれるはずです。
またバウアーの野球に対する豊富な知識、真摯すぎるほどの取り組む姿勢はきっとチームメイトにプラスの影響を与えると考えていますが、戦力の話からは少しズレるのでここでは割愛。
・開幕ローテーションの5人目は誰?
まず簡潔に言います。「まだわかりません。」
開幕カード(COL4連戦)の先発投手が既にアナウンスされているため、4人目までは確定しています。
カーショウ→バウアー→ビューラー→ウリアスの順です。
一方、5番手はまだ決まっていないようです。
ネルソンはブルペンで開幕するようなので、最後のスポットはプライス、メイ、ゴンソリンの3人が候補になります。
このSTでもっともアピールしたのはゴンソリンです。
10.1イニングを投げ、無四球の12奪三振、WHIP0.39と非常に素晴らしい成績。
これを受け、MLB.comやThe Athleticなど現地メディアの予想ロースターでは彼が先発5番手と予想されています。
私の予想ロースターもこれに準じました。
プライスは当初はローテーションと見る向きが強かったですが、本人がブルペン起用に意欲的なのが判明したことや、STで実際に2試合ブルペンで起用されていることから、開幕時はブルペンという予想が多くなっています。
プライス本人は「チームにとってベストな編成になるためなら自分の起用法はなんでもいい」「素晴らしい才能を持つ若い選手たちに先発として成功してもらいたいし、先発の経験を積んでもらいたい」と非常に献身的に話しています。
メイはこの中ではもっともフレキシブルな選手です。
昨季はカーショウのアクシデントに伴い開幕前日に開幕投手を言い渡されれば、ポストシーズンではオープナーから接戦の中盤の場面も任されるなど、非常に様々な起用法で結果を出して来ました。
メイ本人は先発投手のような決まったスケジュールで登板することを好み、それが健康を維持するためのカギと話していますが、開幕時にそれが実現する可能性はあまり高くなさそうです。
なお、誰に決まったとしてもあくまで「開幕時はこのローテーション」というだけで、シーズンを通して継続されるわけではありません。
おそらくカーショウ、バウアー、ビューラーの三本柱を除いた残り2枠はブルペンと入れ替えながらの運用になります。
また連戦の際に中4日での登板を避けブルペンに回っている投手がスポットで先発したり、先発タイプの投手2人で繋ぐ起用もありえそうです。
■救援投手
・予想メンバー & 成績
・クローザー
ケンリー・ジャンセン
・ミドルリリーフ(4人)
ブレイク・トライネン、ビクター・ゴンザレス(左)、コーリー・クネーベル、デニス・サンタナ
・ロングリリーフ(3人)
ダスティン・メイ、デビッド・プライス(左)、ジミー・ネルソン
・主なバックアップ
ブルスダー・グラテロル(IL)、ジョー・ケリー(IL)、スコット・アレクサンダー(左)、アレックス・ベシア(左)、ギャレット・クリービンジャー(左)、ミッチ・ホワイト、ブランドン・モロー(NRI)
ブルペン陣は長年ドジャースのブルペンを支えて来たペドロ・バイエズや防御率2点台と活躍したジェイク・マギーがFAで移籍。
また、オプション切れのディラン・フローロ、アダム・コレラックをトレードで放出しました。
さらに、ブレイクしたケイレブ・ファーガソンはTJ手術により今季全休、グラテロル、ケリーも開幕IL見込みと、昨季のブルペンを支えた選手の約半数を欠いた状態で開幕を迎えることになりそうです。
代わりに入るのはローテーションから漏れた先発投手3人と、MILから獲得したクネーベル、そして昨年はMLBとマイナーを行き来したサンタナになります。
「本職リリーフ投手」に限って言えば、やや戦力ダウンと言えるでしょう。
ですがもちろん、ポジティブな材料もたくさんあります。
・ジャンセンはまだまだ一流のクローザー
ここ数年は衰えを指摘され、クローザーを剥奪すべきとの意見も多いジャンセン。
ですが「過去のジャンセン」と比較してしまうからそう思うだけで、他球団のクローザー達とはまだまだ肩を並べられるだけの力を持っています。
