ゴールドマン
今一番欲しいものはなんですか、と聞かれたら迷わずこう答えるだろう。ゴールド免許。
ゴールド免許は5年間無事故無違反という偉業を達成した者のみに与えられる称号で、他の追随を許さない。まさに交通界の金メダリスト。
レジェンド・オブ・ドライバーである。
私は18で免許をとってからというもの、この金の称号を得たことが一度もない。幸い大きな事故こそ無いものの、駐車違反、一方通行侵入違反、時間外区域侵入違反などで小刻みに免許を傷つけてきた。
その昔誕生日の近い父に、更新のハガキが来たから一緒に受けにいかない?と声をかけると、いやおれゴールドだから。と返ってきたときは侘しさの涙で枕を濡らした。
講習は違反者だけが集められる部屋で、みな下を向き静かに入室する。マイルドヤンキーも下を向く。そして2時間あまり拘束され、途中からめちゃくちゃ飲みに行きたくなる。とはいえせっかくの学ぶ機会なので真面目に講習を受け、違反点数や標識など、意外と知らない事を気付かされる。
そんな中、講習中スマホはイジっちゃダメって言われてんのにイジって注意されるわ、ビデオの途中で寝ちゃって次寝たら退場ねと言われるわ、必要な持ち物なんてペンぐらいしかないのに、忘れました。とか思い思いの技を披露するマイルドな精鋭たち。なにこれ?学園ドラマの不良クラス?講習官もそれをなだめるような優しい感じの人が出てきて、先生はみんなのことわかってるぞみたいな感じになるのもコクがある。
…まぁ完全に自業自得なのだが、数年に一度何かしらの違反を起こすのでその瞬間にゴールドの道は断たれ発狂しそうになる。しかし5年は長くないか?こんなことやってたらすぐに寿命がきちまうよ、と思うもお国の定めた法律なので当然抗うことはできない。だからこそゴールドには価値があるのだ。
ゴールド免許には様々な特典がある。以下
・更新が5年に伸びる
・最寄りの警察で更新できる
・講習が30分で終わる
・保険料が安くなる
という夢のプラチナチケットだ。
しかし私が一番の特典だと思っているのは、身分証の提示を求められた時に財布からドヤ顔で出せることだと思っている。これはあまりにも大きい。
公的な手続きで
ドヤァァ。
満喫でカードを作るときに
ドヤァァァァ。
この瞬間、受付の方の態度が一変するはずだ。
燦然と輝く金の帯。さ、さようですか。ではどうぞご利用ください。
カッコよすぎる…。
これになりたいので、是が非でも取りに行かなければならない。青の帯では受付の方に裏で笑われてしまうのだ。(青ですか…クスクス)
それとなんとなく人間的に信用できませんか?ゴールド免許に悪い人はいないというか、社会的信用がある気がする。その人の事を全く知らない状態で免許見せてくださいと言って、金見せられたらおっゴールドですか!!と思わず声が出てしまう。人は金に弱いのだ。
…ということで金の夢を語りましたが、現在継続3年まできています。実現まであと2年。しかしここからが本当の戦い。油断したスキに待ち構えているのは忍者のように隠れた白バイなので、念頭に置きながら安全で健全な運転を心掛けることをここに誓います。
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