Carmel Highlandsで「海景」にチャレンジしてみた
Carmel Highlandsとは
先日、2泊3日でカーメルまで小旅行に行ってきました。カーメルの正式名称はCarmel-by-the-Seaで、その名が表すように西海岸の美しい海を見れることで有名な場所です。シリコンバレーから2時間弱くらいドライブした場所にあり、観光地としても有名なモントレーからもすぐの場所です。またMac OSの名前で有名になったBig Surも近く、車で20分程です。
カーメルといえばダウンタウンの街並みやビーチが有名ですが、今回は街中から少し離れたCarmel Highlandsという場所のホテルに滞在しました。ここには初めて行ったのですが、高級そうな住宅が立ち並ぶ高台にであるリゾート型のホテルで、ひっそり静かな時間を過ごせる場所でした。
部屋からのオーシャンビューが最高だった
宿泊した部屋にはバルコニーがついていて、外に出ることができたのですが、ここからのオーシャンビューが最高で、美しいカリフォルニア西海岸の海を一望することができました。
少し望遠レンズを使って、手前の木々が入らない画角にすれば、空と海が半々にならないものの、写真家・杉本博司氏の「海景」シリーズの一枚を彷彿させるような絶景でした。
部屋で葉加瀬太郎と杉本博司の対談(U2のアルバムのジャケットに「海景」の写真が採用された時の裏話の回)を聴きながら海をぼーっと眺めていたら遠くの方にクジラのブローを見ることができました。3頭いたと思います。最高の休日です。
「海景」動画撮影にチャレンジ
あまりにもオーシャンビューがすごくて、まさに「海景」シリーズの写真を見ているような眺めだったので、この海の眺めを動画で撮影してみることにしました。早速持ってきたシネマカメラのRED Komodoを三脚に取り付けて、バルコニーにセットしました。
この日は一日中雨が降ったり止んだりしていて、小雨の中で撮った動画はなんだかはっきりしない感じになってしまいボツです。午後になって少し陽が出てきた時に撮影した動画は、刻々と変化する光、雲、海面の感じがなんとなく様になったので、10分間のモノクロ動画にしてしてみました。
やってみて気づいたこと
今回動画で撮ったこともあり、雲や海面の光の感じに動きがあってなんとなく雰囲気は出た感じがしています。しかし、ここで疑問に思うのはあの「海景」の写真の凜とした研ぎ澄まされた感じはどうやったら実現できるのか?ということです。素晴らしい海の景色が目の前にあったとしても、同じように撮ることはできません。被写体と向き合ってどう撮るかを熟考し、セッティングも完璧なものになるように追い込んでいくんだろうなぁ。
こんなことを考えていると、最近いかに自分が雑な撮り方しているかに気づいて深く反省。基本的なことでは、水平が取れているのか、無限遠のピントは合っているのか、絞り値は適切だったのか、焦点距離は適切だったのか、三脚のブレが入っていないか、などなど。また光の感じは刻々と変化していくわけで、どれがベストなタイミングだったのか。そもそも撮影場所は最適だったのか。適当にやっていることが多いなぁ、と思います。「撮る」ということを考え直す必要がありそうです。
今回カメラを三脚に固定してそのまま10分間の動画を撮ったのですが、この10分間という時間が被写体と向き合う貴重な時間だと思いました。カメラの横でじっとしているしかないのですが、雲の動きや太陽の光の変化、それに伴う海面の反射の感じなどをじっと見ていると、今自分が撮っているものは何なのか集中して考えることができます。
空と雲と海しかない光景は、人が作ったものや、木や岩などの年数を感じられるものが一切ないため、杉本博司が言うように確かにこれは古代の人が見たのと同じ光景なんじゃないかと考えてみたり。
写真家・アンセル・アダムスとエドワード・ウェストン
今回滞在したCarmel Highlandsという場所について、この記事を書くにあたり調べていたら、アメリカの巨匠写真家の二人であるアンセル・アダムスとエドワード・ウェストンが晩年を過ごした場所だということを知りました。
アンセル・アダムスと言えばヨセミテの山などの自然の風景写真や、ゾーンシステムという現像手法を開発したことで知られています。また写真雑誌「Aperture」を創刊した人でもあります。エドワード・ウェストンは貝などの静物写真が有名です。二人はグループf/64という写真家集団を結成しました。8x10の大判カメラ、F64、ゾーンシステムを組み合わせた写真のスタイルは彼らが作り上げたものです。(そういえば杉本博司も8x10の大判カメラですね)
そんな偉大な二人の写真家もこのCarmel Highlandsの海を眺めていたと思うと何だか感慨深いものがあります。