『恐怖!アクロイヤー・アマゾン総統現る!!』
「うわっ!それはヤバイぞ!!」
家に遊びに来た友人はそう言うと、部屋に入るのを躊躇った。
何が何やら分からない僕は、友人が指差す先に視線を向ける。
「何でそんな危険なモノを持っているんだ?!」
危険なモノ・・・?
友人が指差す先は・・・本棚か?
本棚には漫画の単行本がズラリと並んでいる。
危険なモノ?無いよな?
その他には棚の3段目に、昨日押し入れの奥から取り出した幼少期の玩具が置いてあるだけだが・・・?
「それだ!!それなんだ!!そのフィギュアは本当に危険だぞ!!昭和期に生産されたタカラのアクロイヤー・・・
しかもアマゾン総統じゃないか!!!」
タカラのアクロイヤー・アマゾン総統・・・
子供の頃、親にねだって買って貰ったものの、ソフビの怪人が怖くて怖くて、直ぐに押し入れに仕舞い込んだんだよな・・・
・・・って、コレの何処が危険なんだ?!
「お前最近、身の周りで変な事とか起きてないか?例えば怪我したり、迷惑メールが頻繁に来たり、女にモテなかったりとか・・・?」
あっ!?そう言えば迷惑メールが頻繁に出ているな!昨日は50通来たし(汗)全然女にモテないし(涙)でもそれとアクロイヤーとどんな関係性が有るんだ?!
「それは全て奴ら・・・アクロイヤーの仕業だ!実は俺も子供の頃、酷い目にあってさ・・・見ろよこの腹のキズ!アマゾン総統の槍にヤラれたんだぜ!!」
えっ?!ウソだろ?!って、確かにキズが有る!!一見盲腸の手術痕に見えない事も無いが、そのキズにはそんな秘密が有ったなんて!!!
「でも心配するな!お前はラッキーだぜ!!
何故なら俺にはアクロイヤーへの対処法が有るのさ。」
な、な、な、何だよそれは?!
今直ぐに教えてくれ!!
友人は部屋に入ると本棚の前で身構え、
「トリャーーーーーーーーーーッ!!」
と、奇声をあげながらアクロイヤーを箱ごと自分のリュックへと入れた。
彼の額には玉の様な汗が光る。
余程のエネルギーを消耗したに違いない。
「あとは俺に任せてくれ!!実は家にミクロマンが居てさ、今も俺を守ってくれてるんだ!!だからアクロイヤーを連れて帰り、ミクロマンに引き渡すよ!!」
えっ?!ミクロマンが居るのかい?!
うわ!♫一度会ってお礼がしたいよ!!!
「ごめん。残念だけどアクロイヤーを連れて星に帰ると思うんだ。だから会えないかもしれないよ。でも君の事はミクロマンに伝えておくからね!!勇気ある地球の友人よ!」
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数日後・・・
たまたま見ていたネット・オークションに僕のアクロイヤー・レッド・アマゾン総統が出品されていた形跡を発見した。
実はソフビの足の裏に、僕のイニシャルが書いてあったんだ。
昭和玩具。希少品・アクロイヤーアマゾン。
『注意・ラクガキ有り』と、但し書きに書いてある。
落札価格38.800円
ヤロウ!!売りやがったな!!!!!
その夜、僕は急性盲腸炎で入院した。