『I'm ロボット』
ある朝、目を覚ますと僕は、一体のロボットになっていた。
まぁ、ロボットなので「目を覚ますと」ではなく「起動したら」が正解なのだが、なんせこちとらロボットになり立てだ。
どうかそこは大目に見ていただきたい。
で。時計を見ると出勤時間になっている。
当然仕事に行きたくはない。
『ロボットになってしまいました』なんて言って休みたいものだが、そんな事が通用する訳はなく。
「グーーーッ、グーーーッ」
徐に体内から警告音が鳴り響いた。
energy chargeをしなくては!!
しかし、果たしてロボットは何を食べたら良いものだろうか?
分からないので、取り敢えずシリアルとミルクを体内に流し込む。
特にbodyからtroubleの類は発生していない様だ。
仕方がない。人間時代のスーツを着込み、僕は会社へと向かった・・・
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不思議だ。実に不思議だ。
ここまでの道程でバスや電車を使用したにも関わらず、誰も僕を見て「ロボットだ!!」と騒がないんだ。
尤も皆んなmaskをしているし、何より手元のdevice・・・smartphoneを弄るのに夢中で、誰が乗っているかなんて興味も無いのだろうけどね。
あ。アパートにsmartphoneを忘れた。
でもロボットだから特に不自由は無い。
現にこうして周囲を分析して楽しめているじゃないか。
少し、ロボットな僕に慣れてきたのか、自分のbodyにどんな機能が備わっているのか興味が湧いてきた。
指がmachine-gunになっていて、一掃射撃で乗客全員をgenocide出来るかな?
膝からmissileが飛び出して、会社をthe endさせてやろうか?
受付嬢の可愛い彼女にLOVE beamを発射して、LOVE &LOVEになってもイイね!!
バスが会社付近に到着した。
手の中に内蔵されている筈のカードで決済しようとしたが出来ず、結局現金払いになった。
ロボットの割に原始的だな。
嫌々ながら会社に到着。
しかし僕には空を飛べる機能とか無いのか?
「なんかダメなロボットだな。」
と心底落胆しつつ、ええいままよ!と、
ロボットな僕は自動ドアを踏んだ。
「おはよう御座います。」
受付の女神が僕に微笑みかけてくる。
その瞬間!!僕のbodyの秘密機能が目覚めた為か、アラート音が頭部パーツ内に鳴り響き始め、同時にアナウンス音声が大音量で指令を告げる。
『ドッキングセヨ、ドッキングセヨ、』
これは『女神とドッキングしろ』という指令だ!!
僕は躊躇なく受付カウンターに飛び込んだ・・・
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ある朝、目を覚ますと僕は、病室の中にいた。 しかも身体が拘束されている。
担当医師の話だと極限の心身疲労状態らしく、入院しなくてはならないらしい。しかも何か事件を起こしたらしく、警察の厄介にもなっているそうだ。
おかしい。実におかしい。
僕はロボットなのに入院?事件?
誰かこのベルトを外してくれ!!
早く仕事に行かなくては。
ハヤクシゴトニ行かなくては。
ハヤクシゴトニイカナクテハ。
ハヤク・・・
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『ロボット』 榊原郁恵
作詞・松本隆
作曲・筒美京平
出ました!筒美京平先生によるテクノポップ歌謡!
人力演奏とシンセサウンドの融合が、ポップ味を更に増し増し!♫
榊原郁恵さんの歌がまた実に良い感じです⭐️⭐️(^ω^)