まず、昨季のジャンセンは7-8月の月間最優秀リリーバーに選ばれるほどの活躍をしています。
この期間のジャンセンは防御率1.23、リーグ最多の9セーブと全盛期並の数字でした。
また通年の防御率3.33も短縮シーズンの影響を受けています。
昨季の自責点はシーズン合計で9点でしたが、そのうち5点は集中打を浴びた9/12のHOU戦。
それまでの20登板の自責点は4、その後の6登板は無失点であることを考えると、短縮シーズンでなければ防御率2点台でシーズンを終えた可能性は十分にあったはずです。
衰えに合わせピッチングスタイルも変わりつつあります。
かつてのジャンセンはご存知の通りカッター一辺倒でしたが、ここ数年はツーシームの投球割合が増加しています(昨季は28.5%がツーシーム)。
どうやらツーシームはカッターより球速が出せるようで、昨季は特にアウトピッチとして重宝。
キャリアで初めて「カッター以外での奪三振」が「カッターでの奪三振」を上回った年となりました。
ちなみにSTでは6.2回を投げ防御率1.35、1四球で12奪三振と順調すぎるくらいの仕上がりを見せています。
・余った先発投手をロングリリーフとして起用できる
昨季のポストシーズン中、ウリアスがブルペンで大活躍したのは覚えている方も多いでしょう。
今季のドジャースはバウアーを獲得したことで、さらに先発タイプの投手をブルペンに回すだけの余裕ができました。
連投不可など起用法は制限されますが、ハイクオリティなロングリリーフ投手を複数抱えているのは他球団にはない強みです。
・クネーベルの獲得
クローザー経験のあるクネーベルを獲得したことで、衰えの見えるジャンセンのサポート役候補がまた1人ロースターに加わりました。
クネーベルは2017年に防御率1.78、39セーブを記録した投手です。
昨季はTJ手術からの復帰1年目でしたが、速球の球速が手術前から2.6マイル低下したのが要因か、防御率6.08と苦しいシーズンとなりました。
こう書くと「補強になってなくない?」という印象ですが、ドジャースはクネーベルを再生させる自信があるようです。
昨季のクネーベルの速球の平均球速は94.3マイルでしたが、7月から8月の平均は93.9マイル、9月の平均は95.0マイルと、登板を重ねるごとに復調しています。
また昨季はハムストリングの痛みでメカニクスを試行錯誤したことを話しており、それが癒えた現在はかつてのフォームにより近づけているようです。
もちろん故障明けの選手に過度な期待を抱くのは禁物です。
しかし、期待通りクネーベルがかつての姿を取り戻すことができれば、終盤の重要な局面を任せられるような頼もしい存在となってくれるでしょう。
なおクネーベルは先日の試合でピッチャー強襲の打球を受け交代しましたが、軽症で開幕には間に合うようです。
・ロースターの柔軟性の確保
先述のようにオプション切れの投手を整理し、代わりにベシア、クリービンジャーのオプションの残る若手2名を獲得しました。
これにより、頭数は維持した上でロースターの柔軟性を確保しています。
ともにMLBでの実績は乏しいですが、マイナーでは素晴らしい成績を残している選手です。
今季は60試合→162試合と試合数が急増することによる負担増から、特に投手陣は例年以上に慎重な運用になると予想しています(軽症でもILに入れる、疲労の色が見えたらマイナーに落とす…など)。
さらに、ドジャースのブルペンはもともと先発タイプの投手の動向で割りを食う立場です。
そのため、MLBとマイナーの行き来ができる投手の頭数を確保したことは、彼らがマウンドで残す数字以上にチームにとってプラスとなるのではないでしょうか。
また今季も26人ロースター内の投手数13人の制限は適用されないことが決まっているため、ブルペン9人体制という選択肢もあります。
開幕時はブルペン8人体制のようですが、シーズン中には野手のベンチメンバーを減らし9人体制を敷く可能性もありそうです。
(写真はドジャースの公式Twitterより